デリカフHD Research Memo(3):スーパーコールドチェーンの導入と衛生品質管理の国際標準規格取得

2024年6月19日 12:13

*12:13JST デリカフHD Research Memo(3):スーパーコールドチェーンの導入と衛生品質管理の国際標準規格取得
■会社概要

2. デリカフーズホールディングス<a href="https://web.fisco.jp/platform/companies/0339200?fm=mj" target="_blank" rel="noopener noreferrer"><3392></a>の強み
同社の強みとして、卸売事業者として国内外で開拓してきた多くの契約産地(仕入高の60%が国内契約農家、20%が国内流通市場、20%が輸入品)から安定した仕入れを行うことができる調達力と、高品質で安全・安心に商品を顧客のもとに配送する物流網を全国に構築(委託業者を含む)していることが挙げられる。また、業界初となるスーパーコールドチェーン※1を東京第二FSセンター(2013年7月稼働)以降に開設した事業所(奈良、東京、西東京、中京、埼玉、仙台、九州、北海道、大阪)で導入しているほか、食品安全マネジメントシステムの国際標準規格ISO22000や、その上位規格となるFSSC22000※2の認証も各事業拠点で取得している。

※1 スーパーコールドチェーン:野菜の入庫から出荷、配送までの全工程を4~5℃の低温度で管理するシステム。野菜の鮮度が保持できるため、カット野菜の賞味期限を従来比2倍に延長することが可能となった。
※2 「FSSC22000」:「ISO22000」に食品安全対策(フード・テロ対策、原材料やアレルギー物質の管理方法など)や、「食品安全に関連する要員の監視」「サービスに関する仕様」などを追加したもので、オランダの食品安全認証財団が認証機関となっている。


BCP対策という観点でも、物流センターや貯蔵センター、カット野菜の製造拠点の業務を標準化し、複数拠点で同じ品質の製品・サービスを提供できる体制を構築することで万全を期している。2023年7月末の深夜に奈良事業所の隣接地で火災が発生し、建物に被害はなかったものの約1ヶ月にわたりセンターの稼働停止を余儀なくされる事故があった。ただ、近隣の物流拠点と連携することで類焼発生当日も顧客先には予定どおり翌日9時までに商品の納品を完了したほか、同事業所で製造していたカット野菜についても停止期間中は他事業所に製造を振り替えて対処し、予定どおり納品した。この事故の発生により、安定供給を実現する同社の生産体制・物流インフラの強さが改めて確認された。こうした食の安全・安心を確保する取り組みを業界に先駆けて実施していることで、顧客からの高い信頼・評価を獲得している。特に外資系企業では国際標準規格の認証やすべての地域で同一基準の品質管理体制が求められることから、シェア獲得という面で強みとなっている。

また、生産者と外食・中食企業等をつなぐ情報流通機能を持つことも同社の強みである。生産者に対しては、どのような野菜が求められているのか、どれだけの需要量があるのかという情報を提供し、販売先となる外食・中食企業等に対しては野菜の市況やトレンド、高騰した野菜に対する代替メニューの提案などを行っている。特に、ここ数年は天候不順や自然災害に起因する野菜価格の高騰が外食・中食企業等にとって悩みのタネとなっており、同社のメニュー提案力が高く評価されている。さらに、同社は15年以上にわたって野菜の機能性を研究しており、日本中から取り寄せた野菜に関する栄養価などの分析データに関しては、国内随一のデータベースを保有している。この分析データに基づいて健康増進につながるメニュー提案を行っているほか、新規事業となるミールキット事業の商品開発にも生かしており、同業他社にはない強みと言える。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)《SO》

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