イチネンHD Research Memo(3):自動車リース関連を主力とした7事業で構成(2)

2024年6月19日 13:33

*13:33JST イチネンHD Research Memo(3):自動車リース関連を主力とした7事業で構成(2)
■イチネンホールディングス<a href="https://web.fisco.jp/platform/companies/0961900?fm=mj" target="_blank" rel="noopener noreferrer"><9619></a>の事業概要

(2) ケミカル事業
主力製品は、プロ向けケミカル(潤滑剤、防錆剤、各種洗浄剤、補修塗料等)。そのほかには発電用大型ボイラー及び船舶エンジン向け燃料添加剤、一般消費者向けケミカル(自動車用クリンビュー等)、特殊ケミカル(ゴム、エラストマーなどの難密着素材へのコーティングや各種OA部品向けケミカル製品等)などを扱っている。部門の約75%が自社製品で残り約25%が仕入商品であるため、部門の粗利率は高い(30〜50%)。

(3) パーキング事業
土地所有者から土地を借りて駐車場事業を行うもので、コイン式・立体式・管理受託など契約形態は様々である。全国展開しているが、関西地区の比率(約56%)が高くなっている。総合病院や大型の商業施設に付帯する駐車場の一括運営管理にも注力している。また2022年には、パーキング事業を行う(株)オートリをグループ化した。

(4) 機械工具販売事業
既述のように、同社は自動車メンテナンス受託事業の関連で全国約8,800の自動車整備工場と提携している。同社は、これらの整備工場向けに機械工具を販売することでシナジーを得られるとして、この事業に参入した。同事業は、子会社である(株)イチネンアクセス、(株)イチネンMTM 、(株)イチネンTASCO、(株)イチネンネット、(株)イチネンロジスティクスが行っている。イチネンアクセスは、自動車用品、自動車整備用機器、電動工具やDIY用品等を扱っており、オリジナルブランドによる幅広い製品ラインナップを揃えている。イチネンMTMは、産業・建機部品、自動車・農機部品の販売を行っている。イチネンTASCOは空調工具や環境計測器を扱っており、空調工具の「TASCO」ブランドは業界一の売上実績がある。そして、イチネンネットは機器工具等のインターネット販売を、イチネンロジスティクスは物流業務を行っている。なお同事業はタイの合弁会社を設立し、海外販売も行っている。

(5) 合成樹脂事業
合成樹脂事業では熱可塑性の合成樹脂原料を扱っているが、さらに4つのサブセグメントに分けられる。遊技機部品事業は、主にパチスロ・パチンコ機の筐体部分を設計・製造するもので、商社及びメーカー機能を併せ持っている。科学計測器事業では酸素濃度計、ガス検知警報器の開発・製造・販売も行っている。また2023年10月に子会社化したマルイ工業(株)及びその子会社群が行うエンブレム等の自動車内外装部品の製造がこのセグメントに含まれる。

(6) 農業関連事業
M&Aにより規模が大きくなったことから、2024年3月期第3四半期から新たに独立セグメントとなった。以前は「その他」に含まれていた農業事業(ミニトマトやピーマン等の栽培)に加え、M&Aにより子会社化した日東エフシー(株)等が行う肥料事業及び関連事業が含まれる。

(7) その他
不動産の賃貸・管理事業、ガラス加工事業などが含まれる。ガラス加工事業については、2021年10月に新光硝子工業(株)及び新生ガラス(株)を子会社化したことで参入した。曲げガラス・樹脂合わせガラスなどの製造・販売を行っている。

2. 特色、強み
(1) 変化に強く、安定性がある
多角化経営により、環境の変化に対して柔軟な対応が可能。さらに業績の増減をそれぞれの事業でカバーし合うことで、全体として安定した経営を継続的に行うことが可能である。

(2) グループ一体経営
グループ間における人・モノ・資産の共有化、ノウハウの融合などシナジーを最大限に生かし、グループ全体で成長を続けている。

(3) 高い資本収益性
ROE(自己資本当期純利益率)が株主資本コストを、ROIC(投下資本利益率)がWACC(加重平均資本コスト)を上回っており、安定的に資本コストを上回る資本収益性を実現している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)《HN》

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