「セヴシグ」と「アンディサイデッド」が2025春夏コレクションを発表

2024年7月9日 09:17

 「セヴシグ(SEVESKIG)」と「アンディサイデット((un)decided)」は2024年7月5日、東京都新宿区の国立競技場大型駐車場で2025春夏コレクションを発表した。    “In the Sky with Diamonds”をテーマに、エチオピアで発見された350万年前の古代人類「ルーシー」からスタートし、人類の起源と進化、ブランドの成長と探求を描いた今回。アメリカの人類学者ドナルド・ヨハンソンがルーシーを発掘した際に聞いていたと言われるビートルズの楽曲「ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンズ(Lucy in the Sky with Diamonds)」のプロモーションビデオ(PV)の世界観や、幻想的なビジュアルと鮮やかな色彩、1967年のサイケデリックなムードを現代的に昇華させ、軽く、クールに仕上げたコレクションを見せた。  

 中央にはステージが設置され、天井からは6つのミラーボールがダイヤモンドを散りばめたような光を放つ幻想的な空間が広がる会場。キーボードの生演奏が流れる中、ショーは「アンディサイデット」のコレクションからスタートした。ファーストルックは、ドレープが美しい白のドレスとミリタリー風のカーキジャケット。    オレンジとイエローの透ける素材を重ねたトップスとミリタリーパンツ、ブラトップ風のトップスとデニムライクなワイドパンツ、レースの透けるニットとクラッシュデニムなど、マスキュリンとフェミニン、ミリタリーやストリートとドレッシーなムードが融合したコーディネート。レザージャケットやライダースジャケットにはワンピースドレスや光沢のある黒のドレスを合わせた。  

 「アンディサイデット」では、PVに登場するカラフルなダンサーをイメージし、オリジナルの縦カットジャカードや花柄のシースルーカットジャカード、塩縮手法を使って描いた花柄、色とりどりの花柄刺繍を散りばめたコレクションを展開。ビートルズやルーシーを発掘したドナルド・ヨハンソンのように、このコレクションは道を切り開き続け、着る人に無限の可能性を与えることをテーマにしているというが、メッセージや美しい色とリアリティや軽さという相反する要素が共存しているように見えた。  

 続いて行われた「セヴシグ」のコレクションは、前身頃に「MOTOR CYCLY」、後身頃に「LUCY」など立体的な文字をあしらったライダースジャケットとスキンカラーのパンツからスタートした。    キーボードの演奏に女性ボーカルとギタリストが加わり、ライブ演奏が続く中、ブルーのスーツが登場。ジャケットの袖口やパンツの裾にたくさんのボタンを並べ、遊び心を加えながらも、全体の印象はクールでクリーンに仕上がっている。シャツと短パンもカウボーイ風の刺繍などのアクセントが施され、美しさと軽さが印象に残った。  

 鈍く光るオリジナルシルクウール素材や淡いイメージをオンブレチェックで表現し、「ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンズ」のPVから着想を得たサイケデリックなカラーリングを取り入れた今回のコレクション。コラージュやシュールレアリスムのような不思議なムードも健在。    テーマと顔、トラ、「Lucy in the Sky with Diamonds」の頭文字をとるとLSDになることから使われたという錠剤など、不思議なモチーフがランダムに並ぶジャケット。74という数字と虹のような色を加えたスウェット風パンツ、コラージュ作品のようなスカーフやシャツ。オンブレチェックをひねったり、ねじったり、変形させたりしたシャツやパンツ、コート。ジョン・レノンを描いたようなトップス、虹のようなグラデーションをプラスしたミリタリー風のジャケットとパンツ、リサイクル風のデニムをドッキングしたものも登場した。  

 これらはAIやアーティストとのコラボレーションによって生まれたもの。自由な発想でレザーアイテムなどに施されたハンドペインティングは、アーティスト、リダヲ(RIDAWO)によるもので、虹のようなグラデーションが印象的なジャケットやパンツは、新しい視点や不完全な表現を得るために、“ルーシー”をテーマにAIを使って製作された。古着のパッチワークやオンブレチェックの巻きスカートなどは、エチオピアの問題や文化を反映している。    「セヴシグ」と「アンディサイデッド」ともに、ストリートファッションの首都と呼ばれる東京の特徴であるストリートやカジュアル、日本のアバンギャルド、ドレッシーさ、美しさをミックス。テーマをリアルに落とし込み、軽くクールに仕上げたコレクション。    デザイナーの長野剛識は、「テーマは350万年前のエチオピアの類人猿ルーシーに基づいています。ルーシーという名前は、発掘作業中にビートルズの『ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンズ』を聴いていたことから付けられたので、PVの可愛い世界観をショーに取り入れました。メンズのエレガントな衣装は、PVのシーンやジョン・レノンの服装を参考にしています。普段のアメカジとは異なる要素を取り入れました」と話した。   取材・文:樋口真一 Courtesy of SEVESKIG、(un)decided
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