PCNET Research Memo(1):2024年5月期は過去最高売上高を更新。各段階利益は前期に続き2ケタの増益

2024年8月19日 12:41

*12:41JST PCNET Research Memo(1):2024年5月期は過去最高売上高を更新。各段階利益は前期に続き2ケタの増益
■要約

パシフィックネット<a href="https://web.fisco.jp/platform/companies/0302100?fm=mj" target="_blank" rel="noopener noreferrer"><3021></a>は、IT機器の導入・運用管理・クラウド・セキュリティを「サブスクリプション」モデルで提供し、企業の情報システムを適正処分に至るまで包括的に支援するライフサイクル・マネジメントサービスを展開するオンリーワン企業である。使用済みIT機器の回収やリユースPC販売などのフロー収益に大きく依存するビジネスモデルから、IT機器やITサービスをサブスクリプションで提供するストック収益を柱としたビジネスモデルへ構造改革に果敢に取り組んだ結果、その成果が顕著に表れ、環境変化に強く持続的成長が可能な収益構造に転換している。

1. 2024年5月期の連結業績概要
2024年5月期の連結業績は、売上高6,921百万円(前期比8.1%増)、営業利益658百万円(同24.2%増)、経常利益636百万円(同22.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益432百万円(同28.5%増)となった。売上高は4期連続で過去最高を更新し、各段階利益は前期に続いて2ケタの増益を確保した。業績予想比では売上高7,100百万円に対して達成率97.5%、営業利益650百万円に対して同101.2%、経常利益620百万円に対して同102.6%、親会社株主に帰属する当期純利益395百万円に対して同109.4%と、売上高はわずかに目標未達となったものの、各段階利益は目標を上回った。なかでも同社の主力事業であるITサブスクリプション事業は契約受注を順調に伸ばし、売上高は前期比10.4%増、セグメント利益については、前期に実施したサブスクリプション資産の耐用年数変更に伴う減価償却費の変動影響などを除くと、前期比27.6%増となり、順調に業績を伸ばした。なお、同事業の四半期ごとの売上高は、2019年5月期から2024年5月期までの年平均成長率で25.5%と着実に成長を遂げている。IT資産の管理や処分を行うITAD事業は売上高で前期比3.6%減とわずかに減収だが、セグメント利益は前期比18.3%と増益となった。サービス収益の拡大や、収益性の高いPCに絞ってリユース販売するなど収益性を重視した施策の効果が現れた格好である。コミュニケーション・デバイス事業は売上高で前期比8.1%増、セグメント利益は同117.4%増と大幅増益となった。国内旅行に加え、訪日旅行や旅行業以外のイヤホンガイドの受注が増加した。

2. ITサブスクリプション事業
ITサブスクリプション事業は成長率が高く、市場規模も大きいほか、ストック収益化による持続的成長が可能である。法人向けPC市場ではサブスクリプション(中長期レンタル)・リース・購入といった保有形態があるが、サブスクリプション型の比率が年々拡大している。同社のサブスクリプションは故障対応などの保守サービスを含んでいるほか、中途解約は月単位で可能、経理処理はオフバランスで費用も平準化されるため、IT人材不足が深刻化している企業にとってメリットが大きく利用が拡大している。2025年のWindows 10のサポート終了を控えてPC更新需要の拡大期に入ることから、成長率は一段と上昇する可能性が高いと弊社では考えている。

3. 2025年5月期の連結業績見通し
2025年5月期の連結業績は、売上高7,800百万円(前期比12.7%増)、営業利益770百万円(同17.0%増)、経常利益735百万円(同15.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益477百万円(同10.4%増)を見込んでいる。主力のITサブスクリプション事業にとって、2025年10月のWindows 10のサポート終了に伴う各企業や団体でのPC更新需要の本格化は、ITサブスクリプションサービスやLCM(ライフサイクル・マネジメント)サービス等の強い追い風となる。同社はサブスクリプションビジネスの拡大に注力することで、成長ペースをさらに加速させる考えだ。ITAD事業においても、企業などでのPC更新が進むことで使用済みPCの市場流入が増加し、特にサブスクリプション事業で使用した高スペックPCが商材となることで売上・利益両面の増加を期待している。現実的には、使用済みPC回収の本格化はPCの更新が進むタイミングより後になるが、それでも2025年5月期の業績面への寄与度は相応に高いと弊社では見ている。さらに同社はこのPC更新需要のタイミングを顧客との重要なタッチポイントとして、2022年11月にサービスを開始した「排出管理BPOサービス」を提案する好機と捉えている。同サービスをクロスセルやアップセルのための重要なツールとして販売促進することで、サービス収益拡大につなげる考えだ。コミュニケーション・デバイス事業については国内団体旅行やインバウンド需要が拡大し、新規に取り組む企業の工場見学やイベント会社の開拓などが成果に結びつくことが期待される。

■Key Points
・2024年5月期はITサブスクリプションの堅調な伸びが業績を牽引し、増収増益を確保
・ITサブスクリプション事業は、市場規模が大きく、ストック収益化による持続的成長が可能
・2025年5月期は本格的なPC更新拡大期に入り、重要な成長機会を迎えている
・観光業界を巡る急速な環境改善により、コミュニケーション・デバイス事業が回復

(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)《SO》

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