ブリッジ Research Memo(10):新中期経営計画を策定、B2B企業の売上成長に向けた改革を支援(2)
2024年6月25日 13:50
*13:50JST ブリッジ Research Memo(10):新中期経営計画を策定、B2B企業の売上成長に向けた改革を支援(2)
■ブリッジインターナショナル<a href="https://web.fisco.jp/platform/companies/0703900?fm=mj" target="_blank" rel="noopener noreferrer"><7039></a>の成長戦略
2. 事業別の成長の方向性とKPI
新中期経営計画では、各事業の成長の方向性とKPIを以下のとおり定めている。
(1) プロセス・テクノロジー事業(現C&S事業)
同事業を新中計における変革の中核と位置付け、これまでの「C&S事業」から、より顧客の視点に立った「プロセス・テクノロジー事業」へ名称を変更する。同社では本事業における成長領域を「売上成長モデルのプロセス改革支援を強化」「SEA(セールスエンゲージメントアプリケーション)※ビジネスの立上げ」「オペレーション支援ビジネスの拡充」の3分野とし、リソースを集中する。既存領域については、ネットワークインテグレーションにおけるサブスクビジネスの強化、高収益顧客に対し集中を図る。
※営業活動を効率化し、顧客との関係を深めるためのツール。
本事業における課題は、セグメント利益率の改善と新領域であるSEA開発に関するノウハウの蓄積である。前者については、外部ベンダーへの依存度の高さや、Salesforceの特定製品に精通した開発技術者の採用により人件費が高騰している現状を見直す。後者については、市場に経験者が少ない領域であるため、実践により経験を積み、スピード感を持った技術・ノウハウの蓄積が必要である。対策としては、既存のSI開発経験者を早期にリスキリングするほか、採用競合の多いSalesforce開発経験者に限定した採用から、転用可能な基礎技術保持者の採用へと見直すことが挙げられる。社内でのリスキリングや研修等の推進により事業動向に応じた柔軟な人材確保を目指し、外注依存度の低下による利益率改善を図る。もう1つの対策としてはSEAビジネスや、レベニュープロセスの構築・実行・定着などの高付加価値で利益率の高いビジネスを確立することである。このように、主に社内の人材リソース等を有効活用することでセグメント利益率の改善を図る。同事業のKPIについては、2026年12月期の売上高を2,900百万円、セグメント利益率を9%、新規ビジネスの売上高900百万円、強化施策における事業体制を77名とする計画である。
(2) インサイドセールスアウトソーシング事業
新中計において、同事業は引き続き外資系IT企業、国内IT企業、金融業界にフォーカスした営業体制により市場開拓を目指す。同社ではこれらの業種は依然として開拓余地があると見ている。例えば、外資系IT企業における同社の市場シェアは2024年3月末時点で10%程度であり、同社がビジネス上のノウハウを豊富に有する国内IT企業については、慢性的な営業・マーケティング人材が不足しておりニーズが大きい。金融業界においては、融資以外のサービスでの収益拡大が急務とされている。それぞれシェア拡大のための好条件が揃っている。同社としては、外資系IT企業や国内IT企業向けに慢性的な専門人材の不足やアンマッチに対するサポート、商圏の広いIT業界において継続的なソリューション提案ができる仕組みづくり、金融業界向けには人材育成と並行したビジネスモデルづくりや転勤などの組織文化をサポートする支援を行い、取引深耕を図る。
同事業にとっての課題のなかで、外部環境に起因するものとしては、インサイドセールス市場における競争激化や、クライアント企業でのインサイドセールス内製化の動き、採用市場における人材の争奪戦が挙げられる。また内部環境に起因するものとしては、属人的な組織運営や営業・提案能力不足、社員定着率の低さによる品質の低下、プロジェクトリーダーへの業務集中といった点が挙げられる。対策として、同社は組織や制度の見直しと並行して、社員の能力開発の新たな仕組み「能力開発フレームワーク(CDF)」を導入する。社員の最終的なキャリアゴールと、それに向けて伸ばしたい能力を設定して方策を立て、タスクを実行し、結果に対する評価とフィードバックを繰り返すことにより能力を向上していく。新中期経営計画のなかで活用し、顧客提供価値の最大化を目指す。同事業のKPIについては、2026年12月期の売上高を4,900百万円、セグメント利益率を12%、注力業界における売上高として外資IT業界で2,400百万円、国内IT業界で1,700百万円、金融業界で94百万円、インサイドセールスレップ離職率※を10%未満とした。
※(事業年度の退職者数÷事業年度開始時の従業員数)×100で算出される。
(3) 研修事業
同事業では事業会社や地方SIerといった、DX実現の主体となる企業を成長顧客と位置付け、「DX人材内製支援」「地域DX促進支援」「次世代経営人材育成」の3サービスを提供し、事業拡大を目指す。首都圏のSIer等の既存顧客に対しては、人事部門からビジネス部門までカバレッジし、共通スキル研修から専門スキル研修まで提供してシェアの維持拡大を図る。
同事業にとっての課題としては、競争力のあるプログラム開発によるサービス強化、集客力向上、LTV向上(長期的な顧客との関係づくり)の3点を挙げた。強化施策として、デジタル人材育成ソリューション、伴走支援ソリューション、人材育成内製化支援ソリューションといった研修プログラムを開発する。これにより事業の競争力を確保しつつ、顧客企業のDX実現を人材育成の側面から支援する。注力するプログラム施策としては、人材育成計画セッション(PD-PS)による提言アプローチや、オファリング(提案型)営業活動の推進を並行して進め、DXに係る研修プログラムの年間複数受講数を増やし、LTV向上につなげる考えだ。同事業のKPIについては、2026年12月期の売上高を3,200百万円、セグメント利益率を12%、成長領域における売上高を2,000百万円、年間3テーマ以上の受講企業数を180社とした。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)《AS》