セレンディップ Research Memo(1):中期経営計画を策定、2027年3月期に売上高500億円を目指す

2024年9月2日 14:01

*14:01JST セレンディップ Research Memo(1):中期経営計画を策定、2027年3月期に売上高500億円を目指す
■要約

1. 会社概要と事業内容
セレンディップ・ホールディングス<a href="https://web.fisco.jp/platform/companies/0731800?fm=mj" target="_blank" rel="noopener noreferrer"><7318></a>は、「日本の中堅・中小製造業を世界に誇れる100年企業へ」というミッションを掲げ、事業承継という課題を抱える日本の中堅・中小製造業の経営革新を支援している。3つの事業を展開しており、モノづくり事業では、事業承継を目的に高い技術力を持つモノづくり企業へのM&Aを実施し、同社のノウハウによって経営の近代化を進めることで収益力の強化を図っている。プロフェッショナル・ソリューション事業では、プロ経営者やエンジニアなどの派遣、ソフトウェアの受託開発、経営コンサルティングなどを行っている。インベストメント事業では、投資して企業価値を向上したのちに売却しキャピタルゲインを獲得する事業や、フィナンシャル・アドバイザリーを提供するサービスを展開している。

2. ビジネスモデル
中堅・中小企業の事業承継課題に対する同社の解答が、事業承継トータルソリューションである。これは、グループ化、フロー型、共同ファンドという3つの投資モデルやアライアンスなどによるM&A実行基盤、プロ経営者チームやバックオフィス業務の支援などによる経営管理基盤、見える化、標準化、省人化を通じて品質や生産性の向上を図るモノづくり基盤という、同社の展開する3事業を背景に構築された3つの基盤によるモノづくり事業承継プラットフォームをベースとしている。これにより中堅・中小製造業のオーナーに対して事業承継ソリューションを提供しているが、一方同社にとって、M&A実行基盤による非連続的成長と、経営管理基盤とモノづくり基盤によるオーガニックな成長を同時に実現するためのビジネスモデルになっている。

3. 中期経営計画
こうしたプラットフォームが構築できたこともあり、同社は中期経営計画「セレンディップ・チャレンジ500」を策定した。2027年3月期に売上高500億円、営業利益25億円、ROE20.0%を目指しているが、売上高はオーガニック成長で250億円、M&Aによる非連続的成長で250億円(2024年3月期はゼロ)を達成する考えである。オーガニック成長においては、モノづくり事業でグローバル化や完成品市場への進出などにより216億円、プロフェッショナル事業でITコンサルティングや協働ロボット事業の拡大により25億円、インベストメント事業でフィナンシャル・アドバイザリーなどにより9億円の売上高を見込んでいる。一方、M&Aによる非連続的成長においては、M&A規模の大型化や機能・技術を軸としたロールアップ型M&A※などにより売上急拡大を目指す。

※ロールアップ型M&A:同じ業界や関連する業種の企業を複数買収し、統合することで市場シェアを拡大するM&A戦略。


4. 業績動向
2024年3月期の業績は、売上高19,787百万円(前期比30.2%増)、営業利益477百万円(同47.0%増)とピークを更新した。プロフェッショナル・ソリューション事業で人材採用費用が増加、売上高の期ズレや先行費用も発生したが、自動車メーカーの国内生産が高水準で推移したモノづくり事業、黒字化を果たしたインベストメント事業が業績をけん引した。中期経営計画初年度となる2025年3月期業績見通しについて、同社は売上高21,800百万円(前期比10.2%増)、営業利益800百万円(同67.4%増)と引き続きピーク更新を見込んでいる。売上高の期ズレや先行費用の解消、新たに連結したレディーバードの通期業績寄与などが大幅増益予想の要因である。ただし、M&Aについては収益も費用もほとんど織り込んでいない。

■Key Points
・事業承継トータルソリューションカンパニーとして中堅・中小製造業の経営革新を支援
・プラットフォーム構築を背景に中期経営計画を策定、2027年3月期売上高500億円を目指す
・期ズレや先行費用の解消、レディーバード通期寄与により2025年3月期は大幅営業増益へ

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)《HN》

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