三栄コーポ Research Memo(3):大手顧客からのOEMと輸入ブランド中心の店舗販売の2つのビジネスモデル
2024年7月2日 16:13
*16:13JST 三栄コーポ Research Memo(3):大手顧客からのOEMと輸入ブランド中心の店舗販売の2つのビジネスモデル
■事業概要
1. 家具家庭用品事業の動向
三栄コーポレーション<a href="https://web.fisco.jp/platform/companies/0811900?fm=mj" target="_blank" rel="noopener noreferrer"><8119></a>最大の事業セグメントが家具家庭用品事業である。この事業は、OEMの比率が売上高の90%前後と高く、良品計画に代表される大手顧客の事業の伸びとともに成長してきた。良品計画並びにその子会社への売上高は15,689百万円(2024年3月期、全セグメント合計)であり、大きな存在である。新たな販売チャネルとしてさらなる成長が期待されるのが自社のeコマースインテリアショップ「MINT」である。楽天市場やYahoo!ショッピングで1,000を超えるアイテムを販売しており、リーズナブルな価格の良質なベッドやマットレス、アンティーク調家具、インテリア、ガーデンエクステリア、アウトドア用品等が消費者のニーズに合致している。同社では、自社ブランドやOEM商品の製造及びODM提案が可能な開発拠点として、マレーシアに家具・インテリアの自社工場(約4,000平方メートル)を有している。
2. 服飾雑貨事業の動向
服飾雑貨事業ではブランド事業が売上高の約50%を占めており、潜在的に収益性の高いセグメントである。同社が取り扱う最大のブランドが、ドイツで誕生して250周年を迎える歴史あるコンフォートサンダル・シューズを扱う「BIRKENSTOCK」であり、子会社ベネクシーが小売り事業を運営する。1万円前後の価格帯にもかかわらず根強い支持があり、ショッピングセンターや有名百貨店内の直営店舗、eコマースで販売している。長く使う顧客が多い商品だけに、自社運営のアフターサービスが充実している。数年前から、「BIRKENSTOCK」のブームが落ち着いたことや新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)に伴う集客難などが重なり業績が悪化し、店舗数は、2019年3月末に65店舗あった直営店が2024年3月末に24店舗まで縮小した。「BIRKENSTOCK」の専門業態は2024年9月に契約完了する予定であり、直営セレクトショップ「BENEXY(ベネクシー)」「Quorinest(クオリネスト)」等に業態転換を進めている。
3. 家電事業の動向
OEM事業では、中国の子会社である三發電器製品(東莞)有限公司、香港の子会社である三發電器製造廠有限公司が小物家電を製造・輸出する。ブランド事業においては、調理家電の自社ブランドである「Vitantonio」、理美容家電の「mod’s hair」、業務用調理機器の「MULTI CHEF(マルチシェフ)」などを製造販売している。「Vitantonio」では、ホットサンドベーカーやコードレスボトルブレンダーなどが売れ筋である。ホットサンドを家庭で作るという生活スタイルやオリジナルドリンクが楽しめる生活スタイルなどを提案するユニークな家電ブランドとして人気が高い。コロナ禍の収束に伴い理美容家電の国内需要にも伸びが見られる。ヘアドライヤーやヘアアイロンのほかにも、堅調な売上となっている「mod’s hairコンパクトイオンヒートブラシ」もある。セグメント業績は、工場稼働率の低下などにより苦戦していたものの、2024年3月期では販管費の削減等も奏功し収益性が改善した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)《HN》