ミダックHD Research Memo(3):廃棄物処分事業、収集運搬事業、仲介管理事業を展開
2024年7月5日 16:03
*16:03JST ミダックHD Research Memo(3):廃棄物処分事業、収集運搬事業、仲介管理事業を展開
■事業概要
1. 事業概要
ミダックホールディングス<a href="https://web.fisco.jp/platform/companies/0656400?fm=mj" target="_blank" rel="noopener noreferrer"><6564></a>は産業廃棄物・特別管理産業廃棄物の収集運搬・処分、及び一般廃棄物の収集運搬・処分を展開している。廃棄物とは「占有者が自ら利用又は他人に有償で売却することができないために不要となったもの(放射性物質及びこれによって汚染された物を除く)」で、産業廃棄物と一般廃棄物に大別される。
産業廃棄物とは、事業活動に伴って生じた廃棄物のうち廃棄物処理法で規定された20種類の廃棄物(燃え殻、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類、ゴムくず、金属くず、ガラスくず・コンクリートくず及び陶磁器くず、鉱さい、がれき類、ばいじん、紙くず、木くず、繊維くず、動植物性残さ、動物系固形不要物、動物のふん尿、動物の死体、以上の産業廃棄物を処分するために処理したもので上記の産業廃棄物に該当しないもの)である。産業廃棄物のうち、爆発性、毒性、感染性のある廃棄物を特別管理産業廃棄物という。
一般廃棄物は廃棄物処理法で規定された産業廃棄物以外の廃棄物である。一般廃棄物は事業系一般廃棄物(事業活動に伴って生じた廃棄物で産業廃棄物以外のもの)、家庭廃棄物(一般家庭の日常生活に伴って生じた廃棄物)、特別管理一般廃棄物(廃家電製品に含まれるPCB使用部品、ごみ処理施設の集じん施設で集められたばいじん、感染性一般廃棄物など)に分類される。
(a) 事業区分・内容
同社は事業セグメント区分を廃棄物処分事業、収集運搬事業、仲介管理事業としている。廃棄物処分事業は、事業者(企業・地方公共団体等)から排出される廃棄物を、自社施設で中間処理(焼却、破砕、水処理、コンクリート固化など)及び最終処分する廃棄物処理サービスである。収集運搬事業は、事業者から排出される廃棄物をタンクローリー車やパッカー車などによって回収し、処理場まで運搬するサービスである。仲介管理事業は、自社処理が困難な廃棄物や自社の商圏以外の廃棄物について、自社以外の処理業者へ顧客(排出事業者)を紹介するサービスである。廃棄物処分事業及び収集運搬事業では排出事業者から中間処理・最終処分及び収集運搬に係る料金、仲介管理事業では処理業者から仲介手数料を得る。
中間処理とは、最終処分に先立って廃棄物を減量・減容化、安定化、無害化、資源化することである。廃棄物の性状に応じて焼却、破砕・選別、圧縮・成形、中和、脱水、溶融などの処理を行う。最終処分とは、廃棄物を埋め立て処分、海洋投入処分、再生によって最終的に処分することである。埋め立て処分は、廃棄物の環境への無用な拡散や流出を避けるために、陸上や水面の限られた場所を区切って貯留構造物を造成し、廃棄物を埋め立て貯留して年月をかけて自然に戻そうとするもので、安定型最終処分場(廃プラスチック類やがれき類など、そのまま埋め立て処分しても環境保全上支障のないものだけを埋め立てる処分場)、遮断型最終処分場(有害物質を含む廃棄物等を埋め立てる処分場で、コンクリートの囲いと屋根で周囲から遮断された構造)、及び管理型最終処分場(安定型最終処分場では処分できないが遮断型最終処分場の基準ほど有害物質の含有が多くない廃棄物等を埋め立てる処分場で、有害物質の溶出やガス・汚水が発生するため遮水工や浸出水処理施設の設置が義務付けられている)の3つに分類される。
(b) 事業環境
同社が属する国内産業廃棄物処理業界の推定市場規模(出典:環境省「平成23年度産業廃棄物処理業実態調査業務報告書」)は約5.3兆円で、地域別には関東2.1兆円、近畿0.9兆円、中部0.7兆円、北海道・東北0.6兆円、九州・沖縄0.6兆円、中国・四国0.4兆円となっている。国内の産業廃棄物の総排出量(出典:環境省「産業廃棄物の排出及び処理状況・令和4年度速報値」)は、2022年度が合計370百万トン(地域別構成比は関東25.2%、北海道・東北19.4%、中部17.0%、九州14.2%、近畿13.5%、中国・四国10.7%)だった。2009年度に400百万トンを割り込んだ後は特に大きな変化は見られず、今後も一定の廃棄物排出が継続すると予測されている。
最終処分量(出典:環境省「産業廃棄物排出・処理状況調査報告書 令和4年度速報値」)については、2018年以降はおおむね9百万トンで推移している。2008年度の17百万トンに比べて大幅に減少した形だが、これは廃棄物の再生利用(3R=Reduce、Reuse、Recycle)の進展が影響していると考えられるが、環境省「循環型社会形成推進基本計画(平成30年6月)」では2025年度の産業廃棄物の最終処分量の数値目標を約10百万トンと設定しており、今後も最終処分は不可避的に発生し、最終処分場が社会に不可欠な存在であることに変化はないだろうと考えられる。
また、全国の最終処分場(設置許可数)は2022年4月1日時点(出典:環境省「産業廃棄物処理施設の設置、産業廃棄物処理業の許可等に関する状況 令和3年度実績」)で全国に1,568件となっている。最終処分場の残存容量は合計17,109万立方メートル(遮断型処分場が2万立方メートル、安定型処分場が5,923万立方メートル、管理型処分場が11,183万立方メートル)で前年度比1,402万立方メートル(8.9%)増加した。残余年数(=残存容量/最終処分量)は全国が19.7年で、このうち首都圏は13.4年、近畿圏は20.5年となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)《SO》