加藤製作所 Research Memo(5):営業損益改善基調、中国事業は見直し方針

2024年6月20日 16:05

*16:05JST 加藤製作所 Research Memo(5):営業損益改善基調、中国事業は見直し方針
■加藤製作所<a href="https://web.fisco.jp/platform/companies/0639000?fm=mj" target="_blank" rel="noopener noreferrer"><6390></a>の事業概要

3. セグメント別推移
報告セグメントは地域別(2024年3月期より変更)に日本、中国、欧州、その他(タイなど)としている。過去4期(2021年3月期~2024年3月期)の推移を見ると、2021年3月期は新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響により経済活動が縮小したため売上高が大幅に減少し、営業損益も悪化した。2022年3月期はコロナ禍の影響が和らいで売上高が回復傾向となったが、構造改革の一環として計上した一過性損失(営業利益段階で長期滞留在庫の評価減計上、加藤(中国)工程机械における貸倒引当金繰入額計上、特別損失で希望退職金計上、常陸那珂工場の減損計上、タイ工場の解散及び清算に伴う減損計上)により大幅な損失を計上した。2023年3月期はサプライチェーン混乱の影響で減収となったものの、構造改革の効果に加え、収益性を重視した販売戦略なども寄与して営業損益が大幅に改善した。2024年3月期は、主力製品における一部主要部品供給制約の影響が継続したことに加え、中国での需要回復遅れも影響して売上高が横ばいにとどまり、販管費増加がマイナス要因となったものの、売価・原価改善などの構造改革や為替の円安効果などにより営業損益が一段と改善した。収益は一過性損失を計上した2022年3月期をボトムに回復基調となっている。

品目別売上高及び海外仕向地別売上高の過去4期(2021年3月期~2024年3月期)の推移を見ると、2021年3月期はコロナ禍の影響により、品目別売上高では建設用クレーン、油圧ショベル等とも減少、海外仕向地別では中国を中心とするアジアが大幅に減少した。2022年3月期は国内が小幅増収だったが、海外の北米・欧州向けが回復傾向となった。2023年3月期はサプライチェーン混乱の影響を受けたため、収益性や受注残を勘案して優先した建設用クレーンの国内、油圧ショベル等の北米・欧州向けが増加したが、中国における油圧ショベルの需要減少によりアジア向けが大幅減収となった。なお品目別の売上高構成比はおおむね建設用クレーンが6割で油圧ショベル等が4割弱、全体の海外向け売上比率はおおむね3割前後で推移している。

なお中国事業については、不動産不況を起因としたインフラ投資の鈍化に伴う建設機械需要の低下や、中国地場メーカーとの販売競争激化などにより厳しい事業環境が継続しているため、中国2拠点の合理化を前提とした根本的な事業の見直しを行う方針とした。2024年3月には、中国で油圧ショベルを製造・販売している加藤(中国)工程机械について、生産調整を目的に生産を当面の間休止すると発表した。また2024年5月には、中国でミニショベルを製造・販売している加藤中駿(厦門)建機について、2024年6月に期限を迎える合弁契約の期間延長を行わず、清算を前提に合弁先との間で協議を進めていると発表した。一方で、成長市場であるインドでの事業基盤構築を目的として、2024年1月にインド事業準備室を本社内に新設した。今後は現地メーカーとの合弁などにより、中国に代わる新たな主要市場としてインド及びその周辺国を含めた商圏の拡大を推進する方針としている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)《AS》

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