ダイナムジャパンHD Research Memo(6):2024年3月期は2ケタ増収、各利益は2期ぶりに増益(2)
2024年7月4日 18:06
*18:06JST ダイナムジャパンHD Research Memo(6):2024年3月期は2ケタ増収、各利益は2期ぶりに増益(2)
■ダイナムジャパンホールディングス<06889/HK>の2024年3月期決算の状況
2024年3月末の店舗数は前期末比5店舗増の397店舗となった。M&Aで7店舗を取得し、不採算となっていた2店舗を閉店した。遊技機設置台数は店舗数増加により同4.7%増の194,108台となり、設置台数の業界シェアは5.7%となった。このうち、スマート遊技機の設置台数は、スマパチが3,673台(設置比率2.8%)にとどまったのに対して、スマスロは前期末の4,956台から18,810台(同29.4%)と大幅増となった。高稼働が見込めるヒット機種を中心に積極的に購入を進めたことによる。スマスロの稼働率の高さは貸玉収入比率にも表れており、2024年3月時点でスロットの貸玉収入のうち、40.4%をスマスロで占めた。スマパチについては貸玉収入比率の5.6%と設置台数比率よりは高くなったものの、誤差の範囲内である。このため2024年3月期においては、スマスロの人気機種をどれだけ揃えられるかが収益を回復するうえで重要な一年だったと言える。
スマパチの設置が進まなかった理由としては、従来機種と比べてゲーム性に大きな違いがなく差別化が図れなかったことに加えて、遊技機内に玉の還流システムを設ける必要があり製造コストも上がるため、メーカー側でメインタイトルを発売する動きが限定的であったこと、ホール側でも投資余力が限られるなかで高稼働が見込めるスマスロの導入を優先的に進めたことなどが挙げられる。こうした状況を反映して、ダイナム店舗の稼働率もパチンコが前期比1.5ポイント低下したのに対して、スロットは同3.9ポイント上昇した。
(2) 航空機リース事業
航空機リース事業の事業収入は前期比104.6%増の5,883百万円、セグメント利益は同142.5%増の1,072百万円と大幅増収増益となった。同事業は子会社のDynam Aviation Ireland Limited(ダイナムアビエーション)で日本人を含む9名の専門家によって運営している。流動性が高く需要も安定して見込まれるナローボディ機(AIRBUS(以下、エアバス)のA320シリーズやThe Boeing Company<BA>(以下、ボーイング)のB737シリーズ等)に絞ってリース事業を展開しているほか、従来はアウトソーシングしていた航空機リース管理業務を内製化する体制を整備し、2024年3月期より他社が保有する航空機のリース管理サービスの提供を開始した。
増収要因は、新たに4機の航空機を購入し、リースを開始したことによるもので、リース機は前期末の6機から10機に増加した。4機のうち2機はインドのLCCであるIndiGo(インディゴ)に、残り2機はハンガリーのLCCであるWizz Air Hungary Ltd.(以下、ウィズエアー)にリースした。また、新たに開始した航空機リース管理サービスでは、他法人が保有する航空機7機の管理サービスを受託し、収益増に貢献した。事業費用は主に航空機の新規購入に伴う減価償却費の増加(1,275百万円増)により同1,416百万円増加の3,250百万円となった。また、借入金が増加したことにより金融収支が同951百万円悪化した。なお、フリートバリューは81,363百万円で同97.8%増となり、平均残存リース期間は6.0年、年換算表面利回りは8.1%となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)《SO》