前澤給装 Research Memo(4):2024年3月期は前期比3.2%増収、同12.9%営業増益

2024年7月12日 13:24

*13:24JST 前澤給装 Research Memo(4):2024年3月期は前期比3.2%増収、同12.9%営業増益
■業績動向

1. 2024年3月期の業績概要
前澤給装工業<a href="https://web.fisco.jp/platform/companies/0648500?fm=mj" target="_blank" rel="noopener noreferrer"><6485></a>の2024年3月期の連結業績は、売上高32,008百万円(前期比3.2%増)、営業利益2,466百万円(同12.9%増)、経常利益2,598百万円(同14.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,681百万円(同17.3%増)となった。新設住宅着工戸数が前年度比7.0%減の800,176戸とリーマンショック後の2010年度以来の低水準となるなかで、販売価格の改定効果が寄与し増収増益となり、売上高は3期連続で最高売上を更新した。

営業利益は、新設住宅着工戸数が低調に推移し、数量効果が得られないなか、原材料価格高騰などの影響に加え、全社費用が4,842百万円(前期比472百万円増)と増加したものの、給水装置事業での価格改定効果がけん引し、増益を確保した。

(1) 給水装置事業
給水装置事業は売上高17,006百万円(前期比4.6%増)、セグメント利益5,090百万円(同17.5%増)となった。新設住宅着工戸数が低調に推移したものの、底堅い配水管布設替工事の需要が下支えし、配水管布設替工事への納入を継続して確保したほか、耐震性や施工性に優れた製品の提案活動に注力したことに加え、価格改定の効果により増収となった。地域別では、北海道を除き増収を確保した。利益面では、主要原材料である銅の価格が高止まりしているものの、販売価格改定効果及び収益の改善により増益となった。

(2) 住宅・建築設備事業
住宅・建築設備事業は売上高12,350百万円(前期比0.6%増)、セグメント利益1,959百万円(同1.5%減)と横ばいで推移した。新設住宅着工戸数が低調に推移するなか、販売価格改定効果やマンション等集合住宅向け給水・給湯配管システム品の納入が集中したことなどにより、売上高は微増を確保した。利益面では、低採算品などの販売見直し、販売価格改定効果等で減益幅を最小限にとどめた。なお、前澤リビング・ソリューションズを吸収合併したことで、セグメント間の内部売上高がなくなり、統合による効率化なども収益の効率化に寄与していると見られる。

(3) 商品販売事業
商品販売事業は売上高2,651百万円(前期比6.7%増)、セグメント利益259百万円(同12.0%増)となった。鋳鉄製品の販売が増加したことが寄与した。

(4) 地域別販売推移
同社の営業拠点別売上高では、関東、中部、近畿で全体の72.6%を占めている。2024年3月期においては北海道を除き増収を確保した。主力の給水装置事業は中部が前期比8.2%増、近畿が同7.9%増と平均を上回る伸びを見せた。住宅・建築設備事業は、東京ガス<a href="https://web.fisco.jp/platform/companies/0953100?fm=mj" target="_blank" rel="noopener noreferrer"><9531></a>や大阪ガス<a href="https://web.fisco.jp/platform/companies/0953200?fm=mj" target="_blank" rel="noopener noreferrer"><9532></a>といった関連で床暖房事業を扱っていることから関東、近畿の構成比が高く、2地域で72.0%を占めるが、横ばい基調に終始した。

2. 財務状況と経営指標
2024年3月期の資産合計は前期末比1,321百万円増加し、45,965百万円となった。このうち流動資産は同30百万円増の30,706百万円となった。これは主に、現金及び預金が390百万円、社債償還による有価証券400百万円減少したものの、売上増で電子記録債権が908百万円増加したことなどによる。自己資本比率は84.9%(前期末は85.6%)、流動比率は537.6%(同547.6%)と高水準を維持している。

2024年3月期の連結キャッシュ・フローについて、営業活動によるキャッシュ・フローは2,060百万円の収入となった。これは主に、仕入債務の増減額が1,765百万円増加、棚卸資産の増減額が1,314百万円減少したことなどによる。投資活動によるキャッシュ・フローは無形固定資産の取得による支出で401百万円減少したことなどにより273百万円の支出となった。これらの結果、フリーキャッシュ・フローがプラスに転じ、1,786百万円となった。現金及び現金同等物の期末残高は前期末比11百万円減少し10,486百万円となったが、潤沢な水準を維持している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 岡本 弘)《SO》

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