サイオス Research Memo(1):SaaS・サブスク事業が順調に成長、生成AI関連事業の育成にも取り組む

2024年9月12日 12:01

*12:01JST サイオス Research Memo(1):SaaS・サブスク事業が順調に成長、生成AI関連事業の育成にも取り組む
■要約

サイオス<a href="https://web.fisco.jp/platform/companies/0374400?fm=mj" target="_blank" rel="noopener noreferrer"><3744></a>は、Linuxに代表されるオープンソースソフトウェア(以下、OSS)※1の開発と利用を軸に、OS、サーバー、アプリケーション、クラウドコンピューティングに関わるソフトウェア製品とサービスの提供を行うIT企業である。主力製品にはシステム障害時のシステムダウンを回避するソフトウェア「LifeKeeper」※2や「Gluegentシリーズ」※3などがある。

※1 ソフトウェアの設計図にあたるソースコードを無償で公開し、使用・改良・再配布ができるソフトウェア。
※2 稼働中のサーバーとは別に同じ環境の予備サーバーを待機させ、万が一障害が発生した際には自動的に予備サーバーに業務を引き継がせる役割を担うソフトウェア。
※3 IDの管理をクラウドで行うサービス「Gluegent Gate」をはじめ、クラウド型ワークフローの「Gluegent Flow」、Google Calendarにチームメンバーの予定管理機能等を付加した「Gluegent Appsグループスケジューラ」等、企業の業務効率化等を支援するサービス。

1. 2024年12月期第2四半期業績の概要
2024年12月期第2四半期(2024年1月〜6月)の連結業績は、売上高で前年同期比46.3%増の11,804百万円と大幅増収となり、営業損失も18百万円と前年同期の106百万円から縮小した。売上高はRed Hat, Inc.関連商品※1の大型案件を受注したほか、「LifeKeeper」や「Gluegentシリーズ」などの自社製品・サービス、並びにAPI※2ソリューションなどが順調に拡大したことが増収要因となった。利益面では、自社製品・サービスの増収効果に加えて、研究開発費の絞り込みを行ったことが改善要因となった。

※1 オープンソースソフトウェア&サービス・プロバイダーの大手であるRed Hat, Inc.が開発するオープンソースの製品。
※2 異なるソフトウェアやアプリケーション間で情報・機能を共有するための仕組み。

2. 2024年12月期の業績見通し
2024年12月期の連結業績は、売上高で前期比25.9%増の20,000百万円と2期連続で過去最高を更新、営業利益は250百万円と3期ぶりの黒字に転換する見通しだ。Red Hat, Inc.関連商品の受注増加により、売上高は期初計画から3,400百万円上方修正したが、利益面でのインパクトは軽微なため営業利益は期初計画を据え置いた。KPIとしているEBITDAも310百万円(前期は147百万円の損失)と黒字に転じ、ROICは11.6%(同-10.1%)と大きく改善する計画だ。

3. 成長戦略と中期経営計画
同社は成長戦略として、SaaS・サブスク事業への継続投資、APIソリューション事業の拡大、生成AIによる事業強化の3点に取り組んでいる。SaaS・サブスク事業の育成により、ストック型ビジネスモデルへ移行することで持続的成長を実現する収益構造へ変革するほか、成長ポテンシャルの高いAPIソリューション事業や生成AI関連事業を育成することで成長加速を狙う。3ヶ年の中期経営計画では、2026年12月期のEBITDA(償却前営業利益)で880百万円(2023年12月期は147百万円の損失)を目標に掲げ、ROIC(投下資本利益率)は資本コストを大幅に上回る24.3%を目指す。注力している3つの事業分野が順調に成長すれば、これらの数値目標の達成も視野に入ってくると見られ、今後の進捗状況が注目される。

■Key Points
・2024年12月期第2四半期累計業績は大幅増収、損益改善
・2024年12月期業績は売上高を上方修正、各利益は3期ぶりに黒字転換する見通し
・2026年12月期にEBITDAで880百万円、ROICで24.3%を目指す

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)《HN》

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