再び1ドル=160円台へ!? 背景には家計の円売りも?
2024年6月24日 15:20
●家計の円売りが半年足らずで前年越え
6月24日、一時1ドル=159.94円まで円安が進み、4月29日に34年ぶりの160円台を突破して以来の水準となった。
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1-5月の国内投資信託運用会社などによる海外投資は、5.6兆円超の買い越しとなっており、早くも昨年1年間の額を上回っている。
新NISA(小額投資非課税制度)の影響により、個人が外国株型の投資信託を買うことによる“家計の円売り”が顕著となっており、これも背景にあると見られる。
米国の利下げや日銀の利上げが遅れていることに加え、家計の円売りにより、ドル円は160円台定着へと向かうのか?
●円安が再び急伸した最近の動き
21日に発表された米国の6月PMI(購買担当者景気指数)は、前月比で上昇した。CPIなど予想を下回る指標があり、一時、利下げへの期待が高まっていたが、米国の好景気を裏付ける結果となった。
FRB要人が利下げに対し慎重な姿勢を示したことや、日銀が長期国債買い入れの減額方針を決定したものの具体策がなく、ハト派と捉えられたことも影響し、159円台後半まで円安が進んだ。
20日には米国財務省が中国、台湾、ベトナムなどとともに日本を為替操作監視リストに加えた。イエレン氏も4月の為替介入以降、頻繁に為替介入に対し、けん制する発言をしており、日銀は為替介入に躊躇すると見られている。
●家計の円売りはこのまま続く?
円安を止めるのは、FRBの利下げと日銀の利上げ、短期的には為替介入であることは言うまでもない。
しかし、家計の円売りが続くなら、円安傾向はさらに続き、160円台定着も見えてくる。
新NISAでもっとも買われているeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリ)、いわゆる“オルカン”の影響は大きい。
海外投資家が日本株を4週連続で売り越しているという報道もあったが、今後個人投資家も吊られて日本株を投げ売りする場面もあるかもしれないが、円安には直接影響がない。
オルカンはつみたて投資枠で運用されているため、簡単には売られないし、投資額の減額も可能性は低い。
家計の円売りも当面続くと見られ、円安傾向はしばらく続くだろう。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)