神戸市が景観資源に指定の農村古民家、ベーカリーカフェが開業

2024年8月21日 08:51

 神戸市が景観資源に指定している農村古民家の旧小西家住宅(北区淡河町木津)が改修され、ベーカリーカフェとなって開業した。神戸市西区櫨谷町で営業していた「dannapan(ダンナパン)」が移転してきたもので、神戸市は歴史的建造物が活用されながら後世に残ることを期待している。

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 旧小西家住宅は、19世紀中ごろの江戸時代末期に建てられた農村住宅で、母屋が安政年間(1855~1860年)以前の建築と伝えられている。木造2階建て、瓦ぶきの母屋と木造平屋建ての納屋、5棟の土蔵があり、家の周囲が石垣の塀で囲まれている。母屋がベーカリーカフェとなった。

 淡河町木津地区は、淡河盆地の河岸段丘に民家が点在する農村地帯で、旧小西家住宅が淡河町で最も大きな屋敷構えをしている。

 神戸市は都市景観上、重要な価値を持つと認めた建物や古民家を景観資源に指定し、保護している。現在、指定されているのは、近代建築物が旧三菱銀行神戸支店(中央区)、神戸文学館(灘区)、新港貿易会館(中央区)など24棟、江戸から大正時代のかやぶき屋根の民家が11棟、江戸時代の近世住宅が1棟。旧小西家住宅は2023年、近世住宅に指定された。

 ダンナパンはこれまで、西区の神戸市営地下鉄西神・山手線の西神中央駅から歩いて15分ほどの田園地帯でベーカリーとして営業していた人気店だが、キッチン内だけ改修して旧小西家住宅へ移転し、18日からカフェを併設して営業している。神戸市が歴史的建造物の保存活用を進めるために2023年度から始めている賃料補助制度を活用した。

 古民家を活用したカフェやレストラン、物販店は全国の過疎地域で相次ぎ、人気を博している店舗が少なくないが、旧小西家住宅は神戸市が景観資源に指定した古民家だけに、魅力たっぷりの雰囲気がパンの味をより引き立てそうだ。(記事:高田泰・記事一覧を見る

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