IIF Research Memo(4):ヘルスケアソリューション事業及び在宅サービス事業を展開(2)
2024年7月25日 15:04
*15:04JST IIF Research Memo(4):ヘルスケアソリューション事業及び在宅サービス事業を展開(2)
■インターネットインフィニティー<a href="https://web.fisco.jp/platform/companies/0654500?fm=mj" target="_blank" rel="noopener noreferrer"><6545></a>の事業概要
(2) Webソリューション事業
a) シルバーマーケティング支援
「ケアマネジメント・オンライン」に登録しているケアマネジャーネットワークを活用してアンケート等による定性・定量調査や要介護高齢者へのサンプリング等を行うことで、顧客企業のマーケティングリサーチやプロモーション支援を展開している。「ケアマネジメント・オンライン」はケアマネジャーの業務支援を目的としたポータルサイトで、介護保険法改正を含む介護に関連する最新情報や、業務に必要なツール・マニュアルなどを提供しており、ケアマネジャー業務に欠かせないツールとして定着している。2024年3月期も業務支援ツールのブラッシュアップや外部企業とのタイアップによりコンテンツの質・量を高めた。2023年10月にはChatGPTを活用し、ケアマネジャーの文章作成業務などを支援する新機能を新たにローンチしたほか、2024年5月には介護報酬改定対応に活用できるChatGPTを利用した新たな機能を投入した。これらの機能はケアマネジャーの業務生産性を向上させることから利用者からの評判が良く、問い合わせも多いという。ChatGPTを活用した新機能の他にも、ヤマト運輸(株)が提供する「クロネコ見守りサービス ハローライト訪問プラン」との連携(2023年12月)や(株)クラピスの「くらしのパートナー」サービスとの提携(2024年3月)を開始している。これらの連携により、ケアマネジャーの負担の軽減や業務効率性の向上に貢献している。継続的なコンテツの拡充によって会員数は順調に増加しており、2024年3月期末時点で10万人超のケアマネジャーが会員登録している。今後も、同ポータルサイトの訴求力を継続的に高め、プラットフォームとしての魅力を向上させる方針だ。
また、2024年3月期からはバリューチェーンの上流工程から積極的に関わり、提供サービスの付加価値を高めることで、単価と収益性の向上を図った。具体的には、プロダクトの設計や検証など研究・製品開発の段階から顧客を支援するコンサルティングサービスを開始した。従来のサービスラインナップにバリューチェーンの川上でのコンサルティングサービスを付加することで、広範囲にわたって顧客を支援していく考えだ。
同社は「ケアマネジメント・オンライン」を通じて全国約360万の高齢者世帯とつながっており、このネットワークを活用して顧客企業のマーケティングを支援している。大手食品メーカーなどをはじめ、多数の実績があるようだ。
b) 仕事と介護の両立支援
働きながら介護をする人が増加するなかで、介護が理由で離職・転職する人が増加している。こうした状況下で、同社は企業の福利厚生サービスをパッケージ※にして提供し、仕事と介護の両立を支援している。2022年3月期には(株)ロッテ、(株)日立アカデミー、帝人<a href="https://web.fisco.jp/platform/companies/0340100?fm=mj" target="_blank" rel="noopener noreferrer"><3401></a>、兼松<a href="https://web.fisco.jp/platform/companies/0802000?fm=mj" target="_blank" rel="noopener noreferrer"><8020></a>等、2023年3月期には日立グループ各社、コーンズグループ各社、2024年3月期には日立グループ計40社、(株)エレケア、丸三証券<a href="https://web.fisco.jp/platform/companies/0861300?fm=mj" target="_blank" rel="noopener noreferrer"><8613></a>、東京ガスネットワーク(株)がサービスを導入しており、2024年3月期末時点で導入企業は220社超、会員数は230万人超となっている。企業のESGやSDGsに対する関心が高まるなか、従業員の生活の質や満足度の向上を実現するためにサービス導入を検討する企業が増えると考えられる。また、2024年5月には介護離職を防止することなどを目的に厚生労働省が、育児・介護休業法を改正した。2025年4月からすべての企業に対して従業員への仕事と介護の両立支援制度の周知や、労働者への研修など雇用環境の整備を義務付ける方針が決定している。こうした政府方針のもと、同サービスに対する需要がさらに高まっており、顧客からの引き合いは、順調に増加しているという。
※具体的には、介護セミナー等の開催、介護情報Webサイトの運営、介護コンシェルジュ(電話やメールによるケアマネジャー紹介、介護施設紹介、介護保険申請代行等)がある。
c) メディカルソリューション
製薬メーカーや医療機器メーカー向けに疾患啓発や利用状況などのマーケットデータを提供する、医療用薬品マーケティング支援サービスを提供している。「ケアマネジメント・オンライン」に登録しているケアマネジャーを活用し、メディカル領域に特化したケアマネジャー会員向けのWebアンケートや、「ケアマネジメント・オンライン」内で啓発コンテンツの展開等を行っている。同社は今後、メディカルソリューションを事業化することでWebソリューション事業の拡大を目指す。2023年3月期から営業活動を強化しており、製薬企業・医療機器メーカー向けのセミナー開催やプロモーション活動に注力してきた。2024年3月期も複数の新規受注を獲得しており、今後のさらなる業績寄与が期待される。同事業の外部環境の見通しは良好だ。同社によると、「医薬品等の品質、有効性及び安全性を確保することなどによって保健衛生の向上を図る(国民の健康を保ち生命を守る)」ことを目的に制定された薬機法において、ネット広告に対する規制が厳しくなっているという。同社は「ケアマネジメント・オンライン」に登録しているケアマネジャーというリアルの資産に対してアプローチできるビジネスモデルを構築しており、同サービスの相対的な優位性が高まっていくことが期待される。また、シルバーマーケティング支援と同様、同事業においても顧客バリューチェーンの上流工程から関与することにより、単価と収益性の向上に注力している。
(3) アクティブライフ事業
2023年3月期初の分社化に伴い、子会社のカンケイ舎が事業を承継した。在宅介護事業所や2021年4月に完全子会社化したフルケアなどを通じて、高齢者やその家族が必要とする生活支援関連物品を販売している。なかでも、介護環境の整備に係る福祉用具のレンタル・販売、介護予防福祉用具のレンタル・販売、住宅改修サービスを主に提供している。最近では、2022年10月に広島県で住宅リフォーム事業を展開する正光技建をM&Aし、事業ポートフォリオを介護保険外へと拡大している。正光技建の連結子会社化によって、従来は外注していたフルケアの住宅改修工事をグループ内で施工することが可能になった。さらに、フルケアが正光技建向けの案件を獲得し、同社に紹介するなど、事業活動面でのシナジー効果も生まれている。
今後は、レコードブック事業での運動機能把握ノウハウを生かした福祉用具の貸与・販売サービスの展開を計画している。レコードブックで得られたデータを同事業と掛け合わせることにより、利用者一人ひとりの生活全般をサポートし、自宅においても利用者の介護予防を推進する方針だ。
なお、2024年3月期より従来のケアサプライ事業をアクティブライフ事業へと名称変更した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)《HN》