クリーク・アンド・リバー社は25年2月期1Q減益だが通期増益予想据え置き、自己株式取得発表

2024年7月10日 09:13

(決算速報)  クリーク・アンド・リバー社<4763>(東証プライム)は7月10日の取引時間終了後に25年2月期第1四半期連結業績を発表した。大手ゲームパブリッシャーの案件縮小の影響や大量採用に伴う人件費の増加などで減益だった。ただし通期増益予想を据え置いた。通期計画達成に向けて案件獲得が概ね順調に進んでおり、第1四半期の遅れの挽回を目指すとしている。積極的な事業展開により通期ベースでの収益拡大基調を期待したい。なお自己株式取得を発表した。株価は4月の年初来安値圏から反発して戻り歩調の形だ。目先的には第1四半期減益を嫌気する動きが優勢になる可能性もあるが、自己株式取得も評価して出直りを期待したい。

■25年2月期1Q減益だが通期増益予想据え置き

 25年2月期第1四半期の連結業績は。売上高が前年同期比0.8%増の128億54百万円、営業利益が20.2%減の12億61百万円、経常利益が19.9%減の12億77百万円、親会社株主帰属四半期純利益が17.7%減の8億60百万円だった。

 日本クリエイティブ分野における一部の大手ゲームパブリッシャーの案件縮小の影響、人材紹介サービスの成約長期化の影響、オリジナルコンテンツ開発投資増加の影響、大量採用に伴う人件費の増加の影響、医療分野において前期後半から実施している営業体制見直し等の構造改革の影響などで減益だった。期初時点で減益見込みとしていた社内計画をやや下回る水準で着地した。

 日本クリエイティブ分野(6社)は売上高が0.9%増の87億13百万円、営業利益(全社費用等調整前)が34.1%減の5億40百万円だった。計画をやや下回った。韓国クリエイティブ分野(2社)は売上高が9.6%減の7億92百万円、営業利益が12百万円の損失(前年同期は8百万円の損失)だった。Webtoonが伸長したが、TV局向け派遣が減少した。医療分野(2社)は売上高が4.6%減の17億47百万円、営業利益が10.0%減の7億08百万円だった。営業体制見直し等の構造改革が影響した。会計・法曹分野(2社)は、売上高が2.4%増の6億32百万円、営業利益が22.0%増の45百万円だった。紹介・派遣事業が順調に伸長した。

 その他事業(新規事業18社)は売上高が23.1%増の9億69百万円、営業利益が21百万円の損失(同60百万円の損失)だった。投資段階事業が多いため全体として営業損失だが、前年比では損失縮小した。営業利益増減の内訳は増益の7社合計で63百万円増益、投資が増加した8社合計で49百万円減益、新規設立・グループ化3社合計で29百万円増益だった。

 通期連結業績予想は据え置いて、売上高が24年2月期比10.4%増の550億円、営業利益が17.0%増の48億円、経常利益が16.0%増の48億円、親会社株主帰属当期純利益が16.6%増の31億円としている。配当予想は24年2月期比2円増配の43円(期末一括)としている。予想配当性向は30.5%となる。

 増収増益で14期連続増配予想としている。新卒採用増加(グループ合計で22年4月入社160名、23年4月入社344名、24年4月入社361名)や戦略投資などでコストが増加するが、日本クリエイティブ分野の順調な拡大に加え、医療分野における新型コロナウイルスワクチン関連反動減影響の一巡、新規事業会社の収益改善などで吸収する見込みだ。

 事業別の計画は、日本クリエイティブ分野の売上高が10%増の385億円で営業利益が11%増の32億円、韓国クリエイティブ分野の売上高が7%減の33億円で営業利益が40百万円の損失(24年2月期は41百万円の損失)、医療分野の売上高が7%増の58億円で営業利益が8%増の14億円、会計・法曹分野の売上高が8%増の27億円で営業利益が17%増の2億円、その他(前期比2社増加の18社)の売上高が37%増の50億円で営業利益が50百万円利益(同2億円の損失)としている。

 日本クリエイティブ分野では既存事業の成長を見込み、新卒社員の早期戦力化や採算管理強化を推進する。韓国クリエイティブ分野では引き続きTV局向け派遣の減少を想定している。医療分野では医師紹介事業の好調推移に加え、新型コロナウイルスワクチン関連反動減影響も一巡するが、需要増に対応した営業体制見直し等の構造改革費用を織り込んでいる。会計・法曹分野では会計士・弁護士の紹介事業が伸長する見込みだ。その他分野では各社の収益改善を見込んでいる。

 通期予想に対する第1四半期の進捗率は売上高が23%、営業利益が26%、経常利益が27%、純利益が28%と順調な形だが、医療分野の収益が上期(特に第1四半期)に偏重する季節要因があるため、この要因を考慮すると実質的な進捗率はやや低水準となる。ただし通期計画達成に向けて案件獲得が概ね順調に進んでおり、第1四半期の遅れの挽回を目指すとしている。積極的な事業展開により通期ベースでの収益拡大基調を期待したい。

■株価は戻り歩調

 なお7月9日に自己株式取得を発表した。上限は35万株・5億円で、取得期間は24年7月10日~24年11月30日としている。

 株価は4月の年初来安値圏から反発して戻り歩調の形だ。目先的には第1四半期減益を嫌気する動きが優勢になる可能性もあるが、自己株式取得も評価して出直りを期待したい。7月9日の終値は1791円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS140円93銭で算出)は約13倍、今期予想配当利回り(会社予想の43円で算出)は約2.4%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS713円59銭で算出)は約2.5倍、そして時価総額は約412億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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