ジェネパ Research Memo(5):D2C商品や新商品の積極的な市場投入により成長を目指す

2024年7月9日 13:25

*13:25JST ジェネパ Research Memo(5):D2C商品や新商品の積極的な市場投入により成長を目指す
■今後の見通し

1. 2024年10月期の連結業績見通し
2024年10月期の連結業績予想については現時点では非開示であり、決定次第の公表としている。ジェネレーションパス<a href="https://web.fisco.jp/platform/companies/0319500?fm=mj" target="_blank" rel="noopener noreferrer"><3195></a>は、今まで以上の成長速度を達成するため重点投資施策の絞り込みを進めており、投資案及び事業計画が確定し次第公表する考えだ。基本方針として掲げる「売上高の加速度的な成長」の実現に向けて、ECマーケティング事業においては、「EPO」の手法とそれを支える「MIS」の継続活用によりマーケティングをさらに強化するとともに、取扱商品数の増加やD2C商品の投入を拡大する。商品企画関連事業については、ECマーケティング事業において蓄積されたマーケティングデータを活用して顧客ニーズに合致したOEM商品を企画し、海外にある自社及び協力工場との連携により、低価格かつ高品質な商品を開発する。

2024年6月に公表した2024年5月の月次売上高は1,334百万円と、前年同月比で11.0%増加した。引っ越し関連商品である家電やインテリア商品、ペット用品、ベビー用品等の好調な売れ行きが貢献した。2023年11月から2024年5月までの累計でも前期累計比4.1%増と堅調に推移した。今後は、EC市場のみならず量販店などにも販売チャネルを増やし、オリジナルブランド商品の認知度や販売機会を獲得するほか、商品1点当たりの売上増加にも注力することで、さらなる売上規模の拡大につなげる。海外子会社の業績推移も堅調であることから、2024年10月期も前期と同等の増収を達成することは可能と弊社では見ている。

利益面では、引き続き適正価格での販売により一定の利益率を確保し、物流費用削減策を継続する。物流対策については2023年10月期より一定の成果が出ていることから、2024年10月期においても同様に費用削減効果が期待できる。一方で、現在物流に関しては、懸案事項を抱えている。同社が展開する主要ECモールの1つである楽天市場において、楽天グループ<a href="https://web.fisco.jp/platform/companies/0475500?fm=mj" target="_blank" rel="noopener noreferrer"><4755></a>が2024年7月より「配送品質向上制度」を開始する。この制度では、翌日配送など顧客利便性の向上に資する一定の基準を満たしたモール出店者に対し「最強配送ラベル」を付与するもので、消費者にとっては検索時間の短縮や節約効果などメリットが大きい。出店者においては検索順位が上がるなど売上拡大等への寄与が見込まれるものの、提携先の倉庫での入出荷負担の増加など、考えられるリスクも多い。同社は同制度に参加するか否か慎重に検討を進めている。

2. 事業戦略
同社は、事業の将来像として「ECの枠を超えたグローバルバリューチェーンへ」を掲げ、ECの枠を超えたバリューチェーンを日本国内からアジア圏にかけて構築し、将来的には世界へと拡大して発展することを目指す。まずはパートナー企業を国内企業からアジア圏に拡大し、各企業間でECマーケティングやオリジナルブランドの企画開発・製造など顧客価値を協創するバリューチェーンを構築し、成長を加速させる。重点投資施策を絞り込んだ中から、各事業において以下の施策を推進している。

(1) ECマーケティング事業
(a) USP事業の開始
ECマーケティング事業において、楽天市場、Yahoo!ショッピング、Amazon等のECモールでの最適化を行ってきたノウハウを活用し、独自のコンセプトを持つ商品の展開や特定のテーマ別EC、特色ある決済手段等を有するECなど、既存のECモールでは実現できない自社専用サイトを多数構築し、それらを有機的に結合させた自社ECサイト群を基礎としたUSP事業を構築している。

これはECモール内でのECサイト運営とは異なり、自社で集客を行う必要はあるが、詳細なマーケティングが可能となるため顧客属性に応じた細かいサービスの提供を実現できるほか、リピート購入やサブスクリプション購入などにも対応できる。いわば自営のECモールをプラットフォームとして構築するものであるが、同社は950社を超えるパートナー企業との取引により212万点にも及ぶ商品を既存のECモールで取り扱っており、USP事業においてはこれらの商品を個別に差別化・最適化した自社サイト群で販売する。精緻なマーケティングと組み合わせた商品販売により、他のECモールの動向に左右されない独自性を持ったECサイトとして運営していく。

2024年4月には3サイトの運営を開始しており、今後マーケティング情報の分析により改善サイクルを構築し、その結果を踏まえて1年以内には10サイト程度まで拡大する予定である。

(b) D2C商品の拡大
マーケティング事業でこれまでに蓄積してきたビッグデータを活用し、企画開発した自社製品を、D2C商品として販売を進める。D2C商品とは、工場やメーカーが商品を企画開発・製造して一般消費者に直接販売する商品、または企業が商品を企画して工場に直接依頼して製造された商品であり、これまで同社がPB(プライベート・ブランド)商品として企画・開発してきた商品ラインナップを強化したものだ。オリジナルブランドを確立すると同時に、ECモールだけでなく量販店へも販路を拡大し、商品の機能性やデザインの良さを消費者に直に訴求することで、販売を促進する。オリジナルブランド商品は、他社製品との差別化により価格競争を回避できるため、利益率が高い。同社は、既存ブランドである「s!mplus」や「カクシング」の商品ラインナップの充実に加えて、顧客ニーズに対応した新ブランドを追加し、ブランドの充実にも注力する。

(2) 商品企画関連事業
商品企画関連事業においては、ラオスでの新規工場稼働に向けた準備を推進する。ラオスの子会社では、中国の青島新綻紡貿易が開発した高付加価値なオリジナル機能性繊維を基にクライアントに新商品を提案し、契約が成立した商品を「with core」等のブランド商品として生産する。ラオスは同社の子会社がある中国やベトナムと陸続きであるため交通の便が良い。中国ではなくラオスに工場を設立する理由として、チャイナリスクの回避が挙げられるほか、人件費の観点でも優位性が高い。JETRO(日本貿易振興機構)が実施した2023年度海外進出日系企業実態調査(アジア・オセアニア編)(2023年11月発表)では、同地域20ヶ国で活動する日系企業4,982社の回答から有効回答を得た。同調査結果を見ると、製造業・作業員における基本月給の平均値について、中国の576ドルに対しラオスは129ドルと5倍近くの給与差が生じていることがわかった。青島新綻紡貿易との連携強化により、中国では高付加価値素材を開発・商品化して売上を向上させ、ラオスでは人件費を抑えた生産により原価の低減を図ることで、同社の収益及び利益への貢献を実現する。

(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)《SI》

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