パパネッツ Research Memo(2):管理会社サポート事業を主力にした「御用聴きカンパニー」(1)

2024年6月18日 15:02

*15:02JST パパネッツ Research Memo(2):管理会社サポート事業を主力にした「御用聴きカンパニー」(1)
■事業概要

1. 会社概要
パパネッツ<a href="https://web.fisco.jp/platform/companies/0938800?fm=mj" target="_blank" rel="noopener noreferrer"><9388></a>は、不動産管理会社及びマンスリーマンション運営会社及びハウスメーカー・不動産流通会社等をサポートする「御用聴きカンパニー」として、大都市圏中心に展開している。社名である「パパネッツ」の2つのPは、「社会と人=PublicとPeople」を示しており、社会と人を大事に、そのつながりのなかで仲間を募りネットワーク化していきたいという意味が込められている。2024年3月には、経済産業省及び日本健康会議により、健康経営優良法人2024(中小規模法人部門)に2年連続で認定された。

サポート業務の内容は、取引先の管理物件の巡回点検を行う「管理会社サポート事業」、二人体制で家具・家電製品などの大型商材の運搬・開梱・組立・設置までを独自の配送ネットワークで展開する「インテリア・トータルサポート事業」、不動産賃貸のほかコンテナストレージの賃貸などを行う「その他」の3事業である。同社は、取引先企業から汲み取った要望を全社で共有し、解決策におけるノウハウを蓄積することでより充実したサービスを拡充し、企業価値の向上を目指している。2024年2月期の事業別の売上構成比を見ると、主力である「管理会社サポート事業」が73.7%、続いて「インテリア・トータルサポート事業」が25.7%、「その他」が0.7%である。

2. 沿革
同社は1995年12月に(株)三協運輸サービスの100%子会社として、西関東における引越業務の拠点という位置付けで埼玉県入間市に(株)三協マイスタッフの商号で設立した。2002年10月から実質的休眠状態であったが、2013年12月に(株)パパネッツに商号を改め再出発した。2014年4月からは「インテリア・トータルサポート事業」として、家具・インテリア商材・オフィス什器等の配送業務である「全国ツーマン配送ネットワークサービス」を開始した。2015年3月に親会社である三協運輸サービスから「管理会社サポート事業」を吸収分割により承継し、さらに三協運輸サービスの子会社である(株)パパサンを吸収合併して「インテリアコーディネートサービス」「カーテン・ブラインドメンテナンスサービス」「インテリア素材調達サービス」を開始した。2017年10月には東京証券取引所TOKYO PRO Marketへ上場した。2023年4月にサプライチェーンの取引先や価値創造を図る事業者との連携・共存共栄を進めることで新たなパートナーシップを構築する「パートナーシップ構築宣言」を行った。

3. 事業内容
管理会社のサポート業務を一括して行う企業の種別として、プロパティマネジメント(PM)企業※1やファシリティマネジメント(FM)企業※2があるが、同社はFM企業に分類される。日本のFM市場は様々な企業が参入し、それぞれが特定のサービスや市場ニーズに合わせた専門技術を提供している。FMには、日常レベル/管理レベル/経営レベルの区分があり、各レベルで異なるアプローチが求められる。管理レベルや経営レベルでは、計画的なアプローチにより長期的な修繕計画や経営戦略に基づいて施設の効率化を図る一方、日常レベルでは、同社のほかビルメンテナンス会社やPM企業が活動し、施設の日常的な維持管理やサービスの最適化を手掛けている。同社は、通常の日常レベルのFM業務(定期清掃、保全活動、修繕など)に加えて、草むしり、ごみ拾い、害虫・害鳥の駆除、備品の一括管理とメンテナンス、入居前の最終チェック、インテリアコーディネート、造作家具の提供など、管理会社としての対応が困難な細かな業務も包括的に提供している。このような幅広いサービスの提供により、顧客から信頼を獲得し、事業の拡大を進めている。

※1 プロパティマネジメント(PM)企業とは、不動産の資産運用や管理全般を担う事業会社を指す。物件の賃貸業務や管理、リース戦略の立案、テナント対応、メンテナンス業務の委託などを行う、管理業務を範疇とする。
※2 ファシリティマネジメント(FM)企業は、設備や施設の保守・管理を主に行うもので、建物内の各種設備や備品の調達・管理、清掃、セキュリティ、テナント対応、メンテナンス業務などを担っている事業会社を指す。


従来は、巡回は警備会社やビルメンテナンス会社、内装は内装業者や建設業者、清掃はビル清掃業者というように、各業務を各専門業者が受け持つ場合が多かったが、同社はこれらを「御用聴き」という新しいビジネスモデルとして管理会社の主業務や困りごとをまとめて引き受けている。さらに、顧客からのあらゆる手間のかかる業務をリーズナブルに請け負うノウハウがあり、他社に真似できないビジネスモデルを有している。

同社は「管理会社サポート事業」「インテリア・トータルサポート事業」「その他」の3事業を展開している。「管理会社サポート事業」では、取引先のマンション、アパート、ビル、コンテナなどの管理物件の巡回点検等を行っている。「インテリア・トータルサポート事業」は、大型商材の運送・開梱・組立・設置までを独自の配送ネットワークで展開するほか、インテリア商品の販売・レンタル等を行う「インテリアコーディネートサービス」、カーテンレールやブラインドの取替等を行う「カーテン・ブラインドメンテナンスサービス」、国産木材を原木から取り扱う「インテリア素材調達サービス」等を行っている。「その他」は、不動産の賃貸のほかトランクルーム物件の賃貸などを行っている。

同社の強みとなっているのが、サポート業務を効率化するために独自に構築したシステムである。家具を物流拠点に集めて商品を管理し、ニ人体制で効率よく配送できる全国ツーマン配送ネットワーク「パパネット」を構築しているほか、不動産における巡回点検をクラウド化することで報告書をペーパーレスで迅速に作成・提出できる不動産巡回点検報告書システム「じゅん君」がある。こうしたシステムにより、全国展開のクライアントに対応できるのは、FM企業のなかでは現状同社のみとなっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 中山博詞)《HN》

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