サンフロ不動産 Research Memo(3):既存不動産の活用等をとおして顧客の資産価値の最大化を実現(1)
2024年9月10日 15:03
*15:03JST サンフロ不動産 Research Memo(3):既存不動産の活用等をとおして顧客の資産価値の最大化を実現(1)
■サンフロンティア不動産<a href="https://web.fisco.jp/platform/companies/0893400?fm=mj" target="_blank" rel="noopener noreferrer"><8934></a>の事業概要
同社グループは、ビル経営におけるすべてのステップをワンストップで提供している。最も影響力を発揮できる都心オフィスビル事業を中核に据え、ホテル・観光事業やその他事業にも取り組んでいる。ビル経営における各ステップで、同社グループの主要サービスを独自の事業として構築することで専門性を追求し、競争優位性を確保している。また、部門を超えてサービスを連携・連鎖させ、専門性を持った人財を集めることで、顧客視点に立ったより大きな付加価値の提供を実現している。サービスの連携・連鎖の例としては、賃貸仲介が持つ地域密着の土地勘を生かしたテナント目線のリニューアル企画や、プロパティマネジメントの知見の活用によりビルの価値を最大化し、売買仲介と協業しながら売却するといったものがある。フィロソフィ経営により全従業員の価値観をそろえ、顧客目線で課題解決に取り組むことで、連鎖複合型の付加価値の高い商品とサービスを生み出すという強みにつなげている。
1. 不動産再生事業
不動産再生事業では、「リプランニング事業」「賃貸ビル事業」を手掛けている。
「リプランニング事業」は、稼働率の低い収益不動産やリニューアルを要する建物を取得し高収益の不動産に再生したうえで、富裕層・資産家・事業法人・ファンド等へ販売している。日頃からテナントのニーズを把握しているプロパティマネジメントや賃貸仲介のノウハウを活用して時代やニーズにマッチしたオフィス空間を企画・演出し、コストパフォーマンスを追求した改修工事を行っている。そして、地域密着によるリーシング力を生かして早期満室稼働を実現することで収益性を高めている。
リプランニング事業において特徴的な商品化方法の1つである「セットアップオフィス」は、通常の賃貸オフィスとは異なり、受付や応接室などの設営や執務エリアにデザイン性の高い内装工事を施し、設備や什器の一部を予め設置した状態で貸し出される。入居テナント企業には、4つのメリットがある。1) オフィス内装の考察や業者選定などの手間がかからず、経営者の負担を軽減する。2) 配線関連や引越以外の作業が不要なため、移転後すぐに利用可能。内装や原状回復の工期短縮により、正味利用可能期間も増加。3) オフィス内装の費用負担が削減されるため、入居テナントの内装資産計上もなく財務負担が軽減される。4) 意匠性や機能性にこだわった、高いデザイン性を持ったオフィス内装により、人財採用や社員のモチベーション、生産性が向上する。これは土地勘があり、入居テナントの動向を把握している同社グループならではの商品である。2024年2月に実施された同社企画の調査によると、東京23区内のセットアップオフィスのシェアは、数ベースで46.6%、面積ベースで38.5%と圧倒的なシェアを誇っている。市場においては競合他社参入の動きが見られるが、一部の競合他社はいわゆる後発企業にあたりセットアップオフィスありきの事業を行っているわけではない。同社はセットアップオフィスの先駆者として、他の追随を許さないノウハウと情報網を有している。社是である「利他」の精神により顧客目線を貫き、新規入居者の希望や既存入居者の要望を素早く商品に生かすことで、セットアップオフィス市場における同社の優位性は揺るぎないと弊社では見ている。
「賃貸ビル事業」は、リプランニング事業における賃貸ビル物件数を拡大しながら、不動産サービス部門で培ったオペレーション力を生かして、賃料収入を得ている。
2. 不動産サービス事業
不動産サービス事業では、「リーシングマネジメント事業」「プロパティマネジメント事業」「ビルメンテナンス事業」「滞納賃料保証事業」「貸会議室事業」を手掛けている。
「リーシングマネジメント事業」は都心主要エリアに12ヶ所の営業所を構えており、地域に根差した営業活動を行っている。売買仲介では、他部門からの紹介案件を着実に成約につなげることで安定的な収益を確保している。賃貸仲介では、80人超のリーシング営業マンを配置し、圧倒的なスピードと行動量により顧客課題を解決している。東京都心部のオフィスビルに特化して、移転計画・仲介・内装デザインまでのトータルサポートを提供するほか、居抜きオフィスサイト「そのまんまオフィス!」を運営しており、現在使われている空間・内装・設備・インフラを「そのまま貸したい・借りたい」というニーズとマッチングしている。
「プロパティマネジメント事業」は、ビルの収益向上と不動産価値の最大化をミッションに掲げている。ビル管理では、年間700件以上に及ぶ賃貸仲介によって得た「入居推進力」と、定期的にテナントを訪問し快適な事業環境を維持・提供することで得た「入居維持・契約更新力」を生かし、ビルオーナーが所有する不動産の安定経営を実現している。また、空室のテナント斡旋・リニューアル提案から相続・事業継承までのワンストップサービスを提供している。単なる賃貸仲介業やビル管理業ではなく、顧客の不動産を中心とした資産の「お困りごと解決」業を本業として掲げ、問題解決能力を持つ専門部門と連携することで幾世代にもわたる資産防衛・活用を実現している。
「ビルメンテナンス事業」では、ビルのトータルメンテナンス及び管理業務や各種工事を行っている。「東京を世界一美しい街に」を合言葉に、建物の清潔かつ安全なビルメンテナンスに取り組んでいる。また、環境にも配慮したメンテナンスを行っており、事業を通じてSDGsにも取り組んでいる。
「滞納賃料保証事業」は、テナントの賃料滞納発生時に、ビルオーナーに対して賃料を保証するサービスを提供している。同社グループが提供するビルサポートシステムにより、テナントには入居しやすい経済環境を、ビルオーナーには未回収リスクの移転と稼働率アップをそれぞれ同時に提供している。また、督促書面等の作成から裁判手続き・退去・原状回復に至るまで、解決に向けた煩雑業務を引き受けている。
「貸会議室事業」は、都心オフィスビルの空室を貸会議室・レンタルオフィス・コワーキングスペースとして提供している。都心不動産の「空間」と「時間」の価値最大化を目的として、建て替えによる取り壊しが決定しているオフィスビルなど、借主が見つかりにくく、空室のまま放置されているオフィスを借り上げ、様々な付加価値を乗せることで有効活用につなげている。都心オフィスビル事業で培ってきた土地勘と支店網が生かせる東京都心部に集中的に店舗展開し、スピード感と柔軟性のある対応により利便性を追求している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司)《HN》