城南進研 Research Memo(1):教育ソリューション事業の本格展開により収益性向上を目指す
2024年8月14日 13:01
*13:01JST 城南進研 Research Memo(1):教育ソリューション事業の本格展開により収益性向上を目指す
■要約
城南進学研究社<a href="https://web.fisco.jp/platform/companies/0472000?fm=mj" target="_blank" rel="noopener noreferrer"><4720></a>は東京・神奈川を地盤とする総合教育ソリューション企業である。大学受験の「城南予備校」から出発し、社会環境の変化に対応して小中学生や乳幼児向けへとサービス領域を拡大してきた。子会社では、保育園や学童保育の運営、社会人向け英語教育サービスなども展開している。一生を通じた一人ひとりの主体的な学びを支援し、たくましい知性としなやかな感性を育む能力開発のLeading companyを目指している。
1. 2024年3月期の業績概要
2024年3月期の連結業績は、売上高で前期比1.6%減の5,851百万円と2期連続減収となったものの、営業利益は30百万円(前期は32百万円の損失)と2期ぶりの黒字に転換した。売上高は児童教育部門が保育園事業や「りんご塾※」を中心に増加したものの、個別指導部門や映像授業部門、デジタル教材・ソリューション部門の減収をカバーしきれなかった。一方、利益面では広告宣伝費のほか人件費や地代家賃など固定費の削減効果により黒字を確保した。
※(株)りんご塾が運営する算数オリンピック対策に特化した算数専門教室。算数オリンピックとは、小学生以下の子どもを対象とするコンテストで、1992年より毎年開催されており、「日本数学オリンピック」参加選手の登竜門ともなっている、算数を共通語に思考力と独創性を競う大会。同社は2018年4月にりんご塾とFC契約を締結している。
2. 2025年3月期の業績見通し
2025年3月期の連結業績は、売上高で前期比2.0%増の5,969百万円、営業利益で同25.6%減の22百万円を計画している。売上高は各部門とも前期比横ばいまたは若干の増収を目指す。新規開校は映像授業部門で1校だけだが、児童教育部門の複合型スクールとして展開していた「城南ブレインパーク※1」を2024年4月に「キッズブレインパーク」にリブランディングし、FC展開を本格開始しており、既に1法人と契約を締結した。また、「りんご塾」に関してもサブライセンス契約により「城南コベッツ」のFC教室と業務提携先の明光ネットワークジャパン<a href="https://web.fisco.jp/platform/companies/0466800?fm=mj" target="_blank" rel="noopener noreferrer"><4668></a>の教室で合わせて約220教室に2024年4月より導入を開始し、今後レベニューシェア収入の増加が期待される。また、乳幼児向け育脳教室「くぼたのうけん※2」については、親子教室「Kubotaのうけん」(0〜2歳児)と幼児向け「アタマGYM」(3〜6歳)にリブランディングするとともに、料金も従来比で3割引き下げ入会者数の拡大を図る。利益面では、パソコンの全面入れ替えなどIT投資を集中的に実施することで約130百万円の経費増となり減益要因となるが、同要因を除けば収益性の向上が続く見通しだ。
※1 育脳とSTEAM教育によって子どもたちの「たくましい知性」と「しなやかな感性」を伸ばし、これからの時代に必要な能力を開発する複合型の乳幼児向け教育スクール。
※2 記憶力・思考力・判断力といった「考える力」に影響する重要な脳の領域である「前頭連合野」を0歳から徹底して鍛えることで、自発的に考え、行動し、問題解決能力を持った人へと成長させるための土台を築く育脳プログラムを提供している。
3. 中期経営計画の進捗状況
2024年3月期からスタートした3ヶ年の中期経営計画では、「学びの個別最適化と教室力の強化」「付加価値の高い幼少教育事業の新展開」「教育格差を是正する教育ソリューション事業の積極的展開」「攻めの収益構造改革」「理念経営を具現化する人財の育成」の5項目を基本戦略として取り組み、最終年度となる2026年3月期に売上高6,780百万円、営業利益率10%の達成を目標として掲げていた。売上目標については個別指導部門の低迷や基本戦略の取り組みの成果が顕在化するタイミングが遅れていることから、6,208百万円に引き下げた。営業利益率に関しても目標達成のハードルは高くなっているものの、BtoB向けの教育ソリューション事業(デキタスやりんご塾、くぼた式育児メソッド等の展開)が拡大すれば収益性も向上する見通しであり、今後の動向が注目される。
■Key Points
・2024年3月期の営業利益及び経常利益は収益構造改革の効果により2期ぶりに黒字に転換
・2025年3月期はIT投資の実施によって減益計画だが、同要因を除けば営業利益は5倍増益となる見通し
・中期経営計画最終年度の2026年3月期に売上高62億円、営業利益率10%を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)《SO》