相場展望9月16日号 米国株: NYダウは史上最高値に迫るが、慎重なスタンスもありか 日本株: 円相場「135円」と円高進行、株式市場には逆風の可能性
2024年9月16日 12:39
■I.米国株式市場
●1.NYダウの推移
1)9/12、NYダウ+235ドル高、41,096ドル
2)9/13、NYダウ+297ドル高、41,393ドル
【前回は】相場展望9月12日号 米国株: 金利引下げは9月FOMCの9/18、テレビ討論会はハリス優位 日本株: 今日の株高は、7日続落で▲3,081円安の反動高の可能性
●2.米国株:NYダウは史上最高値に迫るが、慎重なスタンスもありか
1)米国の政策金利引き下げ幅が▲0.50%の確率が28%⇒43%に上昇し、株高へ
・NYダウは株高で史上最高値に接近となった要因は、大幅利下げとなる▲0.50%引下げ期待が再燃したことにある。
・逆に、▲0.25%引下げ決定の場合は「株安」圧力が増すことになる。
2)NYドルは8/30の史上最高値に9/13に迫り、相場の分岐点にある
・NYダウは8/30に付けた史上最高値41,563ドルに、9/13に41,393ドルと迫った。
・NYダウは
(1)一気に史上最高値を抜き去るか
(2)ダブルトップを形成して下落に転じるか
分岐点にいる。
・注目点は
(1)米国経済が「後退期」にいるのか、「ソフトランディング(軟着陸)」するのか、にかかっている。
(2)FRBの9月金利下げ幅「▲0.50%」あるいは、「▲0.25%」なのか。
・米国消費者の動向「格安セット」のマクドナルドの販売好調さをみると、米国では節約志向が広がっていることが気懸りである。どうしても、米国経済は軟着陸できるとは言い切れない。FRBが9/18に大幅な金利引下げの▲0.50%とした場合、市場参加者は「米国経済は後退期にある」と受け止める可能性がある。したがって、持ち高調整をして状況を伺うことが賢明なように思える。
●3.米マクドナルド、格安セット「5ドルマック」を再延長、価格競争激化(毎日新聞)
1)物価上昇(インフレ)に苦しむ消費者から人気を集めている。
●4.米国8月卸売物価指数(PPI)は前年比+1.7%上昇、前月の+2.1%から伸び鈍化(ロイター)
1)市場予想は+1.8%だった。
2)インフレ鎮静化と一致する内容となった。
■II.中国株式市場
●1.上海総合指数の推移
1)9/12、上海総合▲4安、2,717
2)9/13、上海総合▲13安、2,704
●2.中国、5兆ドル超の住宅ローン金利を最大▲0.5%の引下げへ、9月中にも(ブルームバーグ)
●3.米政府は9/13に対中国制裁関税の大幅引上げ決定、多くが9/27発効(ロイターより抜粋)
1)引上げる関税の内訳
100%引上げ : 電気自動車(EV)、注射器
50%引上げ : 太陽電池
中国製半導体(2025年に導入する予定)
25%引上げ : 鉄鋼、アルミニウム、EV用バッテリー、主要鉱物
2)中国で過剰生産された廉価品に対し、米国の戦略産業分野の保護強化する狙い。
●4.中国8月小売売上高は前年同月比+2.1%増に減速、伸び率は7月比▲0.6%減速(共同通信)
●5.中国の8月住宅価格、70都市で9割が下落、低迷に歯止めかからず (共同通信)
1)中国政府は在庫物件の買取や住宅ローン規制緩和など支援策を打ち出すも、市況不況に歯止めがかかっていない。
2)取引数が多く、市場需給をより反映しやすい中古住宅は69都市で値下がりし、下落は7月より2都市増えた。
●6.中国政府、自動車メーカーが完全現地生産の「海外投資リスク」を警告(ロイター)
1)中国から輸出した部品の最終的組み立て工場とする海外進出を推奨。
●7.中国で定年引上げ法案を可決、市民からは将来を心配する声も(ABEMA)
1)中国の定年 現状 ⇒ 2025年1月
男性 60歳 63歳
女性 55歳・50歳 58歳・55歳
2)年金の財政面からも見直しは必要とされていた。
3)若者の高失業率へのさらなる圧迫が続くとの心配。
●8.中国の不動産開発投資、1~8月は▲10.2%減、工業生産と消費が伸び悩み(産経新聞)
1)8月主要統計では、
・工業生産は前年同月比+4.5%増、7月の+5.1%増から鈍化。
・自動車は▲2.3%減、8月の国内向け新車販売は▲10.7%減。
・消費動向を示す小売売上高は+2.1%増、7月の+2.7%増から伸びが縮小。
・投資指向を示す固定資産投資は1~8月累計で前年同期比+3.4%増と伸び悩んだ。
インフラ投資は+4.4%増だった。
■III.日本株式市場
●1.日経平均の推移
1)9/12、日経平均+1,213円高、36,833円
2)9/13、日経平均▲251円安、36,581円
●2.日本株 : 円相場「135円」と円高進行、株式市場には逆風の可能性
1)円相場「135円」へと円高進行の可能性
・9/13の米国で、円相場は一時140.285円/ドルと昨年12月以来の円高。
・円相場の推移
7/11 161.78円
8/01 149.85
8/05 142.52
8/16 148.97
9/02 146.21
9/12 142.58
9/13 140.89
米国 140.285
Xデー 135
・円相場は、7/11⇒9/13(米国)まで+21.495円もの円高へ急伸した。当面の目標値135円まで、あと+5円程度の円高は指呼の距離に迫っている。
・円高の要因
(1)日米金利差の縮小
・米国FRBの金利引下げは確定
・日銀の政策金利引上げが始まったばかり
(2)為替投機筋は「円買い」の環境
(3)円キャリーの逆流で、円が買い戻される可能性
・米国の金利低下で、円キャリー取引のうま味が薄くなり、円キャリーが止まり円安圧力が弱まる可能性がある。
・そうなると円高による為替差損の回避を意識した、米国投資の日本への還流が行われ、円が買い戻される可能性がある。
・その流れが起きれば、短期間で円相場は「135円」もあり得る。
2)海外投資家勢は、7月5週~9月1週の8週間で▲5兆1,568億円もの売り越し
・売り越しの内訳
・現物株式 ▲2兆1,493億円
・株式先物 ▲3兆0,075億円
・特に、ヘッジファンドなど海外短期筋の動きは機敏に大量の資金をもって動く習性があるため、日経平均の値動きは荒くなる。
・日経平均の値動きの荒さ
7/12 ▲1,033円安
7/25 ▲1,285円安
8/02 ▲2,216円安
8/05 ▲4,451円安
8/06 + 3,217円高
8/13 + 1,207円高
9/04 ▲1,638円安
9/12 + 1,213円高
・海外短期筋は、日経平均の大幅高・大幅安のいずれでも「株式指数先物」を使って、断続的かつ集中的に相場を操縦している。
3)今後の相場展開は、「円高=株安」を指向するとみる
・海外短期筋は「円安=株高」「円高=株安」という方程式で仕掛けていると思われる。
・「円安」は行きつくところまで行ったため、7/12以降は逆噴射して「円高」方向にある。日経平均は、円相場の動きに合わせて「大幅安⇒反動高⇒大幅安」を繰り返しながら進展していくと思われるため、慎重さと機敏さが求められる。
・歴史的に、株式相場は9~10月に時々、大きな下落を伴うことを経験している。米国大統領選挙日まで、楽観することなく備えに徹したい。
●3.リコー、国内外で2,000人削減へ、オフィッス機器市場縮小で事業転換(朝日新聞)
1)ペーパーレス化などを背景にオフィス機器市場は縮小傾向にあり、業界再編につながる動きが広がっている。
●4.キリン、ファンケルのTOB(公開買付)成立、完全子会社化へ(ロイター)
●5.神戸物産、本業は好調も急激な円高で為替予約の評価損で減益(日経新聞)
■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)
・3776 ブロードバンドタワー 業績好調。
・4004 レゾナック 黒字転換。
・6856 堀場製作所 業績堅調。