Jトラスト Research Memo(5):韓国及びモンゴル金融事業は増収も、景気の悪化及び債権の不良化により営業損失
2024年9月12日 11:05
*11:05JST Jトラスト Research Memo(5):韓国及びモンゴル金融事業は増収も、景気の悪化及び債権の不良化により営業損失
■業績動向
(2) 韓国及びモンゴル金融事業
Jトラスト<a href="https://web.fisco.jp/platform/companies/0850800?fm=mj" target="_blank" rel="noopener noreferrer"><8508></a>の2024年12月期第2四半期の営業収益は23,494百万円(前年同期比2.7%増)、営業損失は1,256百万円(前年同期は1,196百万円の損失)となった。営業収益は貯蓄銀行業における貸出金が減少したものの、新規貸出金利の上昇による利息収益の増加などで、増収となった。営業利益は景気の悪化及び債権の不良化により貸倒引当金繰入額や債権売却損が増加し、損失となった。ただ第1四半期は営業損失13億円の計画に対して営業損失12億円、第2四半期も営業損失1億円の計画に対して営業利益0億円と、計画を上回るペースで改善した。
JT親愛貯蓄銀行の貸出残高は、不良債権増加やBIS規制遵守のため戦略的に個人向け貸出を抑制したことで、2024年6月末には2,445億円に減少した。2022年秋に高金利で集めた1年物の定期預金が満期を迎えたことから平均預金金利は低下傾向にある一方、貸出期間は平均5年であるため平均貸出金利が徐々に上昇傾向にある。そのため、預貸スプレッドは2023年3月の6.48%から2024年6月には7.51%に改善した。引き続き適切な管理を行い、預貸スプレッドの拡大を目指す方針だ。また、貸出残高の減少に伴い不良債権比率は2024年6月末には10.18%に上昇したが、貸倒引当金を控除したネットでは3.06%と低位での推移となった。引き続き回収とモニタリングの強化によって、不良債権比率の低下を目指す。
JT貯蓄銀行の貸出残高は2024年6月末には2,283億円とほぼ横ばいで推移した。債権の質の良化を重視し、貸出残高をコントロールした結果である。JT親愛貯蓄銀行と同様の理由から、平均預金金利が低下する一方で平均貸出金利が上昇しており、預貸スプレッドは2023年3月の5.21%から2024年6月には7.28%へと改善した。また、不良債権比率は2024年6月末には8.61%になったが、貸倒引当金を控除したネットでは7.28%に留まった。JT親愛貯蓄銀行と比べてネット不良債権比率は高いものの、JT貯蓄銀行では法人向け貸出の割合が多く、大半が担保で保全されているため問題はないようだ。引き続き回収とモニタリングを強化することで、不良債権の抑制に注力する方針だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)《HN》