プリントネット:市場の拡大余地が大きいネット印刷通信販売事業を展開

2024年8月22日 14:56

*14:56JST プリントネット:市場の拡大余地が大きいネット印刷通信販売事業を展開
プリントネット<a href="https://web.fisco.jp/platform/companies/0780500?fm=mj" target="_blank" rel="noopener noreferrer"><7805></a>は、ネットで注文を受けて自社工場で印刷するネット印刷通信販売事業を展開している。2005年10月にサービスを開始したサービス特化型サイト「プリントネット」、2018年4月サービスを開始した価格特化型サイト「PrintPro」の特長の異なる2つのサイトを複数運用することで、顧客の選択肢を広げてそれぞれのニーズに対応している。

ユーザー目線で比較されている競合は、プリントパックやグラフィックが挙げられる。ただ、同社は(1)業界トップクラスのサポートセンター、(2)他社より優れている製品品質、(3)複数サイト運用による効果、これらの3つの特徴によって競合との差別化を図っている。具体的には、顧客の細かな要望や問い合わせに対して、自社コールセンターのスタッフが丁寧に対応し、安心して発注できる体制を構築しており、納品日の指定や部数の細かな指定など他社ではできないような要望にも対応。また、全工場でジャパンカラー認証を取得しており、高度な印刷品質を安定的に提供できる体制が整っている。他社より優れている品質面を維持し、前工程の自動化を行うことでコスト削減を実現し価格競争も可能な「PrintPro」開設で優位性を確立した。

24年8月期第3四半期累計の売上高は前年同期比0.9%減の7,169百万円、営業利益は同33.9%減の369百万円に落ち込んだが通期計画280百万円を超過した。原材料の高騰が続き、商品の価格転嫁をしきれていないことにより利益に影響が生じており、大口取引先と価格交渉した結果、売上高に影響が生じた一方で、利益率の上昇にはつながったようだ。またサイト周りの強化やインサイドセールス等により新規顧客の注文も増加しており、業績は回復傾向にあるという。新規会員数は10,378社(予想における通期累計新規会員数に対する進捗率68.3%)であり、大口得意先以外の新規及び既存を含めた会員1社当たりの平均売上高は20,549円。

減益決算となったが、配当予想の増額修正と株主優待制度の変更・拡充について開示している。年間配当予想は従来予想比1円増額して13円(前期比1円増配)とした。また、株主優待制度では、継続保有期間1年以上の株主に対するQUOカードの贈呈額を増額、保有株式数100株以上200株未満の場合、継続保有期間1年未満の株主への贈呈額は従来通りQUOカード500円分とし、1年以上の株主に対しては1,000円分とする。同社株式への魅力を高めて、中長期の株式保有を促進することを目的とした。

ネット印刷は1990年代後半に登場し、分業化の進行等により急速に市場が拡大してきた。2019年のネット通販推定市場規模は、国内一般印刷市場全体の2.5兆円のうち1,300億円(約5%)となったが、印刷市場の成長性は国外のEC比率約30%と比較してまだまだ拡大の余地がある。国内でもEC化の進展により、今後もネット印刷の需要はさらに拡大していくことが予測される。そのほか、同社は配当利回り2%を超えている一方で、PBRは1倍を下回っている。業績は減収減益局面から変化の兆しも見られ、その継続性に注目しておきたい。《NH》

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