アステナホールディングスは24年11月期2Q累計大幅増益、通期も大幅増益予想

2024年7月16日 09:54

(決算速報)  アステナホールディングス<8095>(東証プライム)は7月12日の取引時間終了後に24年11月期第2四半期累計連結業績を発表した。大幅増益だった。医薬事業における薬価上昇、HBC・食品事業における自社企画化粧品や輸入化粧品の販売好調に加え、広告宣伝費等が計画を下回ったことなども寄与した。そして通期予想も6月26日付で上方修正して大幅増益予想としている。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は急伸して年初来高値圏だ。高配当利回りや1倍割れの低PBRなども評価材料であり、利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。

■24年11月期2Q累計大幅増益、通期も大幅増益予想

 24年11月期第2四半期累計の連結業績(4月12日付で売上高を据え置き、各利益を上方修正、6月26日付で売上高、各利益とも上方修正)は、売上高が前年同期比4.6%増の280億91百万円、営業利益が6.5倍の13億45百万円、経常利益が4.9倍の13億75百万円、親会社株主帰属四半期純利益が7億04百万円(前年同期は2億28百万円の損失)だった。

 大幅増益だった。医薬事業における薬価上昇、HBC・食品事業における自社企画化粧品や輸入化粧品の販売好調に加え、広告宣伝費等が計画を下回ったことなども寄与した。

 ファインケミカル事業は、売上高(外部顧客への売上高)が13.6%増の103億56百万円、営業利益(全社費用等調整前)が11百万円(前年同期は12百万円の損失)だった。医薬品原料部門のスペラネクサスはジェネリック医薬品向け原料や新薬向け中間体の販売に注力し、販売数量・販売価格とも堅調に推移した。医薬品CDMO分野のスペラファーマは受託キャパシティを拡大しつつ、大手新薬メーカーからの受注拡大に注力し、受託案件の利益率向上を推進した。JITSUBOはペプチド基幹原料「疎水性タグ」の販売に着手し、新薬メーカーからの中分子原薬のプロセス開発案件の受注を拡大した。

 HBC・食品事業は売上高が23.9%減の67億02百万円、営業利益が3.4倍の2億58百万円だった。不採算だった一般用医薬品等卸売事業からの撤退により大幅減収だが、化粧品通販の自社企画化粧品「ピュレア」や輸入化粧品「Torriden」の販売が好調に推移したことなどで営業損益が大幅に改善した。

 医薬事業は売上高が19.9%増の54億14百万円、営業利益が2.4倍の6億23百万円だった。岩城製薬が22年12月に発売した抗真菌薬であるルリコナゾール軟膏・クリームが伸長し、23年7月に帝人ファーマより承継したボンアルファ・ボンアルファハイも好調だった。また、同業他社の一部製品販売中止に伴う代替需要としてゲンタマイシン硫酸塩軟膏やピコスルファートナトリウム内用液なども伸長した。さらに利益面では、24年4月の薬価改定において一部製品が不採算品再算定ならびに基礎的医薬品指定を受けたことが寄与した。

 化学品事業は売上高が27.2%増の55億99百万円、営業利益が5億03百万円(同81百万円の損失)だった。表面処理薬品部門のメルテックスでは、プリント基板用は回復が緩やかだが、第2四半期に入って半導体電極形成用薬品や電子部品の受動部品向けめっき薬品の需要が回復基調となった。需要は概ね回復基調だった。表面処理設備部門の東京化工機では、工場拡張に伴う受注件数増加により好調だった。

 その他事業(人材事業、ふるさと納税事業、投資事業等の新規事業)は、売上高が18百万円(同4百万円)で、営業利益が54百万円の損失(同48百万円の損失)だった。

 全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高が134億26百万円で営業利益が4億54百万円、第2四半期は売上高が146億65百万円で営業利益が8億91百万円だった。

 通期の連結業績予想(6月26日付で売上高、各利益とも上方修正)は、売上高が23年11月期比10.6%増の575億円、営業利益が41.8%増の16億円、経常利益が17.3%増の16億円、親会社株主帰属当期純利益が31.2%減の8億円としている。配当予想は据え置いて23年11月期と同額の18円(第2四半期末9円、期末9円)としている。予想配当性向は90.0%%となる。

 前回予想(1月12日付の期初計画)に対して売上高を15億円、営業利益を4億50百万円、経常利益を4億50百万円、親会社株主帰属当期純利益を1億10百万円、それぞれ上方修正した。当期純利益については前期計上の固定資産売却益の剥落により減益予想だが、減益幅が期初計画に比べて縮小する見込みだ。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株価は上値試す

 株価は急伸して年初来高値圏だ。高配当利回りや1倍割れの低PBRなども評価材料であり、利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。7月12日の終値は545円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS20円01銭で算出)は約27倍、今期予想配当利回り(会社予想の18円で算出)は約3.3%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS719円53銭で算出)は約0.8倍、そして時価総額は約223億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

関連記事

最新記事