テノックス Research Memo(1):新中期経営計画を策定、2027年3月期に経常利益15億円を目指す

2024年7月16日 15:01

*15:01JST テノックス Research Memo(1):新中期経営計画を策定、2027年3月期に経常利益15億円を目指す
■要約

1. 国内有数の技術力と信頼を誇る基礎工事のパイオニア
テノックス<a href="https://web.fisco.jp/platform/companies/0190500?fm=mj" target="_blank" rel="noopener noreferrer"><1905></a>は、杭工事や地盤改良工事などの基礎工事に特化した建設事業を行っている。基礎工事は、戸建て住宅やマンション、工場、道路・鉄道の橋梁などの構造物の荷重を地盤に伝え、安全に支える工事であることから、施工への信頼が重要な前提条件となる。近年は大地震や大型台風、集中豪雨といった激甚災害に対する防災意識の高まりから、基礎工事への注目が増している。同社は、業界のパイオニアとして、中低層建築物向けに業界で広く浸透しているテノコラム工法や、高速道路などの土木工事に用いられるガンテツパイル工法を開発するなど、国内有数の技術力と信頼を誇る。同社の売上高の大半がこうした国内の基礎工事だが、子会社で海外建設事業や土木建築コンサルティング全般等事業も展開している。

2. 強みは豊富な施工ラインアップ、高い施工品質、一貫体制、「折り込む力」
同社は、鋼管杭工事や深層地盤改良工事を得意としているが、コンクリート杭工事や浅層地盤改良工事、既存杭の引抜き工事などへ事業領域を拡大しており、豊富な施工ラインアップに強みがある。また、施工状況をリアルタイムで確認できる施工管理システムや子会社が擁する工事技能者集団・各種機材による高い施工品質、さらには自社で工法提案から施工までの一貫体制を整えていることも強みである。基礎工事は、構造物で最も重要な工程であるがゆえに設計業者や総合建設業者(ゼネコン)と直接的なつながりができるため、同社の技術提案が設計に反映されるケースが多く、ゼネコンからの発注機会も増えているようだ。同社はこれを「折り込む力」と呼び、ビジネスモデル上の大きな特長となっている。

3. 新中期経営計画を策定、2027年3月期に経常利益15億円、ROE8%を目指す
同社は長期ビジョンのPhase3として、新中期経営計画(2024〜2026年度)を策定した。1) 事業別戦略、2) 開発戦略、3) 環境・デジタル戦略、4) 経営基盤の強化、5) 資本効率経営の推進、の5つを重要戦略として展開する。このうち事業別戦略において、土木事業(国内)では防災・減災及び国土強靭化に向けた構造技術の提案、建築事業(国内)では新開発工法や研究技術を駆使して構造物設計への複合提案を推進、海外事業ではベトナム経済の成長政策に基礎技術で貢献する。資本効率経営の推進では、株主資本コストを上回るROEを実現させる。これらにより、2027年3月期に売上高270億円、経常利益15億円、ROE8%を目指す。

4. 2025年3月期は大幅な増収増益を予想
2024年3月期の業績は、売上高が20,207百万円(前期比10.3%増)、営業利益が520百万円(同20.2%減)と増収減益、期初計画比で未達となった。売上面では、インフラ関連などの土木杭工事、大型施設の地盤改良工事などが順調だったことに加え、ベトナムの大型工場案件が寄与した。なお、受注高が25,735百万円(同42.0%増)、受注残高が11,818百万円(同104.1%増)となったことから、実態は好調だったと言える。同社は2025年3月期の業績について、売上高25,000百万円(同23.7%増)、営業利益890百万円(同70.8%増)と見込んでいる。北海道新幹線延伸事業の施工が重点的に行われることから、大幅な増収増益予想となった。なお、新中期経営計画で株主還元方針を変更し、DOE2%以上を目安に安定的な配当と機動的な自己株式取得を継続する方針としている。

■Key Points
・基礎工事のパイオニアで、豊富な施工ラインアップ、高い施工品質、一貫体制、「折り込む力」に強み
・新中期経営計画を策定、2027年3月期に売上高270億円、経常利益15億円、ROE8%を目指す
・2025年3月期は北海道新幹線延伸事業の施工が重点的に行われることなどから、大幅な増収増益を予想

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)《HN》

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