エスプールは24年11月期2Q累計減益だが計画超、通期予想据え置き
2024年7月16日 09:53
(決算速報) エスプール<2471>(東証プライム)は7月12日の取引時間終了後に24年11月期第2四半期累計連結業績(IFRS)を発表した。人材ソリューションにおける新型コロナ関連の売上減少に加え、ビジネスソリューション事業が下期偏重の計画のため減収減益だった。ただし障がい者雇用支援サービスの好調が牽引して各利益は計画を上回る水準で着地した。そして通期の横ばい予想を据え置いた。期初時点で下期偏重の計画としており、積極的な事業展開で通期予想の達成は可能だろう。株価は底固め完了感を強めている。第2四半期累計の利益が計画超だったことを評価して出直りを期待したい。
■24年11月期2Q累計減益だが計画超、通期予想(下期偏重)据え置き
24年11月期第2四半期累計の連結業績(IFRS)は、売上収益が前年同期比7.9%減の120億93百万円、営業利益が50.8%減の7億41百万円、親会社所有者帰属四半期純利益が29.3%減の6億84百万円だった。
人材ソリューションにおける新型コロナ関連の売上減少に加え、ビジネスソリューション事業が下期偏重の計画のため減収減益だった。ただし障がい者雇用支援サービスの好調が牽引して各利益は計画(2月29日公表値、売上高124億87百万円、営業利益5億42百万円、親会社所有者帰属四半期純利益3億76百万円)を上回る水準で着地した。
セグメント別(内部取引、全社費用等調整前)に見ると、ビジネスソリューション事業は売上収益が10.2%増の65億77百万円、営業利益が27.3%減の11億82百万円だった。
障がい者雇用支援サービスの売上収益は18.7%増の38億87百万円だった。24年4月の法定雇用率の引き上げなどにより受注が高水準に推移した。設備販売は計画(430~480区画)を上回る528区画となった。顧客数は640社(新規27社、解約6社)で、管理区画数は8209区画、就労者数は4015名(定着率92%)となった。繁忙期(新年度)を迎え、設備販売が大幅に増加した。新規農園開設は4施設(第1四半期屋外2施設、第2四半期2施設)で、期末時点の施設数は累計50施設となった。
広域行政BPOサービスの売上収益は27.6%減の4億72百万円だった。国策案件の終了により大幅減収だが、新年度の案件獲得に向けて営業を強化している。環境経営支援サービスの売上収益は18.2%増の4億68百万円だった。企業向けコンサルティングサービスは納品が下期集中だが、新たに開始した自治体向けコンサルティングサービスが寄与して概ね順調だった。
ロジスティクスアウトソーシングサービスの売上収益は14.0%減の6億39百万円だった。物流センター運営代行業務からの撤退の影響で減収だが、EC通販発送代行業務については第2四半期より新規案件が稼働開始した。採用支援サービス(OMUSUBI)の売上収益は2.2%増の3億75百万円だった。新規顧客は順調に増加したが、自動化浸透に伴う単価下落の影響で小幅増収にとどまった。利益面は業務効率化効果などで上振れた。セールスサポートサービスの売上収益は10.4%増の4億59百万円だった。事業拡大に向けて全国5拠点体制を構築した。
人材ソリューション事業は、売上収益が22.9%減の55億56百万円、営業利益が33.6%減の4億24百万円だった。主力のコールセンター業務の売上収益は26.8%減の44億62百万円だった。新型コロナ関連業務が終了して大幅減収だった。販売支援の売上収益は1.6%減の7億17百万円だった。
なお全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高が56億58百万円で営業利益が25百万円、第2四半期は売上高が64億35百万円で営業利益が7億16百万円だった。
24年11月期通期の連結業績予想(IFRS)は据え置いて、売上収益が23年11月期比4.9%増の270億60百万円、営業利益が1.0%減の27億50百万円、親会社株主帰属当期純利益が5.7%増の18億29百万円としている。配当予想については23年11月期と同額の10円(期末一括)としている。予想配当性向は43.2%となる。
セグメント別(内部取引、全社費用等調整前)に見ると、ビジネスソリューション事業は売上高が19.7%増の150億23百万円、営業利益が15.0%増の34億97百万円としている。売上高の内訳は障がい者雇用支援サービスが15.9%増の80億円(運営管理費が27.8%増の49億92百万円、設備販売が5.2%増の24億60百万円、人材紹介料が16.5%減の5億47百万円)で、ロジスティクスアウトソーシングサービスが10.6%増の16億26百万円、広域行政BPOサービスが7.6%増の14億95百万円、環境経営支援サービスが50.6%増の14億30百万円、採用支援サービス(OMUSUBI)が11.7%増の8億円としている。
障がい者雇用支援サービスは新規開設が8農園(上期実績4施設、下期4施設)、設備販売が1450区画(上期実績528区画、第3四半期275~325区画、第4四半期433~483区画)の計画としている。営業面では農園サービスに対する高い需要は変わらず好調だが、より丁寧な採用・教育に取り組んでいるため販売目標は一旦抑制する方針だ。また今期中に新サービス立ち上げを計画している。ロジスティクスアウトソーシングサービスは物流センターの稼働率向上や料金適正化などにより収益改善を推進する。なお物流センター運営代行サービスを終了し、今後はEC通販発送代行サービスに集中する。広域行政BPOサービスはスポット業務の縮小により上期の売上高が落ち込んだが、既存センターの稼働率向上に向けて営業を強化し、下期からの反転を見込んでいる。環境経営支援サービスは、企業向けコンサルティングサービスの納品が下期に集中する見込みだ。また、企業向けの支援ノウハウを活用して自治体向けの脱炭素支援サービスの拡大を推進する。採用支援サービス(OMUSUBI)はアルバイト・パート領域に加え、正社員採用支援サービスも開始する。また、自動化が難しくアウトソーシングニーズの高い面接代行サービスの拡大に注力する。
人材ソリューション事業は売上高が7.4%減の123億25百万円、営業利益が10.9%減の11億20百万円の計画としている。売上高の内訳はコールセンター業務が7.7%減の102億43百万円、販売支援が23.8%増の17億82百万円、その他が61.4%減の3億円の計画としている。上期の進捗遅れの影響で通期も下振れの可能性があるが、コールセンター業務の立て直し、アウトソーシング案件の営業強化、新領域へのチャレンジ(施工管理技士の人材派遣を開始)などにより底打ちを目指す方針だ。
24年11月期通期の横ばい予想を据え置いた。売上面は人材ソリューション事業の下振れの可能性の影響で、全体としても下振れの可能性があるが、利益面はビジネスソリューション事業(特に障がい者雇用支援サービス)の上振れにより、全体として計画達成を目指すとしている。上期は減収減益だったが、期初時点で下期偏重の計画としており、積極的な事業展開で通期予想の達成は可能だろう。
■株価は底固め完了
株価は反発力の鈍い形だが底固め完了感を強めている。第2四半期累計の利益が計画超だったことを評価して出直りを期待したい。7月12日の終値は331円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS23円16銭で算出)は約14倍、今期予想配当利回り(会社予想の10円で算出)は約3.0%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS111円78銭で算出)は約3.0倍、そして時価総額は約262億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)