nms Research Memo(5):製造業でのデジタル化普及遅延解決へ
2024年7月9日 12:05
*12:05JST nms Research Memo(5):製造業でのデジタル化普及遅延解決へ
■中期経営計画の進捗状況
nmsホールディングス<a href="https://web.fisco.jp/platform/companies/0216200?fm=mj" target="_blank" rel="noopener noreferrer"><2162></a>は2023年4月24日に中期経営計画を公表し、2026年3月期を最終年度とする目標値を示した。従来、経営指標として、2年目の2025年3月期は営業利益3,100百万円、最終年度である2026年3月期に営業利益4,200百万円を目指していたが、外部環境の悪化や為替環境の変化などから2025年3月期の営業利益の期初計画は2,100百万円に留まっている。同社では中期経営計画の基本的な戦略の軸や数値目標は変更していないが、これらの外部環境の変化を踏まえ、2026年3月期に目指していた営業利益4,200百万円の達成は従来計画より1年遅れの2027年3月期に目指したい考えだ。
引き続き、製造業の人手不足を背景としたHS事業の成長や、EMS事業におけるメキシコやベトナム拠点の業績寄与など、独自性のあるビジネスモデルの特長を最大化し、売上高・営業利益ともに連続的な成長を計画している。外部環境は想定より厳しいが、省人化投資による生産効率改善、ポートフォリオの見直しなどで着実に筋肉質な収益体質に変化してきており、需要が本格的な回復期に入ればこれまでの経営努力の成果が奏功し、同社の収益性が想定を上回るペースで改善する可能性もあることから、注目したいと弊社では考えている。
HS事業は2024年3月期までに実行した施策の効果を定着させ、基盤強化と事業強化の両輪で機動力を上げ、質が伴った成長を実現することを基本方針としている。また、当中期経営計画期間中は部分最適と全体最適のバランスを取りながら、強固な経営基盤を構築する計画である。重点施策としては、組織の再設計をすることで組織力を強化し、同時にデジタル技術やAIを活用し、事業運営の効率化を加速させる。
EMS事業は大量生産品を日本品質で、かつ、より低価格で実現する「メガEMS」と、熟成したマーケットにおける「オーダーメード型EMS」の掛け合わせで全方位展開することを基本方針としている。とりわけ当中期経営計画期間において売上の増加を見込んでいるのはメキシコ及びベトナム拠点で、メキシコにおいては2023年3月期の売上高25億円に対して、2024年3月期は35億円、2025年3月期はさらに拡大させ、黒字化を達成する計画だ。また、ベトナム拠点は既に黒字化が達成できており、今後さらなる利益拡大が期待される。
PS事業は高圧電源やマグネットロールを中心に体質強化を図り、ドキュメント市場でシェアを拡大し、低圧電源においては産業市場(ロボティクス、スマートファクトリー)でのシェア拡大も進めていくのが基本方針である。売上成長を伴う安定的な収益体質への転換を図り、収益性を重視した舵取りを進める計画だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 永岡宏樹)《SO》