ブリッジ Research Memo(1):インサイドセールスが順調に伸長、M&A効果でC&S事業が拡大

2024年6月25日 13:41

*13:41JST ブリッジ Research Memo(1):インサイドセールスが順調に伸長、M&A効果でC&S事業が拡大
■要約

ブリッジインターナショナル<a href="https://web.fisco.jp/platform/companies/0703900?fm=mj" target="_blank" rel="noopener noreferrer"><7039></a>は、法人営業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を支援するインサイドセールスアウトソーシング事業、C&S事業、及び研修事業の3つの事業でクライアント企業への支援サービスを提供している。インサイドセールスアウトソーシング事業では、インサイドセールスのアウトソーシングサービス、C&S事業ではインサイドセールスやその導入のための業務設計、上流での営業戦略・DX導入を支援するコンサルティングサービス、及びCRM(顧客情報を一元管理するシステム)の受託開発及びAI営業支援ツールを提供するシステムソリューションサービスを行っている。研修事業では、IT研修や新入社員向け研修など実績のある(株)アイ・ラーニングのDX研修プログラムを幅広く提供し、多種多様な研修サービス分野を強化している。

1. 2024年12月期第1四半期の業績概要
2024年12月期第1四半期の業績は、売上高1,868百万円(前年同期比16.6%増)、営業利益148百万円(同14.9%減)、経常利益198百万円(同12.6%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益116百万円(同1.4%減)となった。売上高は第1四半期ベースで過去最高を更新し、売上総利益及び経常利益は前年同期比で増益となった。通期計画に対する進捗率では売上高が21.1%、営業利益は15.6%、経常利益は20.9%、親会社株主に帰属する当期純利益は19.0%となり、売上高についてはほぼ予定どおりだが、利益面では一過性の減益要因もあって通常ペースを下回った。売上面では、多くの企業が法人営業活動に関するDXの一環として、インサイドセールスの導入・拡大による顧客開拓活動の高度化を進めているといった事業環境を背景に、インサイドセールスアウトソーシング事業はほぼ前年同期並みの売上高を記録した。C&S事業はM&Aにより2社をグループに取り込んだことで前年同期比259.0%と大幅な増収となり、全体の売上増に貢献した。研修事業については前年同期比14.2%の減収となったが、前期にあったカスタマイズ研修に関する需要の反動や、公開研修に関する売上減の影響によるものである。利益面では、粗利率は31.9%と前年同期を0.3ポイント上回ったが、営業利益においては子会社買収に伴う会計処理統一の影響が利益押し下げ要因となり、売上高営業利益率は8.0%と前年同期比で2.9ポイント低下した。一方で経常利益に関しては、買収に伴う子会社の保険返戻金の営業外収益への計上が利益を押し上げたが、売上高経常利益率は10.6%と前年同期比で0.4ポイント低下となった。なお売上高四半期純利益率についても6.3%となり、前年同期比で1.1ポイント低下した。

2. 2024年12月期業績の見通し
2024年12月期業績の見通しは、売上高8,842百万円(前期比26.0%増)、営業利益947百万円(同3.7%増)、経常利益947百万円(同3.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益616百万円(同4.2%減)とする期初計画を据え置いた。最終利益については2023年12月期に「人材確保促進税制」の適用による増加があったことの反動で減益を見込んでいる。売上高についてはC&S事業の拡大戦略に基づくM&Aによる販路拡大効果もあり、前期比26.0%増と2ケタ成長を見込む。増収予想に対して利益面は弱い印象を受けるが、体制強化のための人材投資や、サービス認知のためのマーケティング投資、業務効率化のための社内システム投資等、必要な成長投資を行うことが要因で、それでも営業利益率は10%台を確保する見通しだ。

3. 強み
同社の各サービスにおける競合企業は存在するものの、同社は営業/マーケティングに特化し、戦略立案から実行支援を強固なものとするITツールまで一気通貫でサービスを提供することができる。また、主力のアウトソーシングサービスはクライアント企業専任制を採用しているため、クライアントの営業環境に合わせながら最適な業務設計を都度変更することができる。クライアント企業の事業規模が拡大すれば、同社も継続契約や取引規模の拡大につながる。また、2024年12月期からインサイドセールス事業から分離したC&S事業も、クライアント企業のインサイドセールス機能の内製化やカスタマイズされた機能の拡充に対応する上で、なくてはならない存在に成長している。さらに2021年3月にアイ・ラーニングを連結子会社化したことで新たに立ち上げた研修事業においては、企業向け新人研修やデジタル人材育成サービスを提供する。これにより、B2Bビジネスを展開する企業の売上向上を総合的に支援できることが強みになると弊社は考えている。

4. 新中期経営計画の発表
同社は2024年2月26日に「事業計画及び成長可能性に関する事項」を開示し、同年5月27日には2024年12月期から2026年12月期までの3ヶ年の中期経営計画を策定したと発表した。B2B企業の成長に向けた改革を支援するEnd to Endのサービスを提供する事業者として、デジタル活用を促進・定着させ、レベニュープロセス・オペレーション※の統合を実現することで、B2B企業の売上向上と顧客経験改善に貢献する。これをグループの成長方針とし、計画達成を図る。

※企業の売上を生み出す一連の活動やプロセス(マーケティング、インサイドセールス、営業、カスタマーサクセスなど)とそれを支える技術、ツール、データの組み合わせを提供する仕組み。


新中期経営計画では、「顧客の成長戦略を実現する売上成長モデルの構築・実行・定着」「市場と顧客の変化に対応できるデジタルの民主化を推進」の2つを事業ドメインとして掲げ、それぞれ戦略を具体化した上で各事業における施策を策定している。経営指標については、2025年12月期における売上高を10,000百万円、営業利益を1,070百万円、最終年度である2026年12月期の売上高を11,000百万円、営業利益を1,200百万円とする目標を掲げた。2023年12月期から2026年12月期までの年平均成長率は、売上高16.1%、営業利益9.5%となる。特にプロセス・テクノロジー事業(現C&S事業)と研修事業を高成長領域と位置付け、必要な投資を進め、2026年12月期における両事業の売上規模をそれぞれ2,900百万円、3,200百万円とし、全体売上高に占める両事業の割合を55%に成長させる。

■Key Points
・2024年12月期第1四半期の売上高はM&A効果もあり過去最高を更新
・内製化ニーズが高まり、アウトソーシング以外のC&Sサービスが伸長
・新中期経営計画を発表、2026年12月期に売上高110億円、営業利益12億円を目指す

(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)《AS》

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