電算システムHD Research Memo(10):3ヶ年計画と2027年12月期までの長期的な経営方針を定める

2024年9月13日 16:10

*16:10JST 電算システムHD Research Memo(10):3ヶ年計画と2027年12月期までの長期的な経営方針を定める
■成長戦略

1. 長期計画「Challenge1000」
電算システムホールディングス<a href="https://web.fisco.jp/platform/companies/0407200?fm=mj" target="_blank" rel="noopener noreferrer"><4072></a>は長期計画として「Challenge1000」を掲げ、ESG、SDGsの要素を加味しながら、2027年12月期に売上高1,000億円を目指している。これまで培った情報処理に関するノウハウと、IT技術とサービスを組み合わせることで生まれる「新しい価値の創造」を、「情報サービス事業」「決済サービス事業」「クラウドサービス事業」「新規事業」の4つの事業を通じて実現していく。ESG、SDGsの具体的な施策としては、紙を使用する同社の主力商品である収納代行サービスの払込票において、紙に代わる形態(PAYSLE、SMS等)に注力するほか、「DSKマルチインボイスサービス(請求書作成代行サービス)」による請求書の電子化も環境保全に貢献している。顧客のクラウド利用拡大を目指すデータセンターでは、社会全体のエネルギー利用の効率化を実現し、データセンター自体でも電力使用効率向上(省エネ)と、将来は再生可能エネルギー利用率の向上に取り組み、脱炭素に寄与する。2024年12月期には、先端技術を活用したソリューション展開を発表した。地方創生領域で活用することで、地域経済の活性化を促し、暮らしやすいまちづくりへの貢献により、ESG、SDGsへの関与がさらに高まった。

2. 3ヶ年計画
同社は、3ヶ年計画(2024年12月期~2026年12月期)を策定し、2026年12月期に売上高800億円(情報サービス事業:472億円、収納代行サービス事業:327億円)の目標を設定した。この3ヶ年を「新たな価値を創造し、計画以上の成長を目指す」期間と位置付け、売上高は毎期10%以上の増加、利益率は毎期改善を図る。従来の情報サービス事業や決済サービス事業の拡大に注力するとともに、新規事業としてDX事業、セキュリティサービス事業、公共・教育分野向けサービス事業を強力に推進していく。
DX事業推進の中心となるのは自治体関連のDX案件の取り込みである。「みんなのミチシルベ(R)」シリーズを案件取り込みの有効なツールとするが、単に受託開発や製品導入を受注するだけではなく、自治体のニーズや業務上の課題を明確にし、課題解決のためにトータル提案を行い、受注につなげていく。このようなアプローチこそが「真のDX」になると考えており、今後は自治体に限らず、一般企業に対しても推進していく。

公共・教育分野向けサービス事業では、NEXT GIGAで、電算システムのWebアプリケーション「Ra:Class」とNECの「学びの様子見える化サービス」を統合し、教育DXサービスを提供する。収集した教育データの分析についてもNECが提供するDX基盤「NEC Digital Platform」との連携が視野に入っており、さらなる先進的ソリューションを展開する。

価値創造企業への変革として、グループ企業間の連携強化と人材育成にも注力する。グループ企業間の連携強化については、同社グループは2つの事業所と10のグループ会社で構成されており、様々な領域でSIerとして事業展開している。グループ間での異動により人材交流を活性化させているほか、グループ内での情報交換の場を設けて社員間のつながりを強化し、案件ごとでの連携も図っているようだ。このような取り組みにより、業務の効率化、新規アイディアの創出によるクロスセルやアップセルなど、グループシナジーが期待できると弊社では考えている。

人材育成に関しては、クラウドサービス事業では現在Google を中心に対応しているが、顧客によってはAWS指定もあることから、今後は独立SIerという強みを生かし、また、クラウドインフラ市場シェアについてもAWSが大きいことから、AWSやMicrosoft Azureを指定する顧客への対応も受け入れ、収益基盤を拡大する方針だ。2024年6月には社員がAWSの若手エンジニア表彰プログラム「2024 Japan AWS Jr. Champions」に認定されるなどの対応を進めている。特定の技術に専門化して育成するのではなく、異業務間での交流や配置転換などにより多種多様な経験を積ませてスキルアップを図る。加えて、適材適所を見極めて人材配置を行い、生産性を向上させる。次世代技術ブロックチェーン関連の人材育成については、他社との業務連携や業務委託など実践の場を通じて、技術進化へのキャッチアップを図る。なお、同社は次世代技術にまで対応できる人材を育成するために、Webツールを活用した学びの機会を社員に提供している。

(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)《HN》

最新記事