相場展望6月20日号 米国株: NYダウが、ナスダックやS&P500種などの株価指数に一人負け 日本株: 海外投資家が売り転換、証券(自己)も追随
2024年6月20日 11:15
■I.米国株式市場
●1.NYダウの推移
1)6/17、NYダウ+188ドル高、38,778ドル
2)6/18、NYダウ+56ドル高、38,834ドル
3)6/19、祝日「ジューンティーンス(奴隷解放記念日)」で休場
【こちらも】相場展望6月17日号 米国株: 金利再上昇と政治的混乱が懸念材料 日本株: ボックス圏相場が下放たれるリスク、日銀は「大丈夫か?」
●2.米国株 : NYダウが、ナスダックやS&P500種、半導体株指数などに一人負け
1)NYダウが、ナスダックやS&P500種株価指数などに一人負け
・米主要株価指数の推移 6/3 6/18 上昇幅 上昇率
NYダウ 38,571 38,834 + 263 + 0.68%
ナスダック総合 16,828 17,862 + 1,034 + 6.14
S&P500 5,283 5,487 + 204 + 3.86
半導体株 5,152 5,765 + 603 +11.90
・要因は、構成銘柄に人工知能(AI)関連銘柄が含まれる割合である。
・米株式市場は、エヌビディアを中心に人工知能関連銘柄が相場上昇に大きく貢献している。風船が破裂するまで、関連銘柄は上昇し続けるだろう。いつ破裂するかは、誰もわかっていない。
2)欧州の政治混乱が米株式市場に波及するか注目
・欧州連合(EU)の選挙で、極右政党が急伸し、経済の混乱を嫌って株式相場反応した。
・特にフランスでは、大統領が支持政党の議席急減を懸念し巻き返しのため総選挙を選択した。
・株価下落は、フランスだけにとどまらず、イタリアやドイツなどEU諸国に伝播した。
・フランスの政局は混迷しており、下院選挙が行われる6/30と7/7の決選投票まで不安定が続きそうである。
・英国もスナク首相も総選挙を決定した。
・市場の予想では、現政権の保守党が壊滅的敗戦となり総議席の1割~2割にとどまるとの見方がある。
・労働党が圧勝する見通しであるが、保守党に批判的なだけに政治的な政策変更がみえるまでは株式相場は様子見となろう。
・欧州株式市場が米国はじめ日本にとって懸念材料となるため、注視したい。
3)エヌビディア時価総額3.34兆ドル超え、世界首位に飛び出る
●3.米EV企業で「第2のテスラ」など破綻相次ぎ逆風、手頃なHVに消費者流れ(読売新聞より抜粋)
1)電気自動車(EV)の世界販売は2023年、1位テスラが179万台、2位中国BYDで140万台、日本勢では日産が12万台、トヨタが10万台にとどまる。
2)米新興EVメーカーのフィスカーは6/17、米連邦破産法11章の適用を裁判所に申請。2023年12月期の最終損益は約▲1,260億円の赤字。品質面の不具合もあって生産が計画通り進まず、経営破綻。有力専業メーカーのルーシッドやリビアンも赤字から抜け出せていない。テスラも2024年1~3月期の販売台数は4年ぶりに前年割れとなった。
3)米政府は税制優遇措置を導入して支援しているが、新たな技術への関心が高い富裕層以外に販売が広がず、HV(ハイブリッド)に水をあけられている。
●4.FRBは「忍耐強く」なれる、数カ月の指標の見極めが必要=ダラス連銀総裁(ロイターより抜粋)
1)インフレ率+2%回帰見通しに本当に自信を持つには、後数カ月分のデータを見る必要がある。
●5.欧州委員会、アップルとメタに制裁か、デジタル市場法違反で=消息筋(ロイターより抜粋)
1)デジタル市場法(DMA)は、反トラスト法(独占禁止法)の制裁と類似したもの。
2)DMAは、巨大IT企業が小規模な競合企業に競争の余地を与え、ソーシャルメディア
・プラットフォームやインターネットブラウザー、アプリ市場などのユーザーが競合サービスに簡単に切り替えられるようにするよう義務付けている。
3)採取的な制裁は、世界の年間売上高の10%に相当する罰金が含まれる可能性がある。
●6.政治リスク高まるフランス、欧州最大の株式市場の座を英国に明け渡す(ブルームバーグ)
■II.中国株式市場
●1.上海総合指数の推移
1)6/17、上海総合▲16安、3,015
2)6/18、上海総合+14高、3,030
3)6/19、上海総合▲12安、3,018
●2.中国、5月鉱工業生産は予想以上に減速、小売売上高は加速(ロイター)
1)5月鉱工業生産は前年比+5.6%増、4月の+6.7%増加から減速した。アナリスト予想の+6.0%増からも下回った。
2)一方、5月の小売売上高は+3.7%増と、4月の+2.3%から加速。アナリスト予想の+3.0%を上回った。
3)中国では不動産市場低迷や地方政府の債務問題、デフレが依然として経済活動の大きな足かせになっている。
●3.米バークシャー、中国BYD株を再び、130万株を3,980万米ドルで売却(ロイター)
1)この売却により、バークシャーの保有比率はBYDの発行済みH株総数の6.90%に低下した。
2)バークシャーは2008年からBYDに投資し始めたが、2022年に売却を開始。BYD株価は2022年6月の高値から約▲30%下落している。
●4.広汽ホンダ、中国で大規模リストラ、「テスラよりも手厚い補償」で応募殺到(36Kr)
1)今回の対象者は、全従業員の14%にあたる約1,700人。
2)広汽ホンダが6/7に発表した5月中国販売台数は前年同月比▲41.31%減の32,000台。
■III.日本株式市場
●1.日経平均の推移
1)6/17、日経平均▲712円安、38,102円
2)6/18、日経平均+379円高、38,482円
3)6/19、日経平均+88円高、38,570円
●2.日本株 : 海外投資家の買残高は急速に縮小、証券(自己)も追随
フランス政局混乱と日銀の揺らぎが負
1)年初からの買い主役だった海外投資家は、買いから売り方へ転換
・海外投資家(現物+先物合計)の年初からの累計額
3月1週 +2兆0,928億円(年初からの買残高がピーク)
・海外投資家が買い主役となり、日経平均は+7,600円高(+22.8%上昇)した。
日経平均の推移
1/04 33,288円
3/22 40,888円 (年初からの最高値)
差引 +7,600円高
・そして、海外投資家が利益確定の売り転換した後、日経平均は反落した。
・海外投資家の年初からの買残高の推移
3月1週 +2兆0,928億円(年初からの買残高がピーク)
6月1週 + 6,804億円
差引 ▲1兆4,125億円の売越額
・日経平均の推移
3/22 40,888円 (年初からの最高値)
6/19 38,570円
差引 ▲2,318円下落
・海外投資家の売りを見て、証券(自己)も追随し、日経平均は下落した。この間の日経平均は▲2,318円下落したが、これは年初からの上昇分の+7,600円に対して▲30.5%反落となる。
・証券(自己)の年初からに買残高の推移
3月4週 +4兆1,132億円
6月1週 +1兆4,399億円
差引 ▲2兆6,733億円の売り
2)海外投資家と証券(自己)の売りに対し、自社株買いで事業会社が買い支えした構図
・自社株買いを継続した事業会社の年初来の買残高
6月1週現在 +2兆1,555億円
・自社株買いが、日経平均の急落をとどめ、結果として日経平均の下げ幅を縮めた。
3)3月決算企業の株主総会開催前から、自社株買いは減少する傾向が毎年ある
・したがって、6月最終週からの日経平均の売りに対する抵抗力は減少すると思われる。
・7月半ばから始まる4~6月の決算発表シーズン入りまで、買い材料が乏しくなる。
・相場は軟弱な時期を迎えるため、リスクに注意したい。
4)フランス政治不安でリスク回避
・EUの選挙があり、極右勢力が伸張した。フランスでも、極右勢力が1位となり、大統領は対抗策として総選挙を選んだ。
・フランスの政局不安から欧州株価は一斉に大幅下落し、その影響が日本に波及したため6/17は日経平均で一時▲800円超下落した。
・フランスの下院総選挙は6/30に1回目の投票、7/7に2回目の投票となる。
・しばらくは、欧州の政局を見極めたいという状況から、日本株の重荷となろう。
5)日銀への不透明感が残り、長期金利が低下
・長期金利の推移 6/3 6/19
日本国債10年物金利 1.049% 0.933
・市場は金利引上げ方向をみていたが、日銀は腰がふらついて決定できない。
・このため、日銀への不透明感が出て、金利は先高傾向にあったが反落している。
・長期金利低下は、株式にとって相対的に割高感が薄れ、株価には追い風となるところである。しかし、株式相場が軟弱となっており、注視したい。
●3.5月貿易収支▲1兆2,213億円の赤字、赤字は2カ月連続(NHK)
●4.5月訪日外国人旅行者304万人に、3カ月連続で300万人を超える(NHK)
1)一方、先月出国した日本人はコロナ禍前の2019年の同月比より▲34%余り少ない94万人にとどまり、歴史的な円安が逆風となって回復の遅れが続いている。
●5.ホンダ、ルネサス株を471億円で取得、発行株の0.9%(ロイター)
1)保有目的は、原材料等の調達取引の安定化。
■IV.注目銘柄(投資は自己責任でい願いします)
・2413 エムスリー 業績堅調
・4385 メルカリ 業績好調
・6196 ストライク 業績好調
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