ヤマノHD Research Memo(8):2025年3月期は和装宝飾事業・美容事業の損益改善等に注力し反転へ
2024年8月20日 12:48
*12:48JST ヤマノHD Research Memo(8):2025年3月期は和装宝飾事業・美容事業の損益改善等に注力し反転へ
■今後の見通し
● 2025年3月期の業績見通し
ヤマノホールディングス<a href="https://web.fisco.jp/platform/companies/0757100?fm=mj" target="_blank" rel="noopener noreferrer"><7571></a>の2025年3月期の連結業績は、売上高14,000百万円(前期比1.2%増)、営業利益260百万円(同157.8%増)、経常利益230百万円(同125.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益120百万円(前期は28百万円の損失)と、増収増益の見通しだ。業績の鍵を握るのは、やはり主力の美容事業、そしてコロナ禍後も回復の遅れがみられていた和装宝飾事業の本格的なリカバリーとなる。また、順調に事業領域を拡大する教育事業も追い風となってくるだろう。実際、売上高は灯学舎が通期寄与することを踏まえると、計画はやや保守的に映る。損益面では、和装宝飾事業・美容事業の損益改善等に注力し、増益への反転を見込む。なお、キャッシュ・フローを重視する観点から、同社は今期よりEBITDA(営業利益と減価償却費(のれんに係る償却費を含む)の合算額)を経営指標として取り入れている。
美容事業においては、不採算店舗の閉鎖、出店地域の特性に合わせた店舗業態の転換を推進しながら、カラーやトリートメント等の付加価値の高いメニューの導入や物販の強化等によるサービス単価の向上を図り、損益を改善する。そのほか、業態・ブランドごとの広告宣伝費も見直し、来店顧客数を増やす。また、美容師は業界的特徴として独立志向が強いものの、一方でそうした人材の意欲は非常に高く店舗の収益性が向上するケースもあり、人的資本をより活かす方策としてFC化も進めている。実際に2024年3月期末では5店舗をFC化している。今期は、業績を向上させた「La Bonheur」のFCオーナーにもう1店舗経営を任せる計画だ。
和装宝飾事業においても、不採算店舗を整理する一方で、「きもの会」「前楽結び着方教室」の開催数・規模拡大、新商品開発・商品提案力強化等により顧客数を拡大する。新商品としては、前期にリリースしたヤマノオリジナル伊勢木綿やヤマノオリジナル国産デニムに続き、2024年6月にはメンズのオーダースーツ生地で仕立てるヤマノオリジナル「RAKU-DAN」ブランドをリリースしている。また、商品に関する知識向上に活用できる社員教育用の独自開発WEBアプリを前期に試験導入しており、これを通じて商品提案力の強化を推進する。DSN事業では、引き続き顧客数を増やすための紹介キャンペーンや休眠顧客の深耕開拓を実施するとともに、提案商品や動員企画を見直し収益改善を図る。教育事業においては、前期子会社化した灯学舎が通年で収益に寄与するほか、「スクールIE」ブランドの特色を活かして他社と差別化するとともに、キャリアアップ研修の充実や様々な育成プログラムなど人財育成にも注力する。また、オンラインでの教育コンテンツ充実による生徒数拡大を目指す。また、リユース事業のOLD FLIPについては、店舗の入替等によるテナントコスト引下げ、仕入先の拡充による商品の安定調達、他社とのコラボ出店等のビジネスモデル変革に取り組むことで、2024年3月期に続き事業改善を進める方針だ。
一方、投資コストとして、和装宝飾事業の販売管理システムのリプレイス費用のほか、各部門において人財の採用・教育・研修関連コストの増加を見込む。接遇力、提案力を強化し一人ひとりの生産性向上を推進する。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本章弘)《SO》