リソル Research Memo(3):インバウンドゴルファーなど海外富裕層の増加や企業研修の回復が顕著
2024年7月19日 13:03
*13:03JST リソル Research Memo(3):インバウンドゴルファーなど海外富裕層の増加や企業研修の回復が顕著
■リソルホールディングス<a href="https://web.fisco.jp/platform/companies/0526100?fm=mj" target="_blank" rel="noopener noreferrer"><5261></a>の事業内容
1. リソルの森(CRCC)事業
2020年4月にフルリニューアルした「Sport & Do Resortリソルの森」は、都心から50km圏内という絶好のロケーションに位置し、緑豊かで広大な敷地に、宿泊施設やゴルフ場、多彩なスポーツ・レジャー・レクリエーション施設、レストランやクリニックを併せ持つ体験型複合リゾート施設で、グループの象徴施設と位置付けている。リゾート・健康・スポーツ・アウトドアをテーマに、リゾート施設運営事業、及び自然環境と強みを生かした不動産開発事業を展開している。利用者が1年を通して上質なリゾートライフやリゾートワークを楽しめるよう、加えて同社自身の収益化が進めやすくなるよう、リニューアルや新規施設の導入、サービスの向上などバージョンアップを積極的に進めている。アフターコロナになって、インバウンドゴルファーなど海外富裕層の増加や企業研修の回復が顕著になっており、いずれの施設も大変な人気となっている。また、宿泊やゴルフの利用以外でも、メディカルトレーニングセンターや関東最長のジップスライドアクティビティ「ロングジップスライド」などの日帰りアクティビティとしての利用も人気のようだ。
同事業では、グランピングエリアを中心にアウトドア事業の強化を進めている。テントキャビンやテラスハウスなどを備え上質なアウトドアリゾートが楽しめるグランピングエリア「グランヴォー スパ ヴィレッジ」を2020年4月に開設した。これが好評で2021年7月に「グランピングエリア ラク・レマン」をリゾートプールサイドに拡張した。現在も新たな施設の開発を続けており、2024年10月開業予定でプライベート温泉とドッグランを備えたペットヴィラ「Dear Wan Spa Garden」10棟の新設を進めているほか、中長期計画のなかで「グランヴォー スパ ヴィレッジ」の新棟建築も計画している。また、トップアスリートもトレーニングに来る本格的なスポーツ施設であるメディカルトレーニングセンターでも大規模なリニューアルを実施し、フィットネスルームやランニングトラック、体育館、25mプールなど屋内スポーツ施設のほか、400mトラックなど屋外スポーツ施設、炭酸泉「ラムネの湯」とサウナを完備した温浴施設「長柄カルナの湯」を利用できる。
リゾートホテル「リソルの森 トリニティ書斎」の高層階にある眺望に優れた特別室を年間30泊で利用できる会員制リゾートクラブ「ゴルフバケーションクラブ リソルの森」が、2020年12月の開始以来販売好調を続けている。ホテル仕様のため日々のメンテナンスが不要で、セカンドハウスやゴルフステイ、ワーケーションを目的に家族とともに長期間使用できるうえ、接待用や福利厚生でも利用できることが好調な要因で、グランピングエリアの最上級ヴィラタイプにおいてもゴルフバケーションクラブの販売が好評のようだ。両タイプとも、30泊のうちGW、夏休み、年末年始のいずれか3連泊の占有利用が保証されているうえ、施設内にある天然温泉「紅葉乃湯」が無料で利用可能、リソルの森内にある真名カントリークラブの会員権が特別価格になるという特典も付いている。現在、タイや台湾、韓国からのゴルフツーリズムが活発になっており、ゴルフインバウンドの販売ルートを拡大するため、欧米代理店向けの販売も強化している。今後、富裕層にも向けて、「ゴルフバケーションクラブ」の最上級グレードの販売や、真名カントリークラブでのフェアウェイフロントヴィラ建設を検討している。
2. ホテル運営事業
ホテル運営事業の主力ブランド“リソルホテルズ”は、女性や旅行客、中長期滞在者をターゲットに、ビジネスホテルと差別化した“ツーリストホテル”への転換を目指している。そのため、新コンセプト「物語のあるホテル」のもと、1つ1つのホテルを特徴づけるデザインに加え、観光案内やホテル内でのイベント開催など体験価値を提供する「Concierge」、管理栄養士監修の健康的で美味しい朝食「Eatwell Breakfast」、ホテル本来の目的であるくつろぎ「Relaxation」を新たな強みとしたブランディングの強化を進めており、継続的な稼働率向上や単価上昇につなげる考えである。
“リソルホテルズ”ブランドには、主軸の「ホテルリソル」のほか、ワンランク上の“くつろぎ”を提供する「ホテルリソルトリニティ」、宿泊客専用共有スペースの機能充実を図り中長期滞在にも対応した「ホテルリソルステイ」のシリーズ、及び交流型宿泊施設を提供するキャビン型ホステル「リソルポシュテル」があり、全国20ヶ所(2024年3月末)で展開している。いずれも自宅のように居心地のよい「リビングロビー(R)」※1「シューズオフスタイル」「オリジナルウエルカムアロマ」「オリジナルベッド」など、くつろぎの“リソルスタイル”が人気となっている。“ツーリストホテル”への転換を進めることで、そうした“リソルスタイル”に加え、例えばインバウンド観光客に書道体験や駄菓子の提供、京都では舞子の踊りといったイベントを開催するなどCX※2を強化して、大きく回復してきた国内旅行やインバウンド需要を取り込んでいる。
※1 リビングロビーは同社の登録商標。
※2 CX(Customer Experience):顧客体験。
“リソルホテルズ”ブランドのほか、ペットと泊まれる「ペット&スパホテル」(同3ヶ所)、暮らすように泊まる貸別荘「リソルステイ(スイートヴィラ)」(同68ヶ所)など、多彩なブランドで全国約90ヶ所の施設を運営している。こうしたブランドフォーメーションは、利用者に、地域や滞在期間、利用目的などの面で「選べる利便性」を提供する一方、地域・客層・競合など施設の諸条件を慎重に見定めながら運営の最適化が可能となるため、同社にとっても、独自の投資戦略やマーケティング戦略をきめ細かく設定できるというメリットがある。なかでも、1泊から長期滞在まで「暮らすように泊まる」をコンセプトに別荘をシェアする新規事業のリソルステイ事業がアフターコロナのなか好調で、「スイートヴィラ」の拡大を積極的に進めている。自社施設の活用だけでなく、利用率が低い個人の別荘も開発を強化しており、開業準備から運営・管理、集客に至る一切の業務を同社が代行するサービスの提案により、別荘オーナーの負担軽減や収益最大化を図っている。「スイートヴィラ」は利用ニーズに応じてウイークリー・マンスリー・デイリー3つの滞在パターンが選べるため新たな別荘需要を創出しており、急増するインバウンド需要だけでなく、日本人による中長期利用も増加しているようだ。このように「リソルステイ事業」は新たな収益の柱になるとの期待が高く、さらなる開業と需要喚起によって事業拡大を進めている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)《SO》