ソフトクリエイトホールディングスは反発の動き、25年3月期増収増益予想

2024年8月28日 09:32

 ソフトクリエイトホールディングス<3371>(東証プライム)はECソリューション事業とITソリューション事業を展開し、成長戦略としてクラウドサービス拡大などを推進している。25年3月期は増収増益予想としている。第1四半期は前期の一過性収益の反動や人的資本投資によるコスト増加などで営業・経常減益だが、計画を上回る水準だった。ECソリューション事業、ITソリューション事業とも順調に伸長しており、通期ベースでは積極的な事業展開で収益拡大基調に変化はないだろう。株価は地合い悪化の影響で急落する場面があったが、目先的な売りが一巡して反発の動きを強めている。出直りを期待したい。

■ECソリューション事業とITソリューション事業を展開

 ITソリューションサービスを展開する持株会社である。セグメント区分はECソリューション事業およびITソリューション事業としている。

 24年3月期のセグメント別売上高(外部顧客に対する売上高)は、ECソリューション事業が155億44百万円、ITソリューション事業が123億68百万円、経常利益(全社費用等調整前)はECソリューション事業が39億63百万円、ITソリューション事業が28億35百万円、経常利益の調整額が▲14億42百万円だった。

 売上高の内訳は、ECソリューション事業のECサイト構築が103.9億円、デジタルマーケティングが34.8億円、ECクラウドサービスが16.7億円、ITソリューション事業のセキュリティ・インフラ構築が60.2億円、ITパッケージが18.0億円、ITクラウドサービスが22.9億円、IT機器が22.5億円だった。各分野とも増収基調となっている。

■ECソリューション事業はECサイト構築「ecbeing」が主力

 ECソリューション事業は連結子会社ecbeingのECサイト構築パッケージecbeingの販売・保守・ホスティングサービスが主力である。ECサイト構築からマーケティング支援やデータ分析までワンストップで対応していることを強みとして、中~大規模顧客向けを中心に国内ECサイト累計構築実績は22年度末時点において1600サイトを突破した。市場シェアは15年連続1位(出典:富士キメラ総研のソフトウェアビジネス新市場2023年版による「ECサイト構築パッケージソリューション市場占有率調査」で市場シェア57.1%)である。また23年のecbeing年間流通総額は1兆2405億円を突破した。

 22年2月にはecbeingが海外市場向けマーケティング事業・越境EC支援事業を展開するクロスシーの第三者割当増資を引き受けて資本業務提携した。22年11月にはecbeingが、レビューマーケティングプラットフォームのReviCoを展開する新会社ReviCoを設立した。23年7月にはecbeingがMicrosoftのAzure OpenAI Serviceを活用し、ChatGPTを組み込んだAIチャットボットシステムのAIデジタルスタッフをリリースした。24年6月にはecbeingが、ECサイトと会員情報を一元化できる予約管理システムRESOMO(リソモ)をリリースした。

■ITソリューション事業はSIやワークフローシステムが主力

 ITソリューション事業は連結子会社ソフトクリエイトの自社開発SCクラウド、不正アクセス端末検知・遮断システムL2Blocker、システムインテグレーション(SI)やIT機器販売、連結子会社エイトレッド<3969>のワークフローシステム(パッケージ型AgileWorks、クラウド型X-point Cloud)を主力としている。24年4月にはソフトウェア受託開発を主力とするシステムワークスジャパンを連結子会社化した。

 24年2月にはソフトクリエイトが企業向け生成AIサービスとしてSafe AI Gatewayをリリースした。Microsoft社のAzure OpenAI Serviceを基盤に採用し、企業が生成AIを安全・簡単に利用できるよう開発されたサービスである。24年5月にはソフトクリエイトが、AIカテゴリを含む4つのMicrosoftソリューションパートナー認定を取得した。また生成AI型チャットボットSafe AI Botをリリースした。Safe AI Gatewayのチャットボット機能から派生した商品である。なお24年6月にはソフトクリエイトが経済産業省の「DX認定事業者」として認定を取得した。

 エイトレッドのワークフローシステムのシリーズ累計導入社数は累計4500社を突破している。そしてクラウド型X-point Cloudは、複数の市場調査レポートでワークフロー市場における出荷金額・売上金額実績シェア1位を獲得している。23年12月にはX-point Cloudが、公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)が認証する令和3年度改正基準の「電子取引ソフト法的要件認証」を取得した。24年3月にはAgileWorksクラウド版の販売を開始した。

 成長戦略として、クラウドサービス(ECクラウドサービスのメルカート、ビジュアルマーケティングプラットフォームのvisumo、レビュー最適化ツールのRevico、サイトミライズ、オムニチャネル分析ツールのSechstantなど)の拡販にも注力している。ビジュアルマーケティングプラットフォームのvisumoは導入実績が800社を突破した。

■25年3月期増収増益、5期連続増配予想

 25年3月期の連結業績予想は売上高が24年3月期比7.5%増の300億円、営業利益が6.0%増の54億80百万円、経常利益が6.1%増の56億80百万円、親会社株主帰属当期純利益が5.9%増の34億50百万円としている。配当予想は24年3月期比7円増配の55円(第2四半期末27円50銭、期末27円50銭)としている。5期連続増配で予想配当性向は40.0%となる。

 第1四半期の連結業績は、売上高が前年同期比6.7%増の70億99百万円、営業利益が15.1%減の10億67百万円、経常利益が9.6%減の12億25百万円、親会社株主帰属四半期純利益が5.5%増の8億53百万円だった。

 前期の一過性収益(サイト運用収益を計上)の反動や人的資本投資によるコスト増加などで営業・経常減益だが、計画を上回る水準(計画比で売上高は2.9%増、経常利益は15.0%増)だった。ECソリューション事業、ITソリューション事業とも順調に伸長した。

 ECソリューション事業は、売上高が6.8%増の39億77百万円で、経常利益(全社費用等調整前)が5.8%減の9億76百万円だった。ECサイト構築売上高が伸長し、ECサイト売上拡大施策となるクラウドサービス売上高も伸長した。売上高の内訳はECサイト構築が5.7%増の26.9億円、デジタルマーケティングが2.4%増の8.1億円、ECクラウドサービスが23.3%増の4.7億円だった。

 ITソリューション事業は、売上高が6.5%増の31億22百万円で、経常利益が11.5%減の5億31百万円だった。クラウドサービスやセキュリティ・インフラ構築が順調に拡大した。売上高の内訳はセキュリティ・インフラ構築が2.6%増の14.9億円、ITパッケージが13.5%増の4.2億円、ITクラウドサービスが19.2%増の6.4億円、IT機器が0.2%増の5.7億円だった。

 通期予想は据え置いている。引き続きECソリューション事業、ITソリューション事業とも伸長し、人件費などの増加を吸収する見込みだ。売上高の計画はECソリューション事業が8.7%増の169億円、ITソリューション事業が5.9%増の131億円としている。また経常利益(24年3月期比+3.3億円)の増減要因分析(見込み)は、売上総利益増加で+8.1億円、人件費増加で▲2.1億円、研修費増加で▲0.2億円、広告費増加で▲0.4億円、研究開発費増加で▲0.3億円、その他経費増加(税金等)で▲1.8億円としている。

 なお半期別の計画を見ると、売上高は上期が前年同期比4.3%増の144億45百万円、下期が10.6%増の155億55百万円、経常利益は上期が10.3%減の24億14百万円、下期が15.1%増の30億66百万円で、下期偏重の計画としている。需要が高水準であること、クラウドサービスの収益が積み上がる収益構造であることなどを勘案すれば、通期ベースでは積極的な事業展開で収益拡大基調に変化はないだろう。

■株主優待制度は3月末と9月末の年2回、長期保有優待も実施

 株主優待制度(詳細は会社HP参照)は毎年3月31日および9月30日現在の1単元(100株)以上保有株主(長期保有優待の基準日は毎年3月末)に対して、保有株式数および保有期間に応じてQUOカードを贈呈している。

■株価は反発の動き

 8月5日に自己株式取得を発表した。上限30万株・5億円で取得期間は24年8月6日~24年10月31日としている。    株価は地合い悪化の影響で急落する場面があったが、目先的な売りが一巡して反発の動きを強めている。出直りを期待したい。8月26日の終値は1651円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS137円50銭で算出)は約12倍、今期予想配当利回り(会社予想の55円で算出)は約3.3%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS741円49銭で算出)は約2.2倍、そして時価総額は約455億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

関連記事

最新記事