ハッチ・ワーク Research Memo(6):2024年12月期第2四半期はストック型収益が積み上がり増収、黒字転換

2024年9月13日 13:06

*13:06JST ハッチ・ワーク Research Memo(6):2024年12月期第2四半期はストック型収益が積み上がり増収、黒字転換
■ハッチ・ワーク<a href="https://web.fisco.jp/platform/companies/0148A00?fm=mj" target="_blank" rel="noopener noreferrer"><148A></a>の業績動向

1. 2024年12月期第2四半期の業績概要
2024年12月期第2四半期の業績は、売上高1,163百万円(前年同期比14.6%増)、経常利益69百万円(前年同期は13百万円の損失)、中間純利益45百万円(前年同期は1百万円の利益)と増収増益で、経常利益が黒字転換した。積極的な営業活動や広告宣伝・広報活動の強化により、APクラウドサービスの契約社数が拡大し、APクラウド登録台数も伸長した。その結果、管理会社から収受するシステム利用料、駐車場利用者から収受する決済手数料、滞納保証料といったストック型収益が着実に積み上がり、月極イノベーション事業の売上高は678百万円(前年同期比29.0%増)と順調に推移した。ビルディングイノベーション事業は、コロナ禍の影響を受けて2023年まで新規会場の開発を抑制していたため売上高は484百万円(同1.0%減)とほぼ横ばいで推移した。損益面においては、2020年から先行投資を続けてきたAPクラウドサービスのコストが落ち着くとともに、ストック型収益が限界利益として積み上がり、月極イノベーション事業のセグメント利益が前年同期の約3倍に伸長し経常利益の黒字化に大きく寄与した。

2. 事業セグメント別動向
(1) 月極イノベーション事業
月極イノベーション事業の2024年12月期第2四半期の売上高は678百万円(前年同期比29.0%増)と成長した。そのうち、APクラウドサービスの売上高は475百万円(同43.5%増)と伸長した。APクラウド登録台数が345千台(前年同期末比32.1%増)、決済代行台数が136千台(同42.9%増)、滞納保証台数が56千台(同56.0%増)と順調に推移し、システム利用料、決済手数料、滞納保証料といったストック型収益が積み上がった。APソリューションサービスも、訪問者数、契約件数が増加しており、売上高は同3.6%増と微増ながら堅調に推移した。APクラウドサービスのインサイドセールスを強化したほか、「アットパーキングクラウド」の機能の改善、充実を図るなど、同社の経営資源を同サービスに集中した結果、全国において導入する駐車場が拡大、評価がさらに上がり、「アットパーキングクラウド」の導入が進むという好循環が生じている。損益面では、APクラウドサービスの売上総利益率が76.3%と前年同期を3.1ポイント上回り、セグメント利益は173百万円と前年同期の約3倍に伸長した。

(2) ビルディングイノベーション事業
ビルディングイノベーション事業の2024年12月期第2四半期の売上高は484百万円と前年同期比1.0%減少した。2023年4月に新宿南口駅前会議室を閉鎖した影響などで、会議室サービスが前年同期比1.9%減収となった。会議やセミナー、研修などを対面で実施する需要がコロナ禍から回復し、貸会議室の稼働は順調に推移したが、3月の会社説明会、面接などの採用関連の利用が計画よりも伸びなかった。損益面では、貸会議室の需要回復に伴い利用時間が増加し、利用時間単価の値上げを実施したほか、遠隔操作で会議室会場の扉を開閉し省人化を図るなど会議室運営の効率化を進めた結果、セグメント利益は137百万円と前年同期比3.0%増と堅調に推移した。

3. 財務状況と経営指標
2024年12月期第2四半期末の資産合計は、前期末比で525百万円増加し2,363百万円となった。現金及び預金の増加377百万円、預け金の増加106百万円が主な要因である。財務活動によるキャッシュ・フローが、2024年3月の東証グロース市場への上場に伴う新株発行、自己株式売却などにより387百万円の収入となったことが現金及び預金の増加につながった。フリーキャッシュ・フロー(営業活動と投資活動によるキャッシュ・フローの合計)は10百万円の支出となった。税引前中間純利益が69百万円増加、賃料の収納代行の拡大に伴い預り金が61百万円増加した一方で、賃料の信託銀行への預け金が106百万円増加し資金の減少につながった。正常な運転資金が生じたことが要因であり、今後は利益が積み上がりキャッシュ・フローは改善していくであろう。

負債合計は前期末比で99百万円増加し1,685百万円となった。長短借入金及び社債の増加14百万円、預り金の増加61百万円が主な要因である。純資産合計は同425百万円増加し、自己資本比率は28.7%と前期末を15.0ポイント上回った。資本金は新株発行により138百万円増加、資本剰余金(資本準備金+その他資本剰余金)は新株発行と自己株式売却により234百万円増加した。

なお、同社は第2四半期末では繰越利益剰余金の欠損910百万円を抱えているが、2024年9月に開催される臨時株主総会において「資本金の額の減少並びに剰余金の処分の件」を付議し、欠損補填を行う。前期末の繰越利益剰余金の欠損956百万円を補填できるように、資本金を188百万円減資し、その他資本剰余金に振り替えた上で、その他資本剰余金956百万円を繰越利益剰余金に振り替える。会計上の振替処理であり、株主への影響はない。資本金は50百万円となる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本章弘)《HN》

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