ユニリタ Research Memo(1):2024年3月期は好調な受注環境を追い風として増収増益を実現

2024年6月18日 14:41

*14:41JST ユニリタ Research Memo(1):2024年3月期は好調な受注環境を追い風として増収増益を実現
■要約

1. 会社概要
ユニリタ<a href="https://web.fisco.jp/platform/companies/0380000?fm=mj" target="_blank" rel="noopener noreferrer"><3800></a>は、金融や製造をはじめ、幅広い業種向けにITシステムの運用管理を行うパッケージソフトウェア及びデータ活用ソリューションの開発・販売・サポートを手掛けている。ITの役割が「守り」(業務効率化やコスト削減など)から「攻め」(ビジネスの競争優位性を実現する手段)へ変化するなか、「システム運用」と「データ活用」領域における強みを活かし、デジタル変革(DX)に取り組む企業の業務課題を直接解決するソリューション提供力を発揮してきた。最近では、「サービスシフト」の経営方針の下、新たなサービスモデル(クラウド活用により自社サービスを提供する継続課金型の収益モデル)への移行やデジタル技術を活用した社会課題解決(働き方改革や地方創生、一次産業活性化)ビジネスなどに取り組み、ビジネスモデルの変革を進めている。

2024年5月14日付けで3ヶ年の新中期経営計画を公表した。「Re.Connect 2026」という基本方針の下、ビジョンとして掲げる「共感をカタチにし、ユニークを創造するユニリタグループへ」の実現に向け、「サービス提供型事業の拡大」「新たな価値提供モデルの確立」「事業プロセスの変革」の3つの事業戦略をさらに進化させていく。また、人的資本投資の加速を含め、持続的な成長に向けたサステナビリティ基盤をさらに強化し、グループの経営資源とITソリューション力を活かした事業活動を通じて、事業会社としての経済的価値と社会課題解決による社会的価値の双方を実現していく考えだ。

2. 2024年3月期決算の概要
2024年3月期の業績は、売上高は前期比3.7%増の11,982百万円、営業利益は同11.7%増の1,023百万円と増収増益となった。売上高は、「プロダクトサービス」「クラウドサービス」「プロフェッショナルサービス」の3つの事業がそれぞれ伸長した。「プロダクトサービス」は、DXの進展や法改正に伴う電子化対応の動きが追い風となり、主力の自動化・帳票プロダクトが好調に推移した。「クラウドサービス」についても、IT活用クラウドを中心に主力サービス群が順調に伸びた。「プロフェッショナルサービス」は、高付加価値案件の受注増やグループ一体となった一括請負案件(システムインテグレーション)により大幅な増収となった。損益面では、経営基盤整備のための投資を強化しながらも、増収による収益の押し上げや研究開発費の効率化、高収益モデルへの転換(システムインテグレーション)などにより大幅な営業増益を達成した。

3. 新中期経営計画の方向性
新中期経営計画では、前中期経営計画で積み上げた成果や明らかになった課題を踏まえ、コアコンピタンスを「サービスマネジメント」と「データマネジメント」に再定義したうえで、コンサルティングを起点とするグループ一体となった新たな価値提供モデルの確立を目指す。特に、クラウド成長領域への投資を継続し、協業パートナーとの連携を含む価値共創の推進により、各クラウドカテゴリーのスケールアップを実現する。最終年度の目標として、売上高140億円(3年間の平均成長率5.3%)、営業利益14.5億円(同12.4%)、ROE 8.8%(2024年3月期比+1.7pt)を掲げており、クラウドへの投資を継続しながらも収益性を重視した計画となっている。また、利益成長に伴う増配にも意欲的である。データマネジメント人材の獲得やサービスラインの強化につながるようなM&Aについても検討していく考えのようだ。

4. 2025年3月期の業績見通し
新中期経営計画初年度となる2025年3月期の業績予想については、売上高を前期比4.3%増の12,500百万円、営業利益を同2.6%増の1,050百万円と引き続き増収増益を見込んでいる。売上高は、「プロダクトサービス」におけるメインフレーム事業が減収基調をたどるなか、「クラウドサービス」の積極的な事業展開が増収に寄与する計画である。また、受注好調なコンサルティングを起点として、「プロダクトサービス」によるストック売上高の積み上げ、主力クラウドサービスの伸び、そしてシステムインテグレーション及びアウトソーシングとが一体となった価値提供を推進していく考えだ。損益面でも、戦略的投資を継続しながら、「クラウドサービス」の黒字化や高収益モデルの推進により増益を確保する想定である。

■Key Points
・2024年3月期はすべての事業が伸長し、増収増益を実現(中期経営計画の最終年度目標を達成)
・活動面でも、サービス提供型事業(帳票等)やサービスマネジメント基盤(LMIS等)の提供、コンサルティングを起点とした高収益モデルへの転換には一定の手応え
・新たに3ヶ年の中期経営計画を公表。クラウド成長領域への投資拡大と、サービス&データマネジメントの強みを活かした新たな価値提供モデルの確立を目指す
・2025年3月期も引き続き増収増益となり、年間配当は1株当たり70円(前期比2円増配)を予定

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)《HN》

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