国内株式市場見通し:日米中銀会合通過も方向感乏しい、早くも「夏枯れ」相場か

2024年6月15日 14:02

*14:02JST 国内株式市場見通し:日米中銀会合通過も方向感乏しい、早くも「夏枯れ」相場か
 

■日銀会合後に39000円乗せるも跳ね返される


今週の日経平均は週間で130.63円高(+0.34%)の38814.56円と上昇。プライム市場の売買代金が週末を除き連日で4兆円を割り込む商い閑散のなか、週を通じて狭いレンジでの推移が続いた。注目された米連邦準備制度理事会(FRB)による連邦公開市場委員会(FOMC)では、政策金利据え置きと、2024年金利引き下げ見通しを3回から1回への修正を発表。FOMC結果判明直前に発表された5月の米消費者物価指数(CPI)が市場予想を下回っていたことで、下落していた米長期金利は上昇。為替もFOMC後は1ドル=156円後半とほぼ「往って来い」の格好となり、日本株への影響も限定的となった。


週末に発表された日本銀行による金融政策決定会合では、「国債買い入れを減額する方針を決定」し、具体的な金額やスケジュールなどの決定は次回7月会合に持ち越した。市場では、1兆円程度の段階的な国債買い入れ減額を予想していたため、「ハト派」な結果と捉えられ、為替は1ドル=158円台まで円安ドル高が進行。日経平均は一時39000円台を回復したが、買い一巡後は失速し39000円台定着とはならなかった。


なお、6月第1週の投資主体別売買動向によると、外国人投資家は現物を1941億円売り越したほか、TOPIX先物を1367億円売り越し、225先物は59億円売り越したことから、合計3367億円の売り越しとなった。一方、個人投資家は現物を2811億円買い越すなど合計で3538億円買い越し。なお、信託は現物を1250億円売り越した。

■4兆円割れの売買代金が定着気味


今週末14日の米国株式市場はまちまち。ダウ平均は前日比57.94ドル安(-0.15%)の38589.16ドル、ナスダックは21.32ポイント高(+0.12%)の17688.88、S&P500は2.14ポイント安(-0.04%)の5431.60で取引を終了した。大証ナイト・セッションの日経225先物は、通常取引終値比380円安の38460円で取引を終えた。


14日の寄付きで算出された6月限先物・オプション特別清算指数(SQ値)は38535.35円(速報値)となり、この日の日経平均安値は38554.75円と一度もSQ値を下回らなかったことから「幻のSQ値」となった。「幻のSQ値」はさほど珍しくはないが、心理的には多少ポジティブな要因となろう。


もっとも、日経平均は、38700円水準の25日移動平均線と39000円水準の75日移動平均線を中心とした価格帯での小動きが継続。週間ベースでの上下のレンジは781円に留まった。週末こそSQ値算出に絡んだ売買が入ったことでプライム市場の売買代金は5兆円台まで膨らんだが、7日から13日まで5営業日連続で4兆円割れと薄商いが続いている。「閑散に売り無し」という格言通りの地合いとも言えるが、ナスダックやS&P500が連日で史上最高値を更新する一方、海外投資家が様子見姿勢を強めているため日経平均の方向感は乏しい。また、金利上昇局面で相対的に強含んでいたTOPIXも25日移動平均線でのもみ合いとなっていることで、こちらも横ばい推移。日本のほとんどが梅雨入り前ではあるが、市場は早くも「夏枯れ相場」入りと見ていた方が良さそうだ。

■スタンダード市場やグロース市場がにぎわう


一方、スタンダード市場の名村造船所<a href="https://web.fisco.jp/platform/companies/0701400?fm=mj" target="_blank" rel="noopener noreferrer"><7014></a>や伊勢化学工業<a href="https://web.fisco.jp/platform/companies/0410700?fm=mj" target="_blank" rel="noopener noreferrer"><4107></a>、グロース市場のカバー<a href="https://web.fisco.jp/platform/companies/0525300?fm=mj" target="_blank" rel="noopener noreferrer"><5253></a>、クオリプス<a href="https://web.fisco.jp/platform/companies/0489400?fm=mj" target="_blank" rel="noopener noreferrer"><4894></a>など中小型株の一角には、個人投資家とみられる投資資金が流入しており、大型株が名を連ねる東証全体の売買代金ランキングに中小型株が顔を出すケースが増えている。大型株が動かないのであれば、中小型株を手掛けるという相場付きは、まさに「夏枯れ」と言えよう。来週も目立った売買材料が予定されていないことから中小型株物色の強い相場展開は今しばらく続くと想定する。

■21日に日本の5月CPI発表


来週は、国内では、17日に4月機械受注、21日に5月消費者物価指数(CPI)などが予定されている。


海外では、17日に中・5月新築住宅販売価格、鉱工業生産、小売売上高、米・6月NY連銀製造業景気指数、18日に豪・オーストラリア準備銀行(中央銀行)が政策金利発表、独・6月ZEW景況感指数、欧・5月ユーロ圏CPI、米・5月小売売上高、鉱工業生産指数、4月企業在庫、19日にNZ・1-3月期経常収支、英・5月CPI、小売物価指数、生産者物価指数(PPI)、20日にNZ・1-3月期国内総生産(GDP)、中・1年物/5年物ローンプライムレート(LPR)、スイス・中央銀行が政策金利発表、英・イングランド銀行(英中央銀行)が政策金利発表、米・前週分新規失業保険申請件数、1-3月期経常収支、5月住宅着工件数、6月フィラデルフィア連銀景況指数、週次原油在庫、21日に英・5月小売売上高、欧米独英仏・6月製造業/サービス業/総合購買担当者景気指数(PMI、速報値)、米・5月景気先行指標、中古住宅販売件数などが予定されている。《FA》

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