ゼリア新薬工業は25年3月期1Q大幅増収増益、通期上振れ余地、上値を試す展開に期待

2024年8月2日 09:35

(決算速報)  ゼリア新薬工業<4559>(東証プライム)は8月1日の取引時間終了後に25年3月期第1四半期連結業績を発表した。大幅増収増益だった。医療用医薬品事業、コンシューマーヘルスケア事業とも伸長し、営業外での為替差益計上も寄与した。そして通期増収増益予想を据え置いた。第1四半期の進捗率は為替差益計上の影響を除いても高水準であり、通期予想に上振れ余地がありそうだ。なおコンシューマーヘルスケア事業の一部製品について9月2日出荷分より価格改定を実施する。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は徐々に水準を切り上げて戻り歩調の形だ。好業績を評価して上値を試す展開を期待したい。

■25年3月期1Q大幅増収増益、通期増収増益予想、さらに上振れ余地

 25年3月期第1四半期の連結業績は、売上高が前年同期比17.2%増の214億55百万円、営業利益が32.6%増の39億39百万円、経常利益が62.7%増の54億59百万円、親会社株主帰属四半期純利益が44.5%増の42億12百万円だった。

 医療用医薬品事業、コンシューマーヘルスケア事業とも伸長した。経常利益および四半期純利益については、欧州通貨に対するスイスフラン安に伴って営業外で為替差益が大幅に増加(前期1億64百万円計上、当期12億96百万円計上)したことも寄与した。

 医療用医薬品事業は売上高(外部顧客への売上高)が22.6%増の146億50百万円、営業利益(全社費用等調整前)が30.1%増の37億40百万円だった。主要製品の売上高はアサコールが5.9%増の54億95百万円、ディフィクリアが59.3%増の51億57百万円、エントコートが43.8%増の15億70百万円、アコファイドが0.6%減の7億65百万円、その他が0.3%増の16億61百万円だった。潰瘍性大腸炎治療剤アサコールは国内が薬価改定の影響で苦戦したが、海外が好調に推移した。クロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリア(国内販売名ダフクリア)はフランス、スペイン、ドイツなどで売上が拡大した。炎症性腸疾患(IBD)治療剤エントコート(国内販売名ゼンタコート)は、カナダでの売上が好調だった。

 コンシューマーヘルスケア事業は、売上高が7.1%増の67億68百万円で、営業利益が7.8%増の14億73百万円だった。主要製品の売上高はヘパリーゼ群が9.5%増の28億円、コンドロイチン群が2.9%増の14億48百万円、ウィズワン群が13.6%増の3億33百万円、その他が6.1%増の21億85百万円だった。ヘパリーゼ群は医薬品ヘパリーゼ群を中心に伸長した。コンドロイチン群および植物性便秘薬もウィズワン群も堅調だった。さらに皮膚疾患治療剤プレバリン群も伸長した。

 その他(保険代理業・不動産賃貸収入等)は売上高が4.4%減の36百万円、営業利益が2.3%減の64百万円だった。

 通期の連結業績予想は据え置いて、売上高が24年3月期比9.6%増の830億円、営業利益が3.9%増の100億円、経常利益が17.5%増の100億円、親会社株主帰属当期純利益が0.9%増の78億円としている。配当予想は24年3月期比2円増配の46円(第2四半期末23円、期末23円)としている。連続増配で予想配当性向は26.0%となる。

 医療用医薬品事業はアサコールやディフィクリアの海外市場における売上伸長などで増収、コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群やコンドロイチンの売上増加に加え、ウィズワン群やマスデント群なども寄与して増収を見込んでいる。利益面では研究開発費やマイルストン支払などの増加が見込まれるが、増収効果で吸収して増益予想としている。

 第1四半期の進捗率は売上高26%、営業利益39%、経常利益55%、親会社株主帰属当期純利益54%である。第1四半期の進捗率は為替差益計上の影響を除いても高水準であり、通期予想に上振れ余地がありそうだ。なおコンシューマーヘルスケア事業の一部製品について9月2日出荷分より価格改定を実施する。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株価は上値試す

 株価は徐々に水準を切り上げて戻り歩調の形だ。好業績を評価して上値を試す展開を期待したい。8月1日の終値は2184円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS176円95銭で算出)は約12倍、今期予想配当利回り(会社予想の46円で算出)は約2.1%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1806円33銭で算出)は約1.2倍、そして時価総額は約1160億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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