テクマト Research Memo(5):2024年3月期業績は情報基盤事業がけん引し過去最高を更新
2024年8月1日 13:45
*13:45JST テクマト Research Memo(5):2024年3月期業績は情報基盤事業がけん引し過去最高を更新
■業績動向
1. 2024年3月期の業績概要
テクマトリックス<a href="https://web.fisco.jp/platform/companies/0376200?fm=mj" target="_blank" rel="noopener noreferrer"><3762></a>の2024年3月期の連結業績は、売上収益で前期比16.0%増の53,303百万円、営業利益で同14.7%増の5,850百万円、税引前利益で同15.6%増の5,854百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益で同20.0%増の3,540百万円といずれも会社計画を上回り、過去最高を更新した。また、受注高で同15.2%増の68,446百万円、期末受注残高で前期比30.8%増の68,556百万円と、情報基盤事業、アプリケーション・サービス事業の拡大により、それぞれ過去最高を連続更新し好調な決算となった。なお、2024年3月期はPSPの処遇制度統一に伴う特殊費用98百万円を第1四半期に計上しており、同要因を除いた実質の営業利益は同16.7%増の5,948百万円となる。
売上収益は情報基盤事業が前期比19.5%増と高成長が続いたことに加えて、アプリケーション・サービス事業が同12.4%増、医療システム事業が同8.0%増とすべての事業セグメントで増収となった。一方、利益面では医療システム事業が同21.8%減となったものの、情報基盤事業が同28.6%増となったほかアプリケーション・サービス事業の利益も回復し、過去最高益を更新した。なお、親会社の所有者に帰属する当期利益の増益率が高くなったのは、PSPが減益となったことで非支配持分利益が前期の687百万円から570百万円に減少したことによる。
なお、同社は収益の安定性向上を図るべくストック型ビジネスへの移行を各事業セグメントで進めている。現状、医療システム事業は想定よりもやや遅れ気味となっているが、情報基盤事業やアプリケーション・サービス事業については順調にストック型への移行が進んでおり、2024年3月期では全体の売上収益の6割半ばをストック売上で占めた(2021年3月期は約5割)。ストック型ビジネスのKPIの1つであるARRR※の四半期推移では、2024年3月期第4四半期の単体ベースのARRRは前年同期比24.0%増の31,692百万円と右肩上がりで伸びている。
※ARRR(Annual Revenue Run Rate):各四半期の継続取引売上を、1年換算(4倍)にした数値。
また、情報基盤事業においては複数年の大型契約案件が増加傾向にあり、受注残高が積み上がる要因となっている。2024年3月期末の単体ベースの受注残高は前年同期末比32.8%増の54,995百万円となったが、このうち1年後以降に売上計上される長期案件の受注残高は29,015百万円と全体の52.8%を占めるまでになっている。受注残高は売上の先行指標となるため、同社の収益は今後も安定成長が見込める。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)《AS》