CSSHD Research Memo(6):中期経営計画は順調に推移し、新中期経営計画の策定に着手(1)
2024年7月26日 13:26
*13:26JST CSSHD Research Memo(6):中期経営計画は順調に推移し、新中期経営計画の策定に着手(1)
■CSSホールディングス<a href="https://web.fisco.jp/platform/companies/0230400?fm=mj" target="_blank" rel="noopener noreferrer"><2304></a>の中長期の成長戦略
1. 中期経営計画の進捗状況
同社グループは、2024年に迎える創業40周年に向けて、3ヶ年の中期経営計画「Value Innovation 2024」(2022年9月期~2024年9月期)を推進している。ますます加速する事業環境の変化に対応するため、“基軸事業の強化による収益力の向上”“人財育成の強化”“ESG課題への取り組み推進”“グループシナジーや外部リソース活用による価値創出”を軸に経営基盤の再構築を図り、目標達成に向けて取り組んできた。
計画1年目の2022年9月期時点では、最終年度の2024年9月期到達目標業績として、売上高14,300百万円、親会社株主に帰属する当期純利益200百万円、ROE8%以上としていた。しかし、2023年9月期の期初に売上高15,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益250百万円、ROE8%以上、2024年9月期の期初に売上高16,211百万円、親会社株主に帰属する当期純利益270百万円、ROE10%以上へとそれぞれ上方修正した。度重なる上方修正の理由は、中期経営計画策定時はコロナ禍の影響を大きく受けており、3年後の業績回復を十分に織り込むことができなかったためであるが、現在は事業環境の改善と経営努力によって、計画よりも速いペースで業績が改善している。
同様に、2024年9月期第2四半期決算発表時には、2024年9月期の業績予想を売上高17,614百万円、親会社株主に帰属する当期純利益371百万円に上方修正し、中期経営計画の最終年度も修正後の計数目標を上回る見通しである。ただし同社グループは請負型ビジネスであるため、外部環境の影響を大きく受けやすい特性がある。外部環境は物価上昇、賃金上昇、円安進行など、中期経営計画策定時の状況から大きく変化しているが、同社グループでは取引先との交渉により価格転嫁に努めている。また景気回復に伴う人材確保についても、従業員全体の1割を占める外国人向けに言語マニュアルを整備し、また6割を占める女性従業員が働きやすい環境づくりなどに注力している。さらに、主要顧客であるホテルからは、生産性向上のためにもっと協働できるものはないかとの提案を受けている。こうした足元の事業環境の変化を踏まえて、同社は2025年9月期からの次期3ヶ年中期経営計画「Value Innovation 2024 and Beyond」の策定に着手している。
2. 取り組みの実施状況と今後の方向性
1) “基軸事業の強化による収益力の向上”及び“グループシナジーや外部リソース活用による価値創出”について
コロナ禍で傷んだ箇所を立て直し、収益力を高めることを目指している。また、グループ各会社が活躍することによるシナジーや外部リソース活用によって新しい価値を作り出すことを目指している。2023年9月期までの事業別取り組み実施状況は次のとおり。
同社グループ全体では、i) 既存事業の周辺で価値提供や生産性向上を期待させる異業種事業との共創連携及びサスティナビリティ推進をホールディングス主体で推進、ii) 各事業においてKPIを設定し月次モニタリングで進捗や課題を共有する、等の実績を上げた。中期経営計画の最終年度はI) 2024年9月期よりX-value(クロスバリュー)ユニットを組織化し、事業会社との連携や働きかけ強化、II) グループ全体で個社をテーマとして事業課題や次世代対応の戦略議論を深める機会の設定、などを計画として掲げた。
スチュワード事業では、i) 計画的な採用や費用対効果の検証及び従業員フォローに向け、年間に千人規模の従業員純増、賃金ベースの上昇(残業費などを含む労務費率は予算内に収まる)、ii) パートナー企業との連携及びマネジメント強化による体制拡充、iii) スチュワードで19件の新規受託、挑戦分野の客室等清掃業務4件を開始、といった実績を上げている。最終年度は、I) さらなるHRメソッドの深耕とパートナー会社の開拓、提携検討の加速、II) 既存クライアントを中心としたホテル等業界における幅広いニーズの収集、受託体制の構築と収益化への挑戦、III) 未開拓の有力顧客やエリアを攻略するための異業種交流マーケティング、などを計画する。
フードサービス事業では、i) 多種多様な現場を持つ特徴を調理の多様性や成長の機会としてアピールし、ユニークな人財育成の環境を持っていることの認知度を高めながら採用活動を強化、ii) 食材価格の高騰に対するモニタリングを強化するとともに、アラートに対する迅速な対応の徹底、iii) 朝食レストラン12件、従業員食堂5件、ライフケアで1件を業務開始、等の実績があった。最終年度はI) 多種多様な現場を持つ特徴による人財開発機会を継続的にアピールすること、II) 強みとなっている小回りの利くメニュー開発などに対する人財活用の活性化、III) 食材調達や人財獲得に対する企業や学校などとの関係性開拓、などを計画する。
空間プロデュース事業では、i) クロスメディア推進プロジェクトでソリューション開発を推進、自社ビル設置AIカメラを活用し、サービス業界で深刻化する人手不足の問題を解決するなどの実証実験を推進、ii) 既存重要顧客を中心に設備更新及び追加設備需要を的確に把握、iii) 展示会、研修会等による商談機会の増加による受注の加速、などの実績があった。最終年度はI) 顧客ニーズに対応する具体的なソリューションを営業活動に接続する展開づくり、II) 空間プロデュースにおけるパートナー他社との提携による提案の規模・範囲の拡大、セグメント内のマーケティング及び営業活動の連携、III) 収益貢献を視点とした営業マネジメント及びマーケティングの推進、などを計画する。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)《SO》