史上最も小型の人類化石をインドネシアで発見 70万年前の地層から 東大ら

2024年8月11日 18:15

 東京大学、聖マリアンナ医科大学などは7日、これまで世界中で発見されてきた人類の化石の中でも、最も小型の化石をインドネシアのフローレス島で、約70万年前の地層から発見したと発表した。

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 その身長は100cmほどと推定され、同島のリャンブア洞窟で発見された約6万年前のフローレス原人よりも、6cmほど低いという。

 研究グループでは、今回の発見によってこれまで謎に包まれていたフローレス原人の進化の過程が、より明らかになったとしている。

■フローレス原人とは?

 これまで多くの人類が絶滅してきた。たとえば、約4万年前に絶滅したネアンデルタール人などはよく知られている。

 フローレス原人は、このようにすでに絶滅した人類の1種で、フローレス島に現生人類がやってきた約5万年前に姿を消したとされている。ちなみに人類は、約700~600万年前にチンパンジーと枝分かれした後、猿人->原人->旧人->新人(現生人類)と進化してきた。

 フローレス原人は、2004年にインドネシアのフローレス島にあるリャンブア洞窟の約6万年前の地層から初めて発見されたが、その特徴は非常に小さいということだ。その身長は106cmほどと推定された。

 研究グループは、以前から、インドネシアのフローレス島にあるソア盆地で発掘調査を続けてきたが、今回、同地の約70万年前の地層から古いタイプのフローレス原人の化石とみられる四肢骨(上腕骨の下半分)1点と、歯2点を新たに発見した。

■謎に包まれたフローレス原人の進化過程に光があたる

 これまでフローレス原人の進化の過程は謎に包まれていた。

 しかしこの謎の包まれたフローレス原人の進化の過程について、研究グループは、これまでに同地で発見した化石の分析を踏まえつつ、新たに発見された化石の分析から次のようなシナリオを描く。

 化石の類似性からフローレス原人は現生人類と同程度の体格を持つジャワ原人が、約100万年前にフローレス島に渡った後、30万年以内に劇的に小さくなり、その後60万年以上にわたってそのような小柄な体格を維持したという。

 なお約70万年前のフローレス原人は、今回発見された化石の分析から身長100cmほどと推定され、約6万年前のフローレス原人と同等かやや小さかったと考えられる。

 研究グループによれば、古代のフローレス島には、体長3mにもなるコモドオオトカゲやワニが生息していたが、フローレス原人にとってはさほどの脅威ではなく、フローレス原人が小型化するなんらかのメリットが存在したことが示唆されるという。(記事:飯銅重幸・記事一覧を見る

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