パパネッツ Research Memo(4):2024年2月期の業績は順調に拡大し、増収増益(1)

2024年6月18日 15:04

*15:04JST パパネッツ Research Memo(4):2024年2月期の業績は順調に拡大し、増収増益(1)
■業績動向

1. 2024年2月期の業績概要
パパネッツ<a href="https://web.fisco.jp/platform/companies/0938800?fm=mj" target="_blank" rel="noopener noreferrer"><9388></a>の2024年2月期の業績は、売上高は前期比12.1%増の4,491百万円、営業利益は同14.9%増の337百万円、経常利益は同16.2%増の341百万円、当期純利益は同16.2%増の235百万円となった。コロナ禍の警戒レベルが下がったことで社会活動が正常化し、外国人観光客の需要も回復してきたなか、「管理会社サポート事業」においては、「建物定期巡回サービス」が安定して実施され、巡回する建物の数が増加した。企業の出張が再開されたこともあり、「マンスリーマンションサポートサービス」では、既存顧客と新規顧客の両方で、設営や退去後の清掃の受託件数が増加した。一方で、「インテリア・トータルサポート事業」では、ハウスメーカーや家具メーカーの販売の回復が遅れており、サービスの需要がコロナ禍前の水準に戻っていない状態が続いている。

(1) 事業別売上高
2024年2月期の事業別売上高を見ると、「管理会社サポート事業」は前期比14.1%増の3,308百万円、「インテリア・トータルサポート事業」は同5.9%増の1,153百万円、「その他」は同52.6%増の29百万円となった。

2024年2月期の業績は、「管理会社サポート事業」が2ケタ成長を遂げた。国内外の旅行者・出張者の増加という市場ニーズを見込み、営業強化と現場の作業員の人員強化を図る事業戦略が合致した。「インテリア・トータルサポート事業」の成長が比較的控えめである点は、市場の飽和または競争の影響を受けていることを示している可能性があり、戦略的な見直しの必要を示唆している。全体的に同社は成長軌道にあるものの、各部門の成長率の差は事業の多様性と市場条件の変化への適応能力を反映している。今後の展望としてはインテリア・トータルサポート事業での市場ポジションの強化が必要であると弊社は考えている。

(2) 「建物定期巡回サービス」における対象物件数
同社が受託している「建物定期巡回サービス」における対象物件の棟数を見ると、賃貸住宅において、2024年2月期末は前期末比13.0%増の17,487棟まで伸長し、2,005棟増加した。レンタルコンテナにおいては、同26.1%減の1,667棟となり、588棟減少した。全体の棟数においては、レンタルコンテナが大きく減少するものの、賃貸住宅の増加が牽引し、2018年2月期末から連続して順調に増加しており、同8.0%増の19,154棟まで伸長し1,417棟増加した。

(3) サービス別売上高
同社の主力である4つのサービス「建物定期巡回サービス」「レンタルコンテナ点検サービス」「マンスリーマンションサポートサービス」「全国ツーマン配送ネットワークサービス」における2024年2月期の売上高は、「建物定期巡回サービス」は前期比15.3%増の699百万円、「レンタルコンテナ点検サービス」は同11.6%増の528百万円、「マンスリーマンションサポートサービス」は同19.1%増の1,627百万円、「全国ツーマン配送ネットワークサービス」は同1.9%増の655百万円となった。各サービスの売上高は全体として堅調に推移しており、特に「建物定期巡回サービス」と「マンスリーマンションサポートサービス」が成長をけん引している。「マンスリーマンションサポートサービス」の売上成長率が最も高いのは、住宅市場のトレンドや消費者のライフスタイルの変化に同社がうまく適応しているためと見られる。「全国ツーマン配送ネットワークサービス」は微増に留まったが、2025年2月期以降に「インテリア・トータルサポート事業」のパフォーマンスが回復すること、市場で設営や退去に関連するサービスの需要増により既存顧客のほか新規顧客獲得も見込まれることから、売上の拡大を予想している。

(4) クライアント数
2024年2月期のクライアント数を見ると、「管理会社サポート事業」では2024年2月期末の目標である380社に対し355社を獲得し、「インテリア・トータルサポート事業」は同目標である270社に対し234社を獲得した。「管理会社サポート事業」「インテリア・トータルサポート事業」はともに上期までは順調に拡大したが、下期は伸び悩んだ。両サービスの新規契約数が予想を下回った主因は、同社が将来の潜在的な不良債権を避けるための予防措置として財務的に不安定なクライアントとの契約を終了したことによる。これにより短期的にはクライアント数の成長が制限されたが、企業が直面している市場環境や信用リスクの現況に適応し、安定した事業成長を優先する同社の姿勢を反映したものと弊社は見ている。

(5) 売上高成長率と営業利益率
2022年2月期からの売上高成長率を見ると、2022年2月期は目標に達していないものの、2023年2月期、2024年2月期は改善が見られた。2023年2月期は目標をわずかに上回り、2024年2月期には目標の109.1%を大きく上回る112.1%を達成した。営業利益率は目標と実績がより近い値を示しており、2022年2月期には目標が6.3%に対して実績が6.7%、2023年2月期には目標が7.0%に対して実績が7.3%と目標を上回った。2024年2月期の実績は目標の7.7%には及ばなかったものの、7.5%と安定した営業利益率を維持した。

売上高は時間をかけて目標値に近づいており、特に最近の2023年2月期、2024年2月期は目標を達成した。営業利益率は一貫して目標を上回るかそれに近いパフォーマンスを維持しており、運営の効率性が高まっていることを示している。全体的に、コロナ禍の時期に比べ、同社は健全な成長傾向にあり、運営効率も改善していることが見受けられる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 中山博詞)《HN》

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