昔の車はこうだった
2024年9月18日 16:04
●トランクも給油口も鍵であけた
昔、ガソリンスタンドは「セルフサービス」なんて方式は許可されていなくて、すべてスタンドマンが駆け寄ってきてドライバーからキーを受け取り、給油口の鍵を開いて給油した。
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外部のキャップ本体に鍵がかかるタイプも結構あった。
現在の殆どの車は、給油口の蓋を車室内からあけて、キャップを外して給油するタイプで、セルフ給油が主流だ。
トランクも、中の荷物を取り出すには、エンジンキーを持って後ろ(殆どの車はフロントエンジン・リヤドライブでトランクは後部にあった)に回り、キーであける必要があった。
ヒルマン(英国ルーツグループの車)の場合、トランクの開閉は後部のノブを回して開いたが、鍵をかけるとノブがロックされて回らなくなる仕組みだった。
●前照灯の切り替えは足踏み式ディマースイッチ
前照灯のアッパービームとロワビーム切り替えは、現在では主にステアリングコラムから生えているレバーで行っているが、昔は足元のクラッチより左寄りに足踏み式スイッチが生えていた。
今と違って、殆どの車はマニュアルミッション車だから、左足は暇ではない。
峠のコーナリングでは、アッパービームで走行する事が多いが、前方からこちらに向かって来る明かりが見えたら、すれ違いにはロワビーム切り替えが必要となる。
コーナー近くでシフトダウン操作が必要になると、ダブルクラッチを使う場面もあるが、左足はその操作の合間に、クラッチペダル横のディマースイッチを踏んで前照灯の切り替え操作も必要となった。
●グリースアップに度々入庫が必要
1963年に登場した2代目プリンススカイラインが、「2年4万キロのメンテナンスフリー」を謳ったが、それまでは大雨の水溜まり走行等の後には、整備工場に入庫してグリースアップをしたものだった。
今どきの自転車に「油を注す」なんて作業は無くなったが、車輪のハブにニップルと言って、油を注す突起があったのと同様、「油を注す」=「グリースアップする」という作業は必要なくなった。
ハブにオイル用のニップルがある自転車は、相当な年代物だ。
現在の車は、グリースアップは勿論、ラジエターの冷却水点検や、バッテリーの給水補充に至るまで殆ど手がかからず、指定された一定距離を走行したらエンジンオイル交換に入庫するのと、ウインドウオッシャー液を補充する程度で乗りっ放しにする事も出来る。
グリースアップなんて言葉自体が、一般ドライバーには死語になったのかも知れない。
●ハイマウントストップランプ登場
1970年頃の乗用車には、ハイマウントストップランプなんてものは存在しなかった。
その頃の、都内のタクシー業界では、追突事故を防ぐ目的で、リヤウインドウ内側の棚板に赤色灯を装着して、標準装備のストップランプに追加してリヤウインドウの高さに見やすいストップランプを追加で備えた。
このランプの有用性から、現在ではメーカー装着のハイマウントストップランプが普及している。
ハイマウントストップランプが装備されているから良い様なものの、デザインを優先したのか、ストップランプが結構車体の下の方に設けられた車を見る事があるが、渋滞で車間距離が少ないと、見えにくい車種も見かける。
個人的には、安全性(ブレーキランプの視認性)よりデザインを優先する様な車には乗りたくない。
●チューブレスタイヤの普及前
現在の乗用車の殆どはチューブレスのラジアルタイヤを装着しているが、昔はバイアスタイヤとチューブの組み合わせだった。
釘等を踏むと、タイヤを貫通した先端がチューブに孔をあけ、空気が一時に漏れてしまう。
しかしチューブレスタイヤの場合、刺さった釘はタイヤのゴムに抱き留められて、空気は一時に抜ける事は希で、刺さった個所から少しずつ漏れる。
だから、即座に「パンクした」と認識する事が難しくなった。
その日のスタート前に、車を見回してタイヤの空気圧が低下していないかを確認するのは、それ程面倒な事ではないだろう。
最近の車は、スペアタイヤも積まずに、修理キットだけにまでなっている。
普通の「パンク」ならこれで十分かも知れないが、「バースト」した場合は修理キットでは対応不能だ。
その場合は、JAFを呼ぶなりして対応するしか無いだろう。
●正常な状態を覚えておくのが大事
最近の車は、殆ど手がかからずに非常に便利になったが、漫然と乗りっ放しにせず、普段まともに運転出来ていた状態を覚えておいて、いつもと違った音やニオイ、乗り心地が感じられたら「何等かのトラブル」の予兆ではないかと考える様にすると良いだろう。(記事:沢ハジメ・記事一覧を見る)