リソル Research Memo(8):ホテル運営事業の回復などにより大幅増益を達成(2)

2024年7月19日 13:08

*13:08JST リソル Research Memo(8):ホテル運営事業の回復などにより大幅増益を達成(2)
■リソルホールディングス<a href="https://web.fisco.jp/platform/companies/0526100?fm=mj" target="_blank" rel="noopener noreferrer"><5261></a>の業績動向

ホテル運営事業の業績は、インバウンドなど旅行需要の回復に伴って客室単価と稼働率が順調に改善、売上高が12,349百万円(前期比64.2%増)、経常利益が1,235百万円(前期は経常損失1,152百万円)と非常に好調に推移した。2023年4月に「ホテルリソルステイ秋葉原」の運営を開始、コロナ禍で運営を休止していた「リソルポシュテル東京浅草」の運営を再開したほか、インバンド需要への対応やブランディング強化などを推進した。特に旺盛なインバウンド需要に対して、海外代理店への直接営業を実施したほか、欧米系インバウンドの多い東京駅マーケットや東南アジア系インバウンドの多い台東区マーケットなどエリアに合わせたイベントやサービスを積極的に展開したことで、インバウンド観光客の利用が大幅に伸長した。また、女性や旅行客、中長期滞在者をターゲットに、“ツーリストホテル”への転換を目指してブランディングの強化を推進、サービスや施設のバージョンアップに取り組んだ。新規事業のリソルステイ事業では、貸別荘「スイートヴィラ」の新規開業に注力するとともに、新たな別荘需要の創出に向けてニーズに応じて選べる3つの滞在パターン(ウイークリー・マンスリー・デイリー)を採用した結果、中長期やインバウンドによる利用が増加した。

ゴルフ運営事業の業績は、新規ゴルフ場の寄与と会員権販売の好調によりエネルギーコストなどの上昇を吸収、売上高が8,084百万円(前期比32.7%増)、経常利益が1,070百万円(同56.1%増)となった。安定収益基盤の構築に向けて戦略的に運営施設の拡大を進める一方、コースコンディションの上質化、接客サービス向上、施設の更新、口コミ評価の向上などの施策によって他社との差別化を図った結果、客単価の向上につながった。また、2023年3月期末に運営を開始した東急不動産から譲渡されたゴルフ場4コース(「関西カントリークラブ」「三木よかわカントリークラブ」「望月リソルゴルフクラブ」「有田リソルゴルフクラブ」)や、2023年9月に運営を開始した「入間カントリー倶楽部」が順調に稼働、加えて「関西カントリークラブ」、「三木よかわカントリークラブ」の会員権販売も好調に推移したことで、ゴルファーの来場増加につながった。新規事業のフェアウェイフロントヴィラ事業では、好調な「スパ&ゴルフリゾート久慈」「瀬戸内ゴルフリゾート」に続いて、「大熱海国際ゴルフクラブ」で新たなヴィラ開発を計画、中長期的に増加が見込まれるインバウンドゴルファーにも対応できる高級ゴルフリゾートの開発準備を進めた。

リソルの森(CRCC)事業では、ランドマーク施設である体験型リゾート「Sport & Do Resort リソルの森」の運営とエリア内の不動産販売を両輪に事業展開し、売上高は3,658百万円(前期比4.8%増)、経常利益は243百万円(同31.0%増)となった。ゴルフ部門(真名カントリークラブ)では、リゾートエリアに滞在しながらゴルフを楽しむ「ゴルフ&ステイプラン」を利用する台湾や韓国など海外からの旅行者が大きく増加した。また、真名ゲーリー・プレーヤーコースでは2023年12月に開始したランチブッフェが好評で、来場者の増加へとつながった。リゾート部門では、企業による研修やインセンティブ旅行、スポーツチームなど団体利用が大幅に増加したため、会議室、チームビルディングプログラムの利用が順調に推移、飲食やショップといった付帯収益も増加した。特に企業研修では、コミュニケーションとプライベートを両立できる宿泊施設「ハイブリッドコテージ」が好評だった。不動産部門では、ブランド価値向上に伴いエリア内の土地やマンションの販売、会員制リゾートクラブ「ゴルフバケーションクラブ」の販売が順調に推移した。また、新規事業として、ペットヴィラ「Dear Wan Spa Garden」(全10棟、2024年10月開業予定)の開発を進め、2024年4月に販売を開始した。

福利厚生事業の業績は、「精算ビジネスモデル」「プラスユアチョイス」「直営施設」といった差別化要因を武器に新規顧客開拓に注力したことで、売上高が903百万円(前期比3.3%増)、経常利益が45百万円(同1,423.5%増)となった。同社は働き方改革や人材定着の強化へ向けて各企業が福利厚生に注目していることを受け、企業の健康経営(R)※、ダイバーシティ経営、人的資本経営などを後押しするため、福利厚生制度の見直しと時流に即した商品の提案に注力した。また、国内最大手旅行会社の(株)JTBが提供する宿泊サイトや、「衣・食・住」に「遊」の社会実装を目指すアソビュー(株)と連携したことで、提携宿泊施設やレジャー施設、グルメなどメニュー数を業界最大級へと飛躍的に増加させ、会員の利便性が大幅に向上した。さらに、会員専用ウェブサイト「MEMBER’S NAVI」のシステムリニューアルを予定しており、検索横断システムなどにより一層のサービス向上を図る。

※「健康経営(R)」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標。


再生エネルギー事業の業績は、売電、太陽光設備用地の賃貸、施設管理受託といった事業を展開しているが、エネルギー価格高騰の影響を受け、売上高が97百万円(前期比22.7%減)、経常利益が1百万円(同96.5%減)となった。売電では、リソルの森の施設内において1.5MWの太陽光設備を運営し、年間約140万KWの売電を実施した。太陽光設備用地の賃貸事業、施設管理受託事業では、福島県石川町のメガソーラー設備用地の賃貸事業と同施設を含めた2ヶ所のメガソーラー施設の管理受託業務を推進した。今後はこれまで培った知見を生かし、ゴルフ場を中心に地産地消型設備の開発を新たに推進する。投資再生事業の業績は、売上高が624百万円(同84.2%減)、経常利益が40百万円(同96.8%減)となった。コロナ禍で運営事業が苦戦していた期間は積極的に事業展開したが、現状は仕込み期と言えるかもしれない。そのようななか、旧ゴルフ場を用途変更した太陽光発電用地を売却したほか、新規にゴルフ場を1ヶ所(入間カントリー倶楽部)取得して施設をバリューアップした。今後は、リゾート型再生や運営事業の海外展開など新規事業の開発も目指す。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)《SO》

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