IIF Research Memo(5):ヘルスケアソリューション事業及び在宅サービス事業を展開(3)

2024年7月25日 15:05

*15:05JST IIF Research Memo(5):ヘルスケアソリューション事業及び在宅サービス事業を展開(3)
■インターネットインフィニティー<a href="https://web.fisco.jp/platform/companies/0654500?fm=mj" target="_blank" rel="noopener noreferrer"><6545></a>の事業概要

2. 在宅サービス事業
中重度の高齢者を対象に各種介護保険サービスの提供を行っている。また、「わかるかいご相談センター」において、介護に関する各種相談の受け付けや支援サービスも提供している。

(1) 居宅介護支援サービス
専門知識を備えたケアマネジャーが、利用者及びその家族の要望に応じ、必要な介護サービスの種類・内容を織り込んだ介護支援計画(ケアプラン)を作成のうえ、介護サービスの提供事業者との連絡調整等を行い、利用者がスムーズに介護サービスを受けることができるよう支援する。2024年3月期末時点で8ヶ所の事業所を展開している。

(2) 訪問介護サービス
専任の訪問介護員(ホームヘルパー)が要介護者または要支援者の家庭を訪問し、入浴・排せつ・食事等の介護のほか、清掃・着替え・買い物等の日常生活上の支援を行う。2024年3月期末時点では4ヶ所の事業所だったが、2024年6月に千葉県船橋市に事業所を新たに開設し、計5ヶ所の事業所で事業を展開している。

(3) 通所介護サービス(デイサービス)
要介護者または要支援者を対象に、デイサービスセンターで入浴・排せつ・食事等の介護、日常生活上の支援のほか、機能訓練・レクリエーション活動など、自立支援サービスを提供する。2024年3月期末時点で6ヶ所の事業所を展開している。

また、2022年12月からは連結子会社のカンケイ舎が住宅型有料老人ホーム事業を事業譲受し、新たに施設介護事業の領域へも参入している。これにより、あらゆる介護ステージの利用者に対して健康寿命延伸に資するサービスの提供が可能となった。今後は、創業以来20年以上にわたって介護事業に携わってきたノウハウを活用しながら競合企業との差別化を図り、既存施設の売上、利益を拡大させる方針だ。

3. 事業環境
同社が対象とする高齢者については、人数及び人口に占める高齢者の割合がともに増加傾向が続いている。内閣府「令和6年版高齢社会白書」によると、1990年に65歳以上の高齢者人口は1,489万人だったが2023年には143.3%増の3,623万人に急増している。また、2070年時点の高齢者人口は3,367万人と2023年に比べて若干減少するものの、総人口が減少することを受けて高齢化率(全人口に占める65歳以上の割合)は38.7%まで上昇すると予想されている。

また、国民皆保険制度による質の高い医療提供体制の維持に向けて、政府が「医療適正化計画」を策定している点も同社にとっては追い風だ。同計画において政府は、超高齢社会が到来するなかで医療費適正化のための具体的な取り組みとして「高齢者の医療費の伸びを中長期にわたって徐々に下げていくものでなければならない」という方針を示している。医療技術の進歩や食生活の変化により平均寿命が伸び、平均寿命と健康寿命の差は約10年に広がっているが、この間の医療費・介護費の負担が極めて大きくなる。平均寿命と健康寿命の差を縮めること、つまり「健康寿命の延伸」が高齢者人口増加に伴う医療費・介護費を削減するために重要と言える。同社が運営するレコードブックには介護認定の改善効果もあり、利用者の行動範囲の拡大・生活の質の向上につながっている。このことから、同社は国が課題とする社会保障費の増大に歯止めをかける役割を担っており、社会的ニーズは高まると弊社では見ている。

なお、介護保険制度改正及び介護報酬改定により、レコードブック事業及び在宅サービス事業において、収益が減少するリスクがある。これに対し同社は、レコードブック店舗で介護保険外サービスの提供も併せて行うことで収益力を強化している。また、介護保険制度に依存しない新規事業の立ち上げを目指し、2022年10月には、介護保険外の住宅リフォーム事業を展開している正光技建を子会社化した。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)《HN》

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