国内株式市場見通し:「高市トレード」の巻き戻しで週初は急落、石破氏の政策を見極める展開に

2024年9月28日 14:49

*14:49JST 国内株式市場見通し:「高市トレード」の巻き戻しで週初は急落、石破氏の政策を見極める展開に
 

■円安や中国株上昇などの外部環境を材料に上げ幅拡大

今週の日経平均は週間で2105.65円高(+5.58%)の39829.56円と大幅上昇。米国市場でNYダウが史上最高値を更新するなど米国株は上昇継続。日米金利差の拡大に伴う円安なども材料に、日本株は大型株中心に買われ、日経平均は終値ベースで7月31日以来となる39000円台を回復した。植田和男日本銀行総裁が「追加の利上げを急がない」姿勢を明確としたことで、日本の長期金利の基準となる10年物国債利回りは8月5日以来の0.7%台まで低下。10年物国債利回りの日米金利差がやや拡大したことなどを背景に、円は主要通貨に対して全面安の展開となった。また、中国が大規模な金融緩和を発表し、中国株が急騰。中国でビジネスを展開する資生堂<a href="https://web.fisco.jp/platform/companies/0491100?fm=mj" target="_blank" rel="noopener noreferrer"><4911></a>、ファナック<a href="https://web.fisco.jp/platform/companies/0695400?fm=mj" target="_blank" rel="noopener noreferrer"><6954></a>、安川電機<a href="https://web.fisco.jp/platform/companies/0650600?fm=mj" target="_blank" rel="noopener noreferrer"><6506></a>など中国関連銘柄の一角も上昇。週末は、自民党総裁選に対する思惑が高まったことから、後場一段高の展開となり2日連続の高値引けで40000円台に迫る動きとなった。

なお、9月第3週の投資主体別売買動向によると、外国人投資家は現物を5455億円売り越したほか、TOPIX先物を608億円売り越し、225先物を2235億円売り越したことから、合計8298億円の売り越しとなった。一方、個人投資家は現物を3204億円売り越すなど合計で2916億円売り越し。自己は現物を1兆1895億円と大幅に買い越した。

■225ナイトは通常終値比2410円の急落

日経平均は、2日連続で高値引けとなる強い動きを見せ、約2カ月ぶりに75日移動平均線(75MA:38293円)水準を上放れた。ただ、27日大引け後の15時20分過ぎに、石破茂氏が第28代自民党総裁に決定と伝わると、為替市場では1ドル142円台まで下落。大証ナイト・セッションの日経225先物は、日中終値比2410円安の37440円で取引を終えた。
27日の米国株式市場はまちまちで、ダウ平均は前日比137.89ドル高(+0.33%)の42313.00ドル、ナスダックは同70.70ポイント安(-0.39%)の18119.59、S&P500は同7.20ポイント安(-0.13%)の5738.17で取引を終了した。

週初の日経平均は、26日と27日の上昇幅(約2000円)を丸々吐き出す格好となろう。為替、株式、金利市場いずれも追加の利上げに否定的な高市早苗氏が優勢と見ていたことから、「高市トレード」が先行し、為替市場では円全面安、株式は株高(金融株は下落)、金利市場では利回り低下の流れが強まっていた。高市氏が敗れ石破氏が自民党新総裁となったことで、「高市トレード」の逆回転が進む公算が大きい。

■石破政権の政策内容を見極めたいとするムード強まるか

来週は、米雇用統計なども重要だが、やはり石破氏による党人事や政権構想などが注目となろう。石破氏は総裁選中、2026年度中の「防災庁」創設構想のほか、地方創生を掲げ、東京一極集中の是正のため地方への企業進出を促す制度を唱えていたことから、災害関連銘柄や地方創生関連銘柄に物色が向かいそうだ。さほど物色されていなかったセクターのため、中小型株から大型株まで幅広く関心が向かう可能性はある。

一方、市場が警戒するのは、一部企業への法人増税や金融所得課税の強化だ。新しいNISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)はそのままの方針を打ち出していることで、岸田政権が掲げた「資産運用立国」の大枠は変えないとの見通しだが、金融所得課税の強化に対する市場のアレルギーは大きい。225先物のナイト・セッションでの急落もこの辺りを織り込んでいると推測する。今後、石破政権が発足し、どのような政策を掲げるのか見極めが必要な状況だ。関連銘柄への個人投資家を中心とした買いは向かいそうだが、海外投資家による腰の据わった投資資金の流入はいったん手控えられよう。

■週末は米雇用統計発表


来週、国内では9月30日に8月小売業販売額、百貨店・スーパー販売額、鉱工業生産(速報値)、住宅着工件数、10月1日に8月雇用統計、第3四半期日銀短観、2日に9月マネタリーベース、消費者態度指数などが予定されている。

海外では、9月30日に中・9月製造業PMI、サービス業PMI、財新サービス業PMI、財新コンポジットPMI、独・8月小売売上高、英・第2四半期実質GDP(確報値)、経常収支、9月ネーションワイド住宅価格指数、8月消費者信用残高、マネーサプライ、独・9月消費者物価指数(速報)、米・9月シカゴ購買部協会景気指数(PMI)、10月1日に豪・8月小売売上高、トルコ・9月製造業PMI、欧・9月消費者物価指数(概算値速報)、米・9月製造業PMI、8月JOLTS求人件数、9月ISM製造業景気指数、2日に欧・8月雇用統計、米・9月ADP雇用者数、週次原油在庫、3日に豪・8月貿易収支、米・週次新規失業保険申請件数、9月コンポジットPMI(確報値)、サービス業PMI、8月製造業新規受注、耐久財受注(確報値)、9月ISM非製造業景気指数、4日に米・9月雇用統計などが予定されている。《FA》

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