NCD Research Memo(9):2024年3月期は大幅増収増益で過去最高業績
2024年6月21日 13:09
*13:09JST NCD Research Memo(9):2024年3月期は大幅増収増益で過去最高業績
■業績動向
1. 2024年3月期連結業績の概要
NCD<a href="https://web.fisco.jp/platform/companies/0478300?fm=mj" target="_blank" rel="noopener noreferrer"><4783></a>の2024年3月期の連結業績は売上高が前期比11.5%増の25,481百万円、営業利益が同76.9%増の2,115百万円、経常利益が同76.5%増の2,140百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同106.4%増の1,387百万円だった。前回予想(2024年2月9日付で大幅上方修正)を上回る水準の大幅増収増益だった。全セグメントが大幅に伸長し、人的資本投資による人件費増加やM&A関連費用などを吸収して過去最高業績だった。IT関連事業(システム開発事業、サポート&サービス事業)は、保険会社のアプリケーション開発・保守・運用業務の領域拡大など受注が好調に推移し、地方拠点(福岡、長崎)を活用したニアショア業務拡大や、子会社化したJCS(第4四半期よりP/Lを取込)も寄与した。パーキングシステム事業では、コロナ禍に伴う行動制限が解除されたことで駐輪場利用が想定以上に回復したことに加え、価格改定や業務効率化の効果なども寄与した。同社の売上総利益は同34.4%増加し、売上総利益率は同3.5ポイント上昇して20.3%となった。販管費は同15.2%増加し、販管費比率は同0.4ポイント上昇して12.0%となった。この結果、同社の営業利益率は同3.1ポイント上昇して8.3%となった。なお特別損失では減損損失が90百万円減少したほか、前期計上の退職給付制度移行損失85百万円が一巡した。
2. セグメント別の動向
セグメント別の動向(売上高は外部顧客への売上高、セグメント利益は全社費用等調整前の額)を見ると、IT関連事業は、システム開発事業の売上高が前期比12.7%増の10,421百万円でセグメント利益が同49.2%増の1,541百万円、サポート&サービス事業の売上高が同12.2%増の7,735百万円でセグメント利益が同21.0%増の851百万円だった。JCS連結による増収効果は694百万円だった。セグメント利益率はシステム開発事業が同3.6ポイント上昇して14.8%、サポート&サービス事業が同0.8ポイント上昇して11.0%となった。いずれも大幅増収増益となり、収益性も向上した。なお業務分類別の売上高(JCS除く)は主力のSIサービスが同10.5%増収、ITインフラが同9.5%増収と好調に推移した。ITコンサルは同40.7%増収、パッケージ導入は同7.8%減収、サービスデスクは同15.7%増収だった。また顧客業種別売上高構成比は金融が40%、情報通信サービスが20%、機械が11%、社会インフラが10%、サービスが9%、食品が9%、その他が1%だった。
保険会社の新商品のシステム開発案件や製造業の基幹システム刷新案件における業務領域拡大、エネルギー会社の次期資材管理システムや流通システムの大型案件受注、製造業の経営情報分析システム構築プロジェクトへの参画、保険会社のクラウド関連の業務領域拡大、地方拠点(福岡、長崎)における保険会社の基幹システム運用業務の伸長、流通業のヘルプデスク業務やPCキッティング業務の受注などにより大幅伸長した。利益面は増収効果に加え、アプリケーション保守業務においてNCDサービスモデルへの移行が進展したことも寄与して収益性が大幅に向上した。
パーキングシステム事業は、売上高が前期比9.3%増の7,297百万円、セグメント利益が同57.1%増の1,284百万円だった。セグメント利益率は同5.4ポイント上昇して17.6%となり、コロナ禍前(2019年3月期14.7%)を上回る水準に上昇した。業務分類別の売上高の内訳は、ストック収益となる自営駐輪場が同31.6%増収と大幅に伸長し、指定管理も同2.4%増収と堅調だった。機器販売は同2.5%増収、受託は同5.1%増収、その他は同9.3%減収だった。売上分類比率は指定管理が33%(内訳は利用料金制が74%、指定管理料制が26%)、自営駐輪場が32%、受託が18%、機器販売が12%、その他が5%だった。コロナ禍に伴う行動制限が解除されたことで駐輪場利用が想定以上に回復したことに加え、価格改定や業務効率化などBPRの成果も寄与して収益性が大幅に上昇した。
3. 財務の状況
財務面で見ると、2024年3月期末の資産合計は2023年3月期末比2,511百万円増加して14,899百万円となった。主に現金及び預金が同1,999百万円増加、売掛金が同213百万円増加、繰延税金資産が同213百万円増加した。負債合計は同1,153百万円増加して8,495百万円となった。主にリース債務が同397百万円減少した一方で、未払法人税等が同411百万円増加、退職給付に係る負債が同236百万円増加、賞与引当金が同165百万円増加、役員退職慰労引当金が同159百万円増加した。有利子負債(長短借入金)は同101百万円増加して908百万円となった。純資産合計は同1,358百万円増加して6,403百万円となった。主に利益剰余金が同1,165百万円増加した。この結果、自己資本比率は同2.2ポイント上昇して42.6%となった。キャッシュ・フローの状況を含めて懸念される点は見当たらず、財務の健全性が維持されていると弊社では判断している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)《SI》