NCD Research Memo(11):パーパスは「人の鼓動、もっと社会へ。」
2024年6月21日 13:11
*13:11JST NCD Research Memo(11):パーパスは「人の鼓動、もっと社会へ。」
■成長戦略
1. パーパス
NCD<a href="https://web.fisco.jp/platform/companies/0478300?fm=mj" target="_blank" rel="noopener noreferrer"><4783></a>は、トータル・ソリューション・プロバイダーとしての成長戦略を加速するため、「私たち一人ひとりが未来に胸をときめかせ、誰もが活き活きと輝ける社会をつくる。」という思いを込め、グループのパーパス「人の鼓動、もっと社会へ。」を掲げ、経営理念を「ユニークな技術とサービスにより、明るい未来に貢献する。」としている。また、DXビジョン「私たちNCDグループは、お客様のビジネスの変革や社会の発展に貢献し、かつ、従業員が活き活きと仕事をすることで、グループ全体の成長が持続する企業を目指します。その実現のために、グループ一人ひとりが知恵を絞り、意識の変革を行い、新たな発想のデジタル技術とサービス創出に挑戦します。」を掲げ、DX推進を本格化させる方針を打ち出している。さらに、創業の精神を継承しつつ、パーパスの実現に向けて今後もグループ企業が一体となり、ブランド価値向上・持続的成長を目指すという決意のもと、2024年1月1日付で商号をNCDに変更した。
中期経営計画「Vision2026」の目標数値を上方修正
2. 中期経営計画「Vision2026」
同社は2023年5月に、持続的成長と企業価値向上を目指して2032年のありたい姿(NCDグループビジョン)を検討し、基本方針を「より収益性の高い企業への変革を図り、NCDグループの持続的成長へ繋げる」「新しい事業領域への挑戦により、第3の事業柱を構築する」「NCDグループで働くことに幸せを感じ、かつ成長することのできる、“Well-beingカンパニー”を目指す」として、2032年の目標値に売上高400億円、営業利益40億円、営業利益率10.0%を掲げた。
そして中期経営計画「Vision2026」(2024年3月期~2026年3月期)の基本方針は、既存ビジネスの付加価値向上と新しいビジネスの創出によるさらなるNCDバリューの追求(IT関連事業とパーキングシステム事業のさらなる連携強化、新規事業創出の制度化による、第3の事業柱構築に向けた新しいビジネスの追求)、企業価値向上に向けた経営基盤の強化(サステナビリティ経営の推進、人材の価値を最大限に引き出す人的資本経営への取組強化、DX推進によるビジネス変革と持続的成長への貢献)、最適なグループ事業体制の再構築(事業シナジーを最大化する組織体制の追求)とした。方向性としては、業界平均よりも低い収益性の改善、事業部間連携の強化、新規事業領域への取り組み強化、既存事業の付加価値向上、人材の確保と育成、働きがいへの取り組み強化など、既存ビジネスの土台固めと長期的視点による投資を行い、次期中期経営計画(2027年3月期~2029年3月期)及び2032年のグループビジョン目標達成に向けた飛躍に繋げる方針としている。
なお、中期経営計画「Vision2026」においては当初、目標数値を最終年度2026年3月期の売上高26,000百万円、営業利益1,800百万円、営業利益率6.9%、ROE15%以上としていたが、各事業の想定以上の売上拡大や収益性向上、JCS子会社化などにより、初年度の2024年3月期に売上高以外は目標数値を上回ったため、2026年3月期の目標数値を上方修正して売上高30,000百万円、営業利益2,400百万円、営業利益率8.0%、ROE20%以上とした。修正後のセグメント別計画は、システム開発事業の売上高が12,500百万円でセグメント利益が1,700百万円、サポート&サービス事業の売上高が9,800百万円でセグメント利益が1,000百万円、パーキングシステム事業の売上高が7,700百万円でセグメント利益が1,750百万円とし、いずれも上方修正した。
重点戦略として、IT関連事業では高付加価値サービス提供型への変革、ITフルアウトソーサーとしてのユニークなポジションの確立を目指し、提供サービス・顧客基盤・体制の強化、アウトソーシングビジネスのさらなる拡大を推進する。パーキングシステム事業では、リーディングカンパニーとしての強固な地位の確立、駐輪場事業で培った強み・ノウハウの新事業領域への展開を目指し、BPRの完遂による収益基盤の安定化、提案型ビジネスの推進と新サービスの提供を通じた高付加価値ビジネスの創出などを推進する。コーポレート部門では、サステナビリティ経営・人的資本経営・ガバナンス体制の高度化を推進し、プライム上場企業に求められるガバナンス水準の整備を目指す方針としている。
新規事業創出に関しては、戦略の一環として事業アイデア公募制度「co-do project」を開始し、募集アイデアのプレゼン選考会を実施するなど、多方面的な取り組みを展開するとしている。またサステナビリティ経営に関しては、マテリアリティを各部門施策に反映してKPIモニタリングをスタートした。今後は非財務情報開示の拡充に向けた取り組みを強化するとしている。人的資本経営については、人材戦略の基本コンセプトとして「自律的なキャリア形成と対話を通じた組織風土の変革」を掲げ、人材開発と組織開発を両輪とした人材マネジメントの変革を図るとしている。
資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応の具体的取組としては、収益力向上(既存ビジネスの付加価値向上と新規ビジネス創出などによる利益率のさらなる改善と利益の拡大)、資本の最適配分(安定的かつ継続的な株主還元の実施、人的資本投資などの成長投資の実行)、サステナビリティへの取組の一層の強化と非財務情報開示の拡充(サステナビリティ経営のさらなる推進、統合報告書の発行)、IR・PR活動の強化(開示情報のさらなる充実と株主・投資家との対話の拡充、コーポレートロゴ変更などブランディング強化)を一層強化するとしている。下條治代表取締役社長は「2024年3月期は当初計画以上に収益性が向上し、中期経営計画の当初の最終年度目標数値(売上高以外)を前倒しで達成することができた。長期ビジョンで掲げた2032年の目標数値の達成も現実的になってきたと考えており、引き続き各種取組を着実に推進することで一段の収益性向上を目指していきたい。また企業価値のさらなる向上に向けて株主還元充実やIR活動強化も推進していきたい。」と意気込みを語っている。中期経営計画の進捗は極めて順調と弊社では評価している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)《SI》