エレマテック Research Memo(5):2024年3月期は減収減益も、営業利益は過去10年間で2番目の高水準

2024年6月18日 12:05

*12:05JST エレマテック Research Memo(5):2024年3月期は減収減益も、営業利益は過去10年間で2番目の高水準
■業績の動向

1. 2024年3月期の業績概要
エレマテック<a href="https://web.fisco.jp/platform/companies/0271500?fm=mj" target="_blank" rel="noopener noreferrer"><2715></a>の2024年3月期の業績は、売上高194,457百万円(前期比18.9%減)、営業利益8,429百万円(同30.1%減)、経常利益7,595百万円(同31.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益5,367百万円(同30.3%減)となった。

マーケット別では、Automotiveは客先の生産増や新規商材の採用等により同21.2%の増収となったが、Digital Electronicsでは主に液晶等のディスプレイ関連や電子部品・半導体等の販売が低調になり同30.8%の減収となった。Broad Marketもドライブレコーダーが低迷したアフターマーケットや白物家電、産業機器が低調であったことから同21.4%の減収となった。地域別では、自動車関連が堅調であった欧米は増収となったが、日本を含めたそれ以外の地域は減収となった。

売上総利益率は前期比1.0ポイント改善し12.4%となった。在庫の評価損130百万円を計上したが、円安や製品構成の変化(比較的利益率の高いAutomotiveの比率が上昇)によって原価率は改善した。減収により売上総利益は同12.0%減となったが、販管費は、同2.2%増の15,674百万円となった。販管費の内訳としては、人件費は為替の影響に伴う海外給与の増加があったものの、業績連動賞与が減少したことから、ほぼ横ばいであった。荷造運賃は減収に伴い221百万円減少したが、貸倒損失(315百万円)の計上、旅費交通費等の増加、本社移転に伴う費用の発生などから、その他経費が564百万円増加した。

為替は円安によりプラスに影響した。同社によれば、1円の変動で売上高は約1,300百万円、経常利益は約70百万円の影響を受けるという。2024年3月期の対米ドル平均レートは、144.59円(前期は135.50円)となり、売上高で約6,800百万円、経常利益で約400百万円のプラス効果があった。

前期が好決算であったことから、営業利益は前期比で大幅減益となったが、過去10年間では2番目に高い水準であり、必ずしも悲観する結果ではなかったと言える。また為替(円安)の影響もあるが、営業利益率も過去と比較して高い水準を維持しており、中長期で見た営業利益推移は依然として上昇トレンドにあると言えるだろう。


Automotiveは客先の生産増と新規商材の採用等で続伸だが、Digital Electronics、Broad Marketは前期の反動もあり減収
2. マーケット別売上高
Digital Electronicsは71,294百万円(前期比31,720百万円減、同30.8%減)となった。主な内訳では、液晶、タッチパネル(TP)、バックライト(BL)などのディスプレイ関連が主要顧客の生産減の影響で16,811百万円減、電気・電子部品、半導体も主に海外顧客の生産調整により6,595百万円減、TOY、ホビーも主要顧客の生産減で6,566百万円減となった。

Automotiveは客先での自動車生産が増加したことに加え、新規商材の採用などもあり44,431百万円(前期比7,778百万円増、同21.2%増)と堅調に推移した。

Broad Marketは、78,730百万円(前期比21,393百万円減、同21.4%減)となったが、主にドライブレコーダーの普及が一巡し不調であったことからアフターマーケットが11,801百万円減、主にエアコンを中心とした白物家電が2,851百万円減、一部の半導体製造装置などの産業機器が1,810百万円減となった。

3. 地域別状況
地域別売上高(決算短信ベース)は、日本が106,628百万円(前期比20.0%減)、中国が40,379百万円(同25.3%減)、その他アジアが29,373百万円(同15.3%減)、欧米が18,075百万円(同2.2%増)となった。欧米が堅調であったのは、主に自動車関連が伸びたことによる。

セグメント利益は、日本が2,729百万円(前期比44.3%減)、中国が2,379百万円(同38.5%減)、その他アジアが1,580百万円(同3.0%減)、欧米が804百万円(同43.9%増)となった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)《SO》

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