ネクスグループ Research Memo(9):新技術と既存事業のシナジー創出により成長分野へ事業展開しさらなる成長へ
2024年8月20日 13:29
*13:29JST ネクスグループ Research Memo(9):新技術と既存事業のシナジー創出により成長分野へ事業展開しさらなる成長へ
■中期経営計画
ネクスグループ<a href="https://web.fisco.jp/platform/companies/0663400?fm=mj" target="_blank" rel="noopener noreferrer"><6634></a>は2023年4月に中期経営計画(2023年11月期~2025年11月期)を策定した。2022年11月期に事業構造改革を完了し、営業利益の黒字化を達成したことから、成長性・収益性の高い事業モデルへ転換し、さらなる成長を目指す。数値目標については、2025年11月期に売上高25億円以上、営業利益率15%以上、時価総額130億円以上を掲げている。
事業構造改革では「慢性的な営業赤字の解消(不採算事業からの撤退)」と「財務基盤の強化(1,021百万円の借入金及び未払債務の株式化(DESの実施))」「成長分野への進出(メタバース・デジタルコンテンツ事業への進出)」を実行した。中期経営計画では、IoT関連事業が主体の現在の事業モデルから成長分野へ事業展開する。具体的には、「ブロックチェーン」「トークン」「メタバース」を掛け合わせたWeb3.0領域へ事業展開する。「GameFi」分野でNCXCを活用することで、NCXC経済圏の拡大を目指すほか、メタバース市場及びデジタルコンテンツ市場へ参入し、事業の拡大を目指す。さらに、ネクスの持つIoTの戦略資産にメタバースなどの新たな強みを加え、デジタルツイン市場での展開を目指す。
事業領域別の基本戦略は以下のとおり。
(1) 暗号資産・ブロックチェーン事業
暗号資産・ブロックチェーン事業では、NCXCを成長ポテンシャルの高い事業領域で活用し、NCXC経済圏の拡大を目指す。NCXCは上場企業により発行された、取引所に上場している国内でも数少ないコインで、国内外の暗号資産交換所(「Zaif」「FINEXBOX」)で売買されている。GameFi分野で利用されるトークンのほか、提携企業とのWeb3.0サービスでの活用も検討している。
GameFiはユーザー・ゲーム会社の参入障壁が高く、ユーザーの離脱とトークン価値の毀損が負のスパイラルに陥りやすい構造となっている。既存のGameFiトークンは、1ゲームに1トークンの配布がスタンダードであるため、ブームが一過性だとユーザー離脱のリスクが高く、ユーザー離脱が進むとトークンそのもののマーケットが崩壊する可能性がある。このため同社は、GameFiが抱える問題点を補うプラットフォームとして「NCXC GameFiプラットフォーム」を構築し、ユーザーとゲーム開発者にとってサステナブルなサービスの提供を目指している。同プラットフォームでは、ゲーム会社とのアライアンスにより、既に実績を上げている他社ゲームタイトルを中心に、簡単にPlay to Earnのゲームに転換できる。ユーザーにとっては、高額なNFTの購入なしで多くのゲームを始められるため飽きがこない。一方、ゲーム会社にとっては、既存ゲームを簡単にGameFiにリブランディングできる。
アライアンス先が増えることで登録ゲーム数、利用者数、販売NFT数、NCXC配布が増加し、同社及びゲーム会社の収益機会が拡大するため、業界内の他法人とも連携することで早期のアライアンス先の拡大を図る。事業展開としては、ゲームパブリッシャーを中心にゲーム提供先の獲得を目指すほか、ゲームデベロッパーなどとも連携し、ゲーム提供会社を増やしていく。
(2) メタバース・デジタルコンテンツ事業
a) メタバース分野
メタバース分野では、既存事業との事業シナジーによりメタバース関連サービスの提供を強化する。暗号資産・ブロックチェーン事業とのシナジーによりNCXCを活用したGameFiを提供するほか、IoT関連事業とのシナジーによりトラッキング技術とハード開発力を活用した安価なトラッキングデバイスを開発し、メタバースのユーザーをサポートする(BtoC向け)。また、トラッキング技術とエッジAI端末のAI-BOXを活用し、複数同時トラッキング機器の開発とデジタルツイン分野への活用(BtoB向け)を推進する。国内のメタバース市場は黎明期であることから、メタバース参入企業にインフラやサービス・コンテンツを提供することで市場の成長を後押しする。なお、市場の成長に合わせて、将来的には利益率の高い自社でのメタバースサービスの提供を目指す。
b) デジタルコンテンツ分野
デジタルコンテンツ市場はコロナ禍においても著しい成長を見せていた。実業之日本デジタルは連結化した2022年11月期から高い収益性を確保しており、今後の成長ポテンシャルも高い。実業之日本社の新旧コンテンツの電子書籍化に加え、独自ルートでの新規開拓にも注力する。
(3) IoT関連事業
IoT関連事業では戦略資産のIoT製品(5GモデムやエッジAI端末)で、新たな通信規格や新技術を取り入れた新製品を開発、販売する。また、IoT製品の開発技術とメタバースの事業シナジーを活用し、成長ポテンシャルの高いデジタルツイン分野への展開を目指す。デジタルツインとは、現実空間のヒト・モノ・コトの様々なデジタルコピーをサイバー空間上に表現する先進技術で、精度の高いシミュレーションが可能となる。同社によると、世界のデジタルツイン市場規模は2023年から2030年にかけて年平均成長率37.5%、2030年には1,558.3億米ドルに達し、製造業が高いシェアを占めると予測されている。同社はIoTに加え長年培ってきた製造業としてのノウハウを生かし、製造業に最適なデジタルツイン事業を展開する方針だ。デジタルツインに活用されるIoT、5G、AI、VR、CAEといったテクノロジーをグループで保有し、ハード及びサービスを提供することで利益率の向上を目指す。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司)《SO》