ステップ Research Memo(7):横浜・川崎地区の生徒数シェア拡大余地は大きく今後も安定成長が続く見通し(1)

2024年6月27日 13:57

*13:57JST ステップ Research Memo(7):横浜・川崎地区の生徒数シェア拡大余地は大きく今後も安定成長が続く見通し(1)
■今後の見通し

2. 今後の成長戦略
(1) 小中学生部門
ステップ<a href="https://web.fisco.jp/platform/companies/0979500?fm=mj" target="_blank" rel="noopener noreferrer"><9795></a>は中長期的に神奈川県内に特化した学習塾として成長を続けるための戦略として、生徒数の増加が見込まれる横浜・川崎エリアでのシェア拡大を最重要課題として取り組んできた。2024年春の横浜市内の公立トップ校における合格者数は他塾との差をさらに広げる結果となり、県内最難関校とされる横浜翠嵐高校の合格者数についても2年連続でトップで、全体の合格者数の4割強を占めるなど横浜エリアでのブランド力は一段と強固なものになったと評価される。同社では今後も横浜翠嵐で圧倒的な合格者数を獲得することを目標としている。同社の場合、志望校の選定は生徒の自主性に任せているため、横浜翠嵐高校の合格者数が急に増加するということは考えにくいが、横浜・川崎エリアの生徒数を今後も増やす方針であることから、今後も合格者数は伸び続ける可能性が高いと弊社では見ている。また、川崎市内で最難関となる多摩高校については、2024年春の合格実績で59名と前年比17名減となり、トップの塾(124名)との差が開く格好となった。これはSTEP生の志願者が減少したことに加えて、トップ塾が多摩校近隣にスクール数を増やし強化してきたことが影響したと見られる。とは言え、同社もJR南武線沿線や小田急沿線でここ数年、スクール数及び生徒数を増やしてきたことから、2年後までにはトップを奪取することが期待される。

神奈川県内の公立中学校に通う生徒数のうち「STEP」生の占める比率は2023年10月時点で11.0%となっており、このうち、横浜・川崎以外の地域では14.5%、横浜市で9.2%、川崎市で5.0%である。一方、2030年までの人口予測によれば横浜市の北部エリアと川崎市は増加傾向にあるが、県西部エリアや横須賀市は減少傾向が続く見通しであり、横浜・川崎エリアでスクール数を増やしてシェアを拡大する戦略は理に適っていると言える。

同社は当面の目標として、横浜・川崎エリアでの中学生部門の生徒数シェアを15%程度まで引き上げることを目指し、これらエリアで年間3~4校のペースで新規開校を進める計画だ。川崎エリアでは15スクール前後、横浜エリアでは25スクール前後を開校すれば15%のシェア達成が可能と見ており、今後10年程度かけて展開することになる※。生徒数で換算すれば、全体の公立中学校生徒数並びに他の地域のステップ生徒数が横ばいで推移したと仮定した場合、横浜・川崎エリアのシェア拡大で現在の1.34倍まで生徒数を拡大することができる。10年かけて達成したとすると、生徒数の増加ペースは年率3%となる。主要都市部の生徒数シェアを見ると、本社を置く藤沢市で26.0%となっているほか鎌倉市で22.7%、海老名市で19.9%と15%を上回る地域もあり、長期的には横浜・川崎エリアでも15%を上回るシェアを獲得する可能性は十分にあると弊社では見ている。実際、横浜市の青葉区と都筑区では16%台までシェアを伸ばしている。スクール展開のペースに関しては、教師の育成と条件に適う不動産物件が出てくるかがカギを握る。このうち不動産物件の探索に関しては、競合塾が撤退したり金融機関が営業拠点の統廃合を進めたりしている状況から、以前と比べると見つけやすい市場環境になっているようだ。実際、Hi-STEP新百合ヶ丘スクールは、競合塾が撤退した物件に開設している。

※中学部門のスクール当たりの生徒数150人を前提として計算。


また、小学生部門については引き続き「楽しく学ぶ」ことができる学習塾という同社の特徴であり強みを、さらに磨いていくことで生徒数の増加につなげていく考えだ。楽しく学べる環境づくりを教師も意識しながら取り組むことで、入塾する生徒の増加につなげていく。

(2) 高校生部門
高校生部門では、従来3~4年に1校のペースで開校を続けてきた。授業の質を維持しながらスクールを増やす方針のため、新規開校は教師のリソースを確保してからとなる。こうした取り組みを続けてきた結果、大学合格実績もここ数年で躍進的に伸び、神奈川県内の公立高校生を主体とした学習塾としてはトップレベルのブランド力を有するまでになった。2024年は横浜校の増床を予定しているが、今後も人気校舎については移転・増床などを検討する方針だ。また。新規校舎についても前述したように不動産物件が以前よりも見つけやすい環境になっていることから、2025年以降に開校する可能性はある。特に、川崎エリアについては現在、1校もないことから早晩、進出するものと予想される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)《HN》

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